表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/61

第20話:三つの殿──藤吉郎・家康・光秀、各々の夜

金ヶ崎の戦い、その夜。


織田信長本隊が撤退を開始し、金ヶ崎の山間に静けさが戻る頃、

三人の男が、それぞれに異なる任務を背負っていた。


【藤吉郎──“猿”の殿】


泥と血に塗れながら、藤吉郎は仲間を逃がすため矢面に立っていた。


「前だけ見とれ! ワシらが最後の壁だで!」


ナニワ『地形分析:北側谷道に伏兵配置、再誘導に成功』


焦げた煙の中、藤吉郎は疲れた眼で戦場を睨む。


「信長様が生きとるなら、それでええ……」


この夜、彼の名は“捨て身の武士”として確実に刻まれた。



【家康──若き獅子の殿】


別路を取った松平元康(徳川家康)は、 近江街道側の退路を確保しつつ、兵の誘導に従事していた。


「味方を守るのが将の役目だ。退け、退けぇっ!」


鉄砲隊を小刻みに移動させながら、 規律正しい退却戦を演出していく。


「藤吉郎か……あやつも、必死に働いておるな」


若き家康の目に、同じ未来を見つめる者の背中が浮かんでいた。



【光秀──静かなる影の殿】


そして、京へ向かう将軍・足利義昭の警護に就いていたのは明智光秀。


だがその道中、義昭の駕籠を狙う奇襲を察知し、光秀は決断する。


「殿を務めているのは、木下殿か……ならば、我が道もまた殿だ」


少数の兵を率い、義昭の安全確保を最優先に戦術を展開。


「影に徹し、命を守る……これもまた、戦の本懐」


静かに、そして確かに──彼は任を果たした。


それぞれの夜。


三人の“殿”が命を懸けて守ったもの。


信長の命、将軍の威信、そして未来への可能性。


戦の喧騒のあと、彼らが見た夜空は、 それぞれ違いながらも──同じ星を見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