番外編 些細な事では終わらない
同人文庫版上巻の廃刊に伴い収録していた短編を投稿します。
時系列的には1巻のずっと前。
十二月二十四日は私の日だ。
なぜなら、好きなものを何でも二つ、買ってもらえる権利を与えられているからだ。
さらにさらに、ケーキも二つ、選んでよい事になっている。これは流石に、一日一つにしなさいね、と言われているけれど、それでもショートケーキを食べた翌日に、チョコレートケーキまで食べてよいのだ。
こんなの、無敵で最強に決まってる!
なぜ? と聞かれたら、私は胸を張ってこう言う。
「だって、今日は私の誕生日だもん!」
商店街周辺はいつも賑やかだけど、この時期は至る所がきらきらぴかぴかに輝いている、道端の木は一本残らずクリスマスツリーみたいで、ずうっとずうっと見ていられる。
それら全部が、自分のものになったかのような全能感! もちろん、さすがにそれは言い過ぎなことぐらいはわかってるけど。でも、今日は私の日だから、いいのだ。
「なっちゃん、ほんとにサーモンだけでいいの?」
「うん! サーモンだけでいいの!」
「あはは……じゃあ、サーモンを十……いや、十五貫と、鉄火巻と……」
いつもは同じやつばっかり食べていると、ちょっとはバランスを考えなさい、って言われるけど、今日はもう、私の分はぜーんぶサーモン。
お寿司屋さんで持ち帰りのお寿司を用意してもらっている間に、プレゼントを選びにいく、完璧なプランなのだ。
「………………?」
注文を続けるおとうさんを待っている間、適当に周りを見ていると、街灯に体重を預けて、下を向いている女の子がいた。
なんでその子が気になったのか、自分でもよくわからない。
地面につきそうなほど長いツインテールが、ゆらゆらと揺れている。
厚手のコートを着ていて、ニットの帽子も被っていて、寒そうじゃないけれど。
寂しそう、に見えたのかも知れない。
「おまたせ、なっちゃん……どうかした?」
「あ、ううん、なんでもない。いこ、おとうさん」
私なんてすっぽり隠れてしまうような大きな手を、しっかり握って歩き出す。
「で、なっちゃんは何がほしいんだっけ」
目指すは駅の真横にある家電量販店のおもちゃ売り場、狙うターゲットは一つ!
「プレシャス・プリンセスの剣! 《桜花の剣》!」
私の声に、おとうさんは思っていた通り、ええー、って顔をした。口にも出した。
「ええー……もっとこう、ゲームとかにしない? フィギュアとか……」
「やーだ! プレシャスのがいい!」
プレシャス・プリンセス、私の大好きな、世界で一番綺麗で可愛くて格好いい魔法少女。
彼女が持っている魔法の剣、《桜花の剣》は日本中の女の子達の憧れといっても過言じゃない。
クリスマスシーズンを狙って、最近新作の玩具が発売された。
子供向けと侮るなかれ、そのディティールの細かさ、再現度の高さを検証したネット動画を、私は何十回も見た。
絶対欲しい、超欲しい。
ここで《桜花の剣》を手に入れないと、今後の計画に支障が出てしまう。
お年玉を貰ったら、一月末に発売する最新の写真集を買う。そして応募券にファンクラブの継続特典である優待の権利を使用して、今日のプレゼント一回分を握手会への遠征費用という形でもらう予定なのだ。完璧。
最終目標は、本物のプレシャスの、サイン入り《桜花の剣》……!
