表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者は働きたくない!!  作者: そらり@月宮悠人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/9

神出鬼没の魔法使い

 魔力が枯渇すれば星は死に、星が死ねば生き物は生けていけず人間も魔族も等しく滅ぶ。


「……」


 勇者は考えた。魔王に騙されてはいないかと。魔力が枯渇すれば星は死ぬ。そんなことを国王や12人の魔法使いが考えないはずがない。


「このままだと魔力はいつ枯渇するんだ?」

「余の計算では120年程だな」

「120年……。それはつまり、星が死ぬまで120年ってことか?」

「うむ」

「……そうだ! 人間が魔力消費を抑えればいいんじゃないか?」

「勇者も少しは頭が回るようになってきたではないか。確かに人間が魔力消費を抑えれば星が死ぬことはない」

「じゃあ、国王陛下に進言すれば」

「残念ながらそれは無駄だ」

「ど、どうして?」

「余は何度か人間を説得しようと試みたことがある。当然、各国首脳にも危機を伝えた。魔力消費さえ減らせば人間を滅ぼすようなことはせぬとな」

「それで……?」 

「答えはノーだったよ」

「な、なんで?」

「信じようとしなかったからだ。魔力は世界に潤沢に存在する。それらが尽きる訳がないとな」

「そんな……」

「勇者よ、お前も余の話を聞いて一瞬疑ったであろう?」

「――っ!」


 心を読まれたのかと一瞬身構える勇者に、魔王は「魔術など使っておらんよ。様子を見てれば分かる」と言って落ち着かせる。


「もうすぐ世界の魔力が尽きると、魔族に言われてすぐ信じる人間のほうがどうかしている。そもそも種族、思想、行動原理、全てが異なっているのだ。人間同士ですらそうであろう? もし国王が勇者を次期国王にすると言ったら、お前は信じるか?」

「いや、なにかの冗談だと思うだろうな」

「な? そもそも他人が言う突飛な発想は信じられぬのが当たり前なのだ。今はノー知識だった勇者が余から教わったために半分信じている状況だ。もし12人の魔法使いの誰かから魔法と魔力について教わり、深い知識を持っていたのなら、信じようとはしなかっただろう」


 魔王は水を飲むと、「少し出るぞ」と言って外に出た。勇者に一人で考える時間を与るのと、()()()()()()を相手にするため――。


「……出てきたらどうだ?」


 外に出た魔王は隠れている魔法使いに声を掛ける。


「おや、バレていましたか」


 現れたのは黒いシルクハットを被り、左眼が緑で右眼が紫のオッドアイ。中性的な顔立ちの魔法使いである。

 

「隠れる気など無かろう。近くで一番気配が目立っておったぞ」

「はは、ボクは隠密行動が苦手でして。――お初にお目にかかります。ボクはトルマリンといいます」

「知っておるよ。トルマリン・エルデリッカ。西方生まれの魔法使いであろう」

「おや、これはこれは。ボクをご存知とは光栄ですね」

「12人の魔法使いに関しての情報は少ないが、トルマリンは魔族の間でも有名だ」

「ほほう」

「変幻自在、神出鬼没にして大胆不敵。要は面倒くさくて相手にしたくないとな」

「ははは! そうですね、面倒くさいとはよく言われますよ」

「それで? 余を殺しに来たか?」

「とんでもない。魔王を殺せないことは今、身を以て知りました」


 聖属性による畏れ。魔王を前にするとどんな人間であろうと攻撃はできない。


「……なるほど、()()()()()()()。お前、今はどこにいる?」

「はい? ここにおりますが」

「惚けるな道化。余は魔王だぞ? いかに精巧かつ巧妙に作られていても、お前が()()()()()()()であることは分かる」

「……これは驚きましたね」


 トルマリンは声のトーンを一段低くした。魔王に魔法を看破され地が出たのである。


「他11人の中でも一人にしかバレなかったのに」

「ほう。一人か。12人の中で有能なのはどうやら()()だけのようだな」

「お気をつけくださいね。あの人は強い。それに容赦がない」

「妙なことを言うな。まるで余の味方のようじゃないか」

「いえいえ、そうではありませんよ。ボクは誰の味方でもありませんから」

「ほう? では国王ですら利用するか」

「はは、そこはさすがにノーコメントです」

「ふん。それで? 本体は余を攻撃できるのか?」

「いえ、残念ながら無理のようです」

「……」


 魔王はトルマリンをジッと見つめる。しかしその瞳はトルマリンの先を見ているようだった。


「……なるほど。まあいい。貴重な情報を渡してやったんだ、早く共有してやれ」

「おや、いいんですか? そんな無防備で」

「なに?」


 乾いた音が澄み渡る青空に響く。


「……さすが魔王ですね」

「言っただろう? 有能なのは()()だけだとな」


 右側頭部に(つら)なって止まった3発の弾丸をトルマリンに返す。


「それも研究材料にするといい。なにやら裏でコソコソと準備しているようだが、国王(やつ)の策略など児戯に等しい。余は逃げも隠れもできぬからな、いつでも来るといい」


 魔王は不敵な笑みを浮かべて家に戻って行った。


「……魔王か。恐ろしい方だ」


 トルマリンがこの魔法、実像分身を見破られたのは3()()()だった。

 最初は魔法の師匠。高名な術師であり、当時は今ほど完成度が高くなかったのもあり見破られた。

 それから研鑽を積み完成度を高めた結果、誰にも見破られることはなかった。ただ一人の魔法使いを除いては。


「実像分身ならあるいは、と思ったんですが……。なるほど、面白い仕事になりそうですね」


 トルマリンは実像分身の技術を買われて12人の魔法使いに選ばれた。()()()()()()であり、攻撃力はそこいらの学生にすら劣る。

 そのため今回は実像分身による近距離での観察と他メンバーのサポートが主な仕事となる。


 ――3()5()()()()()()()()()()()()にいる本体のトルマリンは魔法を解いて研究室へと向かう。


「さて、どう攻略しましょうか」



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