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怪異撃滅クラブ  作者: 秋野てくと
連結封鎖領域【カダス・アイランド】撃滅戦
40/46

第二の錠前解明獣【偽相獣ドッペルゲンガー】

第二の謎――

ミコネの目の前で死んでいたミコネ自身。


ドッペルゲンガー、という妖怪を思い出す。

自分と同じ姿をした、もう一人の自分。

ウワサでは、ドッペルゲンガーを見てしまったものは近いうちに死んでしまう……という話だ。


新たな《錠前解明獣ロックド・ビースト》に、ミコネは挑む!

手にする論理武装ロジック・アームズは、第一の謎でも用いた手がかり。


「”死因の不一致”ッ!

 あたしはナイフで胸を突いて死んだ。

 なのに、あたしの死体は背中から刺されてたッ!」


背中からナイフで刺されたミコネの死体は、うつ伏せとなって倒れていた――これでは、顔を見ることはできない。つまり、犯人の狙いは顔を隠すことにあるッ!


「ミステリでは定番の要素――

 ”顔のない死体”だよッ!」


そして、うつ伏せになって隠せるのは顔だけじゃない。

犯人が隠したかったのは――()だ。


「あたしの死体に化けてた人物は、あたしと同じくらいの背格好で、かつ、仰向けに倒れていたとしたら、一発であたしじゃないとバレてしまう人。つまり、犯人が隠したかったのは――ッ!」



☆☆☆


ミコネが頭をうずめると、

同じくらいの大きさの弾力が押し返した。


ふわっ、ふわっ、ふわっ。


「セラ先輩って……ほんと、やわらかいですッ!」


☆☆☆



セラ先輩のおっぱい――

略して、セラぱい。


「セラ先輩ッ!

 あたしに変装してたのはセラ先輩ですねッ!」


「なァ……ッ!?」


ミコネが指した新たな犯人は、

怪異撃滅クラブの知恵袋――榎木田えのきだセラだ。


「もしも、仰向けに倒れてたら……

 立派な二つのメロンで、一瞬でバレるッ!

 そのために、うつ伏せに倒れる必要があったッ!」



☆☆☆


「(デッカい……!)」


「ミコネ殿?」


「え、ええと! マツリちゃんはスタイル良いなぁ、って! 何を着ても似合いそうでうらやましい。……あたしってば、肩幅も無いし、ペタンコだし……」


☆☆☆



「そうだよ……あたしの貧相さは、

 あたしが一番よく知ってるんだから……ッ!

 そうですよね、セラぱいッ!」


セラは慌てた様子で反論する。


「は、はァ!? アタシがミコネに変装してた、ですってェ!? ありえないわ。何を根拠に言ってんのよ!」


「ヨミちゃんの死が狂言であった以上、小屋のすぐ外にいたセラ先輩も共犯だと考えなければ、つじつまが合いません。ヨミちゃんのバラバラ死体……あれだけの大作業を、セラ先輩に知られずに実行するのは不可能ですッ!」


「…………ッ!」


「セラ先輩が壁越しに話してたとき……あたしと同じ格好、あたしと同じ髪型に見えるウィッグを付けて、既に成りすます準備は終わってた。あたしがヨミちゃんの死体を見て足を止めてる隙に、小屋の中に入って死体を演じた……違いますかッ!?」


「ええと、それはその、ねェ……」


セラはちらちら、とヨミに目線を送る。

ヨミは髪をかき上げて、ため息をつく。


「……はぁ。選手交代する。

 セラには荷が重い……かも」


「お、お願ァい!」



パン、とバトンタッチしてヨミが前に出た。



「ミコネの推理には穴がある……かも。仮に、セラがミコネの死体のふりをしていたとして、どうやってミコネに知られずに小屋の中に入ったの……?」


「それは……ッ!」


あのとき、ミコネは自分の小屋の入り口に立っていた。


いくらヨミの死体に気を取られていたとはいえ、

知られずにこっそりと入るのは普通ならば無理だろう。


実行できるとしたら、気配遮断スキルを持つ者――


「(()()なら可能かもしれないけど……ここでカードを切るわけにはいかない)」


忍者には、後でたっぷり働いてもらうのだから。

別の手段をもって、ここは解決したい。


ミコネが繰り出すのは、既知の怪物。

錠前解明獣ロックド・ビースト》を召喚するッ!


