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第36話:別れの知略──竹中半兵衛、静かなる最期

備中高松城が水没し、戦が終結した夜──


陣の静けさの中に、竹中半兵衛の姿はあった。

蒼白な顔、痩せた手。

かつて軍略をもって天下を動かしたその男は、すでに病に蝕まれていた。


ナニワ『半兵衛:体温35.1℃、心拍低下。末期症状進行中。対応手段──ありません。』


「もうええ……ナニワ、知らせてくれてありがと」


秀吉は、半兵衛の枕元に膝をついた。


「わしくしは……そろそろ、お暇を頂くころかと」


「やめとけ半兵衛、まだまだ、これからが正念場や」


「……信長様の未来も、ワシの未来も、 すべてはあんたの手に掛かっとる。それだけは忘れるな」


秀吉は何も言えず、ただうなずいた。


半兵衛は静かに笑い、瞳を閉じた。


「これでいい……あとは、秀吉様、頼みましたぞ──」


その夜、星が一つ、空から消えた。


秀吉は、半兵衛の遺骸のそばで夜を明かした。 ナニワも、その間、沈黙を守った。


竹中半兵衛重治。

天下一の軍師にして、静かなる天才。

その知略は、猿の目を未来へと開かせた。


そしてその死は、秀吉に“戦”の意味を問わせるきっかけとなった。

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