考えただけで足が弾む。アイテムはもう予約してあるから売り切れちゃうことはないけど、早く欲しいという気持ちは抑えられない。
「魔法少女かぁ……うん、わかってはいるんだけどね」
「おとうさんは嫌い? 魔法少女」
「嫌いじゃないよ、皆のために戦ってくれてる、凄い娘達だよ……お父さんなんかより、全然若い……小さな、子供なのにね」
ぽりぽりと頬を掻くおとうさんの横顔を、私は見上げていた。
「すごいよね、格好いいよね! 私も魔法少女になりたいなあ」
だけど、それはとっても難しい。魔法少女になれるのは、選ばれた一握りの女の子だけなのだ。
魔法少女が通う学校なんてのもあるらしいけど、そこに通っているのは《魔法の世界》出身のエリートがほとんどだって聞くし。
「ううーん……お父さんはなっちゃんに魔法少女になってほしくないなあ」
「えー、なんで?」
「だって、危ないじゃないか。魔物は、やっぱり怖いよ。なっちゃんになにかあったら、お父さん、天国のお母さんに怒られちゃうよ」
「大丈夫だよ! 魔法少女が負けてる所なんて、見たことないもん!」
テレビの向こうで戦う魔法少女は、いつだって格好良く魔物をやっつける、正義の味方だ。
「それに、私が魔法少女になったら、おとうさんのこと、守ってあげられるよ!」
「あははは……それこそお母さんに怒られちゃうよ、なっちゃんの事を守ってねって頼まれてるんだから」
「えー」
おかあさんだったら、なっちゃんはえらいねーって褒めてくれると思うんだけどな。
十五分ぐらい歩いて、目的地に到着したはいいものの、レジにはすっごい人が並んでいて、三十分ぐらい待つ羽目になった。
一般販売分の《桜花の剣》は既に売り切れていて、泣いてる娘も居たぐらい。
だから、無事に予約してたのを受け取れた時は、思い切りガッツポーズをしちゃったし、私の身長ぐらいありそうな、ラッピングされた大きな箱を担いでもらったときは、さすがにちょっとごめんなさいしないとな、という気持ちになっちゃったけど。
「ありがと、おとうさん!」
でも、ごめんよりありがとうを言ってほしいな、というのが、おとうさんの口癖なので、私はちゃんと、それを守った。
「はー、大分並んじゃったねえ、早くお寿司を受け取って帰ろう、寒くなってきた」
「うん、私もお腹空いた。サーモンたべたい」
完全にサーモンのお腹になってるサーモン以外で今の私は満足できない。
でも、ちょっと鉄火巻を添えたい気分もあるような……あ、おとうさん、鉄火巻も頼んでくれてなかったっけ。さすが、さすがすぎるよおとうさん、天才だよ。
なんてことを考えたたら、お寿司屋さんの前に戻ってくるのは、あっという間だった。
「…………あれ?」
「ん、どうしたの? なっちゃん」
「えっと……あの娘、さっき、お寿司頼んでたときも、あそこにいた」
街灯の前、あの娘が、同じ場所で、同じ格好で、同じポーズで、そこにいた。
あれから、もう一時間くらい? もう、夜の八時になりそうなのに。
「ごめん。なっちゃん、ちょっと待っててくれる?」
おとうさんがそう言い出すことを、私はわかっていた。
だから本当は、言いたくなかったし、手を離したくなかったけど。
魔法少女が皆を守ってくれるように、おとうさんは困った人を助けるのが仕事だから。
「こんばんは。お母さんかお父さんを待ってるのかな?」
女の子に近づいたおとうさんは、なるべく笑顔のまま、女の子に声をかけた。
「あ、怪しい人じゃないんだよ、おじさん、お巡りさんなんだけど……あ、警察手帳、今持ってない……!」
業務終了後の、プライベートであることを忘れていたおとうさんは、背が高いし、肩幅も広いし、腕も足も太い、つまりでっかい。警察手帳がないと、知らない人からはその体格だけで怖がられてしまう事を自覚してるので、慌て始めた。
「あー、うん、そこの交番まで一緒に行かない? ここは寒くないかな? 本当に怪しいものじゃなくて……ほんとに……!」
言い訳を重ねると、余計怪しく聞こえるのは気のせいかなあ?