「『スフィンクスの魔術』を適用するよッ! あたしの小屋にもヨミちゃんの小屋と同じ、三つ足の机があった。あの机の下に鏡で隠された空間シークレット・スペースがあったと仮定すれば、抜け穴を設置して室内に侵入が可能ッ!」


「……抜け穴なんて、ミステリでは邪道」


()()()()()()()()()()()()

 そう言ったのはヨミちゃんだよねッ!」


「くっ……なら、確かめてみるといいかも」


ヨミは不遜な目つきで小屋を示した。


「ミコネが言うような抜け穴があるとしたら、短時間で痕跡を隠すことは不可能……気の済むまで、調べるといい」


「ヨミちゃんがそう言うなら、きっと、この小屋には抜け穴は存在しない……ってことだよねッ!?」


「その解釈でOK、かも。

 ミコネの推理は、ただの空論」


「いいや、その謎は既に解けてるよッ!」


ミコネは、傍で様子を見守るセラとビストに質問する。


「セラ先輩、ビストさん。

 このあたりで、何かを拾ったりはしませんでしたか?」


これは最後確認だ。

言い逃れをさせないための布石。


「何も……拾ってはないわよ。ねェ?」


「右に同じ、と言っておきます」


予想通りの答えだった。

これで、第二の怪異は撃滅できるッ!



☆☆☆


ミコネは、ポケットの中で手を握る。

手には、硬い感触を感じた。


☆☆☆



ミコネがポケットから取り出したもの――

それを見て、ヨミは呟く。


「キャンディ……?」


「小屋に入る前に、ヨミちゃんにあげようとしたよね……あのとき、ヨミちゃんは受け取らなかったけど。小屋の中で、あたし自身の死体を見つけたときに、あたしはポケットからキャンディを落としておいたんだ。目印のために」



「まさか……ヘンゼルと、グレーテル」



ヘンゼルとグレーテルの物語。

魔女の家に向かう二人は、目印として森にパン屑を置いていた。

パン屑は、森の生き物に食べられてしまうのだけど……


「あたしのキャンディは個包装。

 勝手に食べられたりはしない……

 でも、どこにもキャンディは無かったッ!」


つまり、この二つの小屋は、

自分たちが偽死忌ギシキをした小屋じゃないんだ。



()()()()()()()()()

 ()()()()()()()

 ここに来るまでの道中は、

 ビストさんの案内で来た――

 さっきも、そう。

 まったく別の小屋に案内されたんだよ。

 そう考えれば、

 セラ先輩が侵入した仕掛けの存在や、

 ヨミちゃんの小屋にあったはずの、

 ”血のり”の問題も解決できるッ!」



短時間で床にばらまかれた血のりの痕跡を消す方法――

それは、よく似た別の小屋に案内することで成立する。



【鏡面獣スフィンクス】

【偽相獣ドッペルゲンガー】

二体の《錠前解明獣ロックド・ビースト》を、同時に撃滅ッ!



「これが、あたしの推理だよッ!」


当然ながら、秋野ビストも共犯。

いや――


「犯人は、全員。

 そうなんだよね、ヨミちゃん?」


「ミコネ……ッ!」


あたしは秋野ビストに狙いを定めた。


「ビストさん」


「……受けて立つ、と言っておきましょう」


青みがかった髪を垂らす、魔性の未亡人。

この人が関わっている事件は、もう一つあるはず。



ミコネの目の前に現れた、死んだはずの人物。



次なる怪異の名はネクスト・モキュメント――

【再生獣アーキテクト・リボーン】!

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