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マグノリア王国 番外編  作者: 麻生あきら
硝子の小鳥

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9/9

その後のふたり クマとは?

 今日も夫は可愛い小物を手に帰宅した。

 学園からわざわざ王都を回って、学園の敷地内の邸宅に戻ってくる。


「セーレナ。本日のお土産は、これ」

 手に乗せられたのは、両手に乗るくらいの端切れを縫い合わせたようなぬいぐるみ。


「あら、テディベアね」

 王都に千年前の建国当初からあるテディベア専門店のもの。

 テディベア、という名前と形がずっと続いている。

 古いものは博物館にも所蔵され、好事家に高値で売買されることもあるらしい。


 けれど、このぬいぐるみの元になった動物をわたくし達は知らない。

 こんな形の動物はマグノリア王国にはいないのだから。

 きっと、この地に移住して来た先達たちの故郷に生息していたのね。


「ありがとう。とても可愛いわ、フラッハ」

「どういたしまして」微笑む夫の顔もとても可愛い。


 

 次の日、クリス王妃に呼ばれ王城へ。

 手にはテディベア。

 物知りなアルドー国王に由来を聞いてみようと思ったから。


 クリス様の執務室へ通されると、神殿長と聖女様がいらした。

 そういえば、神殿長と聖女様は建国当初の事をご存知だ。

 わたくしはテディベアを取り出し、お二人にお見せした。


 

「わあ、まだ残っているの?」

 聖女様が嬉しそう。

 わたくしが手渡すと「あっ」と言いながら、花がほころぶような笑顔。


「この動物の由来をご存知ですか?」神殿長に訊いてみた。


「ああ、これはクマです」

 そう言って手元にあった機械を操作して、わたくしに見せてくれた。

 機械には絵が映し出されている。


 ⋯⋯クマ。クマ?

 口にキラリと光る、ぬるっとした海生生物のような物を咥えている。

 しかも違う絵の白いクマは口が真っ赤。足元には巨大な塊。


 

「故郷の星に生息していました。今もいるかはわかりませんが。それを模したものです」

「⋯⋯」


 何がどうなってこんないかつい(・・・・)動物が、可愛いぬいぐるみになっているのでしょう?


「害獣でしたの?」

「そうとも言えるし、保護対象でもありましたね」

 涼し気なお顔で神殿長はおっしゃる。

 わけがわからない。


 

「ふっふー。かーわいい。何処に売っているかご存知ですか?」

 聖女様がテディベアを優しく撫でてから、わたくしに手渡す。

 場所を告げると、「ハルトー、買ってー」と神殿長の袖を引っ張った。


「あの、これを⋯⋯」咄嗟に口から出てしまった。

「⋯⋯だめだめ。これは大事な方からなのでしょう? 私はハルトから貰うわ。ね? ハルト」


「さっき、何か視えた?」神殿長が聖女様に訊く。


「手渡された時に、手に触れたの。髪の長い男性と、テディベアとクマのプリント見てるとこ。周りに可愛い小物がいっぱいあって幸せそう」

 わたくしと夫の姿なのかしら。聖女様は未来が視えるとか。


 

「ああ、では」と言って神殿長が鞄からもう一つ古代機械を取り出す。

 手元の機械を操作すると、何やら紙が出てきた。


「こちらをどうぞ」

 口に海生生物のような物を咥えたクマの絵。


 何度見てもいかつい。

 テディベアと見比べる。


 納得いかないでいると、

「子グマの頃は可愛いんですよ」

 と、神殿長が苦笑した。


 

 帰宅し、夫に絵を見せた。

「なにこれ、こっわー」

 そう言って笑った。 

最近この二人がやたら存在感が強くて、つい。

『クマ祭り後夜祭』に参加させていただきました。

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― 新着の感想 ―
マグノリア王国の世界観に、クマを登場させていただき、ありがとうございます! それでも、違和感なくとても読みやすかったです。 企画へのご参加ありがとうございます!
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