しかたない、優しい娘がフォローしにいってあげようかな、と思って私も近寄った。
その女の子も、最初はおとうさんの事を、怖がりはしないまでも、驚いて返事ができないのかと思った。
だけど違った。その女の子は、ゆっくり顔を上げて。
おとうさんじゃなくて――――私を見た。
「………………ひっ」
喉の奥から、思わず悲鳴がこぼれかけた。だって、だって!
その瞳は、ガラス玉だった。白目も黒目も瞳孔もない、何も映していない、全部が映っている、透明なガラス玉。
「……お、おとうさん」
「ど、どうしたの? なっちゃん」
思わず、おとうさんの腕を掴んで、引っ張ってしまった。
「何、って目、目…………!」
「目が、どうかした?」
わからないの? 見えてないの? 気づいてないの?
「行こう、もう、行こうよ、この子、なんか変だよ」
おとうさんが、眉間にしわを寄せた。言葉を間違えた、と口走ってから気づいた。
「…………こら、なっちゃん」
そうだよね、普段から、言われた人が傷つくような言葉を使っちゃ駄目って、私だって言い聞かされる。
でも、それは今、怒られるべきことじゃない、今すぐ逃げなきゃ大変なことになる。
私の、その恐怖は、おとうさんには、伝わらなかった。
「………………別にこの街じゃあなくてもよかったンですよ」
「……ん?」
ぽつりと呟くような声。何故か私の耳にも、よく聞こえた。
「ただ、もし自分を見つけられる人がいたら、そこにしようって決めてたンです……だから、ほンと、運とかの問題なンですよ、あなたじゃなくてもよかったけど、あなたが気づけるってことは、幸せだってことなんです、今が」
女の子は、おとうさんのことを、とん、と軽く押しのけて、私の前まで歩いてきた。
「心から幸せな人――未来を、憂いていない人。無償の愛とか、他人からの祝福とかが、頭と心に満ち満ちてるような、そんな人じゃないと、自分を認識できないンです……あなたですよ」
私を指さして、ガラス玉の瞳で、じっと、私を――睨んでいる。
「自分、《GENOCIDER》って言います。覚えなくてもいいンですけど」
それが女の子の自己紹介だと、私は理解、できなかった。
「ええと、これからあなたを殺します……じゃないか。言葉は正しく使いましょう――」
無表情だった女の子に、初めて変化があった。口の端がつり上がって、これから始まることが、楽しみで楽しみで仕方ないみたいに。
まるで、誕生日プレゼントを待つ、私みたいに。
「これから、あなたで殺します」
嘲笑った。
「きゃっ…………」
ぐらり。
私の視界が揺れた――違う、地面が揺れてる。
マンホールとか建物とか、イルミネーションがきれいな木とか、そういうものから。
濃い光が溢れだす、赤も青も黄も緑も紫も白も黒も全部ある。
「お、おとうさ――――」
ぐらり。
おとうさんの体も、揺れた。
違う。
どさっと倒れた体から、何かが跳ねて、私の下にやってきた。
「――――え?」
バスケットのボールのような、おとうさんの顔。
酷いことを言ってしまった私のことを、怒ってなかった。
誕生日にはしゃぐ私のことを、笑ってもなかった。
何もなかった、感情もなかった、だって命が入ってなかった。
「お、とう……さ、ん」
返事がない、当たり前だ。わかってるのに、私は何度も、おとうさんを呼んだ。
何度も何度も。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
そんな私を横目に、女の子は、自分の右目に指を突っ込んで、ガラス玉を引き抜いて。
「落差なんですよね、要するに――幸せの絶頂から、不幸のどん底に落ちた時の、感情の振れ幅が大きいほど、いいンです」
「ぐ、え――――――」
私の顔を掴んで、口を開かせて、それを無理やり、飲み込ませた。
