最終章:EDO──時を継ぎし者、覇を成す
秀吉の死後、わずか2年足らず…
慶長五年(1600年)。
関ヶ原の戦いは、まさに“時代の裂け目”であった。
東軍・徳川家康と、西軍・石田三成の激突──
その裏で、一つの偶然が“運命”を決定づける。
時を遡ること数年──22世紀の日本。
天才AI技術者・藤宮頼道は、 戦国時代に送り込んだプロトタイプAIグラス「NANIWA」の
作動停止信号を確認したことに胸を痛めていた。
「……あの装置は、まだ完成されていなかった」
彼は改良型AI、思考同調型サポートユニット「EDO」を開発。
ナニワが停止した地点──戦国末期に補正座標を定め、救援として送り込む。
しかし──時空座標のわずかなズレ。
EDOが到着したのは、秀吉の死の“前日”だった。
伏見城。
最期の夜を迎えようとしていた太閤秀吉の傍ら、
使われることのないまま、EDOは密かにそこに存在していた。
だが、秀吉が息を引き取ったあと──
翌朝、伏見城を訪れていた徳川家康が、 一つの銀色の筐体に目を留めた。
「……これは?」
装置に触れた瞬間、EDOは再起動。
EDO『デバイス接続確認──環境:戦国日本──最終認証者:徳川 家康』
そのとき、家康は悟った。
「これは……天が我に授けた導だ」
Encrypted Device Observer── “封じられし観測者”。
ナニワのような音声制御ではなく、 脳波思考に応じて知見を導き出すサイレントモード型AI。
EDOの導きのもと、 家康は己の謀略、縁組、外交、武略をすべて統合。
関ヶ原において三成を破り、 ついに天下を手にする。
そして、江戸幕府を開く。
だが、家康はこの技術の恐ろしさを知っていた。
「人が、道を誤らぬように……封じねばならぬ」
家康は、孫の家光にEDOを託し
「真に天下泰平の世になったら処分しろ」と遺言を残し
家光は、EDOを記録ごと封印。
人の力だけで政治を進める道を選んだ。
時代は、静かに流れ出す。
猿が夢を見た時代は終わった。
獅子が築いた世が始まった。
そして、誰も知らぬまま── NANIWAとEDOという、
“時を継ぐ叡智”は、 静かに歴史の奥に眠りについた。
【完】
ナニワと秀吉の物語をお読み頂いて有難うございます。
物語は、天下泰平の江戸時代に突入しますが
家康から家光までの時代に天下泰平のため活躍した"EDO"の物語を続編として
書いています。
『将軍だけどAIチートで天下泰平しちゃいました』も楽しんでくださいませ。
9月18日投稿予定です。よろしくお願い申し上げます。




