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第45話:関白任官──天下人、帝の名のもとに
天正十四年(1586年)秋、 豊臣秀吉はついに関白の座に就く。
それは単なる権力の獲得ではなく、
「武士が朝廷の頂点に立つ」という、 未曾有の政治革命であった。
ナニワ『帝の勅命、発令確認。 関白任官正式決定。文書伝達経路、政庁統制網:再構築要。』
朝廷との綿密な調整は、 ナニワの情報解析と未来的な礼法知識の支えによるものだった。
「この猿と呼ばれたワシが……とうとう……帝の名のもとで世を治めるんだがね……」
その手は、信長が志半ばで散った場所へ、 再び“天下布武”の火を灯すように震えていた。
【帝の信任と不安】
宮中では、豊臣秀吉という前例なき関白を 畏れと戸惑いをもって迎えていた。
ナニワ『公家内部:動揺感知。摂関家との力関係:急変動。 天皇:慎重な信頼段階に移行中。』
だが、ナニワの報告にかすかなノイズが混じる。
ナニワ『……接続処理不良……演算再試行──』
「……おい、ナニワ……大丈夫だわな?……」
もはや秀吉は、かつてのようにその答えに絶対の信頼を寄せることができなくなっていた。
だがそれでも、彼は歩みを止めない。
「天の声やろうが、機械の声やろうが……聞く耳もつんは、今のわしだけだわ」
天下人・豊臣秀吉──ここに誕生。
その影には、かつて猿と呼ばれた男と、 一つのAIの壮絶な旅があった。