「だからあなたが悪いンですよ、あなたが幸せだったから、自分はそれを壊すンです、だってさァ―――――― 」
私の耳元で、女の子が囁いた。
「――――自分の前で幸せそうなツラしやがって、気に食わねぇンだよ」
喉を固いものが下っていく感覚、気持ち悪い、頭が痛い。体が熱い、寒い、ぐらぐらする。苦しい、息ができない。内側から何かが膨れ上がって、でていこうとしている。
たすけて、たすけて、たすけて、おとうさん。
グシャリ。
私の目の前で、女の子の足が、おとうさんの頭を砕き割った。
☆
パキ、パキ、パリ、バリ。
思い切り体重を預けることに、本気で力を込めることに。
何の心配もしていなかった大きくて太い腕。
私が本気で走っても、小走りで追いついてしまう、疾くて、歩幅の大きな足。
ボリ、ボリ、ゴリ、クチャ。
食べられていた、間違えようもなく、それはおとうさんだった。
へし折られて、砕かれて、噛みちぎられて、飲み込まれていく。
あの女の子は、どこにいったんだろう? とか、そんなことが、なぜか頭によぎった。
…………人間が解体されて、生き物から、お肉になっていく所を、私は見ていた。
目を逸らさずに、ずっと見ていた。
次は自分の番になるとわかっていても。
周りから沢山の悲鳴が聞こえる、周りから沢山の絶叫が聞こえる。
おとうさんの声だけが、もうしない。
首から下を、全部食べ尽くして。
『ゲェェェェェェェッフ』
緑色の《人食い鬼》は、汚い息を吐き出した。
大きかったおとうさんより、もっともっと大きい、化物。
声が出ない。どこかに、忘れてきてしまったみたいに。
魔物は、私を見て、にんまりと笑みを浮かべて、近づいてきた。
転がっていた、箱入りの玩具の剣が踏みつけられて、ばきりと折れる音がした。
二歩で手の届く距離まで近づいて、三歩目と同時に捕まった。
骨が折れたと思った。
おとうさんがどれだけ怒って、私を叱って、げんこつを振り下ろしたとしても、こんなに痛いと感じたことはなかった。
「あ」
――――私、死ぬんだ。
――――食べられるんだ、おとうさんとおんなじように。
腕を掴まれて、ぎぎぎ、と曲げられた。
自分が悲鳴を上げているのかどうかも、もうわからない。
もう少し力をこめられたら、私の腕は、ぶちりとちぎられて、食べられてしまう。
――――その寸前で、彼女は現れた。
右手で握った聖剣の名前は《桜花の剣》、風に揺れるピンクゴールドの髪、星屑を閉じ込めたガラス球のように、きらきら輝く瞳。
テレビで何度も見たことがある、スマホの待ち受けだって彼女だ。ファンクラブにだって入ってる。
「はあああああああああああああああっ!」
風より疾く、光より眩しく、炎より明るく。
人食い鬼を、その場に居る魔物を、切り刻む。
みんなの憧れ、人類の希望、誰よりも有名な魔法少女。
彼女が駆けつけてから、ほんの数十秒で、戦いと呼ぶべき何かは、終わってしまった。
あっさりと、簡単に。テレビの向こうで見てきた戦いが、そうであるように。
魔物の死体が黒い塵になっていく中、魔法少女、プレシャス・プリンセスは、膝をついて、私に目線を合わせて、手を差し伸べながら、言った。
「もう大丈夫――――助けに来たよ」
ずっと会いたかった、大好きな人。こうなりたいと思っていた、私の希望。
憧れに、抱きしめてもらったのに、こんなに暖かいのに。
安心できるはずなのに、もう怖がらなくて良いはずなのに。
だけど、なんでだろう、なんで何も感じないんだろう。
どうして――涙が出てこないんだろう。
だって、だって、だって、私が――――――――。
✦
県と都の境界になっているから、境川。
天まで伸びる《魔界》との境界線は、まさしくそこを基準として世界を分けている。
「先手を打たれ――ちゃいましたねえ~」
安倍ハルミは、その惨状を前に、隠すことなく嘆息した。
