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勇者は働きたくない!!  作者: そらり@月宮悠人


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356万エーテル

 ルーシーは困惑していた。

 いつからか勇者の事が気になるようになり、アシルから好きかと問われ、自分が勇者に好意を持っている可能性を意識するようになった。


 それというのも、魔族には恋愛感情が無い。強いか弱いか、それだけの世界だからだ。先代魔王も先々代より強いからこそ制度に文句をつけ、実力で分からせる事ができたのである。

 そうした魔族の背景を踏まえてルーシーには一つの仮説があった。弱体化した今は圧倒的に勇者が強い。だから惹かれているのではないかと。


 しかし、今はまた別の謎に直面している。つい先日までサファイアをさん付けで呼んでいた勇者がサファイアと呼び捨てにした事への違和感と、モヤモヤした気持ちだ。

 これまで、勇者に対してありのまま素直で直球に接していたルーシーは、自分の思うような言動が取れない事に驚きを隠せないでいた。


「どうしたものかのぉ……」


 魔法講座をやると言っておきながら、ルーシーはボーッと空を眺めていた。

 先程も勇者が頭を撫でてくれるのは気配で分かっていた。なのに身体が勝手に走り出してしまったのである。


「余の体はどうにかなってしまったのか?」

「いえ、なんともなってませんよ?」

「――!?」


 突然現れたトルマリンに後ずさりする。


「警戒しないでくださいよ」

「するわ!!」

「勇者様がいない時はルーシー様がツッコミ役なんですか?」

「うっさい!!」

「おやおや、まるで小さい勇者様ですね」

「……なんの用だ」

「ルーシー様を見ているよう、勇者様から仰せつかりまして」

「お前は執事か?」

「いえ。ボクはあくまで12人の魔法使いです」

「12人の魔法使いか……。国家魔法が始まりなのだろう?」

「よくご存知ですね」

「フフハハハハ、余は魔王だぞ?」


 ルーシーはターコイズブルーの瞳を妖しく光らせてニヤリと笑う。


「大昔に臣下と国民を騙し、王国を滅亡の危機に陥れた国王がいた。その教訓から国家魔法である『嘘をつけない』という制約魔法が創り出された。その時に選ばれた魔法使いが12人いて、それがそのまま制度として残った」

「その通りです。ついでに言いますと、現在アリストリア王国に存在する国家魔法は3つあります」


 国家魔法とは、王国内で選りすぐられた精鋭中の精鋭が創った魔法(もの)で、文字通り国家規模の魔法である。

 戦術兵器『スターライト・ノヴァ』

 防衛魔法『リフレクション・カウンター』

 制約魔法『リストリクション』


「余は警告してやったのだがな。スターライト・ノヴァは星の寿命を縮めることになると」

「その話はボクも聞いたことありますよ。でもそれは使い続けたらでしょう?」

「分かっておらんな」

「え?」

「スターライト・ノヴァ一発でどれほどの魔力が失われるのかが」

「それはもちろん計算されて――」

「では問おう。スターライト・ノヴァに使用される魔力はどこから得る?」

「大気中の魔力を溜めているんですよ」

「フフハハハハ、12人の魔法使いが聞いて呆れるな。大気中の魔力を溜め込む? いったい何十年かけるつもりだ?」

「……どういうことですか?」

「結論から言ってやろう。スターライト・ノヴァは地下の龍穴から地脈の魔力を直接吸い上げて発動させるものだ」

「バカな!? 地脈の魔力は星のエネルギーそのものですよ? それを吸い上げるなんて……!」

「狂気であろう? そもそもスターライト・ノヴァ一発に必要な魔力量を知っているか? 356万エーテルだ」

「そんな……! 僕が見た仕様書には50万エーテルとありましたよ!?」

「ふん。仕様書などいくらでも偽装できる。もちろん他国にも魔導兵器はあるが、そのほとんどは20万エーテルほどの戦術兵器ばかりだ。だがアリストリア王国のそれは、もはや戦略兵器だ」


 魔力量を表すエーテルは、魔法によって大体決まっている。ルビーの狙撃は約3000エーテル、サファイアの凍結魔法は最大出力で約2万エーテルなど。

 他国にある魔導兵器は大気中の魔力を集める。だからこそ効率を考慮して20万エーテルで設計されている。


 しかしスターライト・ノヴァは、龍穴から星のエネルギーを直接吸い上げることで356万エーテルもの膨大な魔力チャージを可能とした。

 それはサファイアの凍結魔法で言えば、最大出力の実に178倍という途方もない魔力量が一度で消費されるという事になる。

 

「一発だけでも地形は変わり地図も書き換わる。数年から十数年は天候もおかしくなるだろう。そんなものを連発してみろ、この星のエネルギーなどあっという間に尽きて枯れ果てる」

「し、しかしそれは本当なんですか? ボクにはどうしても信じられません」

「余が10年程調べたことだ。間違いはない。それでも信じられんのなら、自分の目で確かめるといい」

「どこで……?」

「王国立魔法学院の地下にある秘密研究所だ」



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

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