第24話:反逆の胎動──将軍義昭との決別
元亀三年(1572年)。
比叡山の炎がまだ人々の記憶に鮮明に残るなか、
京の情勢はさらに不穏さを増していた。
室町幕府第十五代将軍──足利義昭。
「信長……このまま貴様の好きにはさせぬ」
将軍として擁立され、信長の庇護下にあったはずの義昭は、
次第にその“傀儡”という立場に不満と恐怖を募らせていく。
表向きは友好を装いながらも、 水面下で各地の反織田勢力との接触を開始。
朝倉義景、浅井長政、本願寺顕如、武田信玄
── そう、後に言う「信長包囲網」はここから胎動したのだった。
【藤吉郎、密命を受ける】
「猿。京の空気が怪しい……義昭殿のまわりを洗え」
信長の命を受け、藤吉郎は三条西実澄や公家衆、 堺の商人、比叡山残党の動向まで調べ上げた。
ナニワ『義昭公、甲斐・越前との書簡往来あり。将軍親書、朝倉方に転送確認』
「やっぱりか……こら、もう“将軍”とは呼べんな」
藤吉郎は、胸の奥に押し殺すような哀しみを覚えた。
かつて、この男の理想に信長も、そして自分も少しは夢を託していたのだから。
【義昭の動き、明るみに】
ついに義昭の策動は明らかとなり、 信長は彼に最後通牒を突きつける──
「今一度、武を退き、政に従え。さもなくば、都より逐う」
義昭は応じなかった。
「この京の主は、我ぞ!! 織田信長ごときに頭など下げぬわ!!」
そして、信長はついに決意する。
「室町幕府、もはや不要なり──力で、終わらせよ」
【室町幕府、終焉の兆し】
時を同じくして、 信玄が西進、三方ヶ原の戦へ。
本願寺も堺港を通じた兵糧を確保し、再び動き出す。
浅井・朝倉も未だ健在。
「敵、四方八方。けど……信長様はひとつも怯んでおらん」
藤吉郎はその背中を見つめ、 自らもまた“幕府に代わる新しい秩序”のために、進む覚悟を新たにした。