既に七つの地域を《魔界》にされたこの国で――取り戻すことは急務だったのに。
油断をしていた訳ではないが、まさか新たな《魔界》が増えるとは。
「先生、連れてきました」
魔法学園で講師を務めるハルミから見ても、最優と呼ばれるに相応しい魔法少女、プレシャス・プリンセス。
その彼女を握る、幼い少女……《魔界》の発生源を追って突入した彼女が、真っ先に保護した民間人。
表情に、恐怖が見えない、悲しみもない。
壊れてしまわないように、心に鍵をかけた人間の特徴を、ハルミはよく知っていた。
「ありがとう、プレシャス。あとは私が引き継ぎますので~」
「……先生、その娘」
「要救助者の保護を最優先に、お願いしますね~? プレシャス・プリンセス」
何かを察している頭のいい教え子だが、それ以上は続けさせなかった。
少女の前にかがみ込んで、目を合わせて、ハルミは言った。
「あなたには、いくつかの可能性があります。そして、それを選ぶ自由と権利もあります」
挨拶もなく、説明もない、ただそれだけを、淡々と伝える。少女は、何も応えない。
関係なく、続ける、並べ立てる。
「ですが、どの可能性を選んでも、あなたが救われることはないでしょう」
「…………どうして?」
口を開いた少女の声色は、平坦で、何の感情も感じられなかった。
感情に、色彩がない。
「あなたにはわかっているからです、自分のせいだと」
「………………」
「あなたに責任はありません。この悲劇は全て、《魔王》の罪です。生命の根絶を欲する彼女の悪逆に、あなたは巻き込まれただけです」
新たな《魔界》が生まれた責任を、この少女に求めるのは酷だろう。
だけど狂おしいほどに――彼女は自覚している。
「ですが……あなたは自分のせいで、お父様が死んだと思っている」
ハルミの固有魔法は『観測』だ。
過去、未来、現在。あらゆる可能性が存在し、あらゆる出来事が生じ、あらゆる事象を観測できるこの視点を、ハルミ以外が理解するのは不可能だ。
だから、ハルミにだけは、理解できる。
少女が、今日、この日、あの場に居なければ、せめてこの日に生まれていなければ。
日常の中で見出した慎ましい幸せを、与えられた愛を受け取り、育み、それを尊ぶことをしなければ。
この《魔界》は、生まれなかった事を。
「……どうすれば」
少女が、小さな口を開いた。
「どうすれば、いいの?」
何を、とも、誰が、とも言わない。
指針のない言葉は、何処へでも行けるという意思表示でもある。
何処かに連れて行ってくれという、願いでもある。
自分が何をしようとしているのか、安倍ハルミは、よく自覚していた。
自身への罰と、救済を求める子供の手を取って。
地獄へと連れて行こうとしている――――その行為の意味を、十全に。
「お嬢さん、お名前は、なんといいますか?」
「……ナコト」
少女の口から、それが発せられる。
「篠井七言」
もう二度と名乗ることはなくなる名前、現実に置き去りにされる名前。
もう誰も、呼ぶことがなくなってしまう名前。
「では、七言ちゃん。あなたに一つ、質問をします――私がこれを言うのは、最初で最後。だから、よく考えて、決めてください」
それになってしまったら、もう、終わることすらできなくなる。
「――――魔法少女に、なりませんか?」
☆
「……おはよう、世界」
忘れたくても忘れられないことを過去といい、思い出したくもないことを強制的に思い出すことを悪夢という。つまり今の私は寝覚めと機嫌が悪い。
その都市の名前を、知らない人は居ないだろう。
かつては人の暮らしがあり、営みがあり、命があり、そして幸せがあった。
東京都、町田市。
犠牲者は三十万人超、人類が奪われた地球の領土。
取り戻さなくてはならない、魔法少女の絶対使命、
《日本八大魔界》の一つ――今、その場所は、《魔都マチダ》と呼ばれている。




