某アニメ、、、猫の格闘術
「ブフォ」
レリムに向かって1体のオークが襲いかかった
威嚇を辞めて、武器である棍棒を両手で握りしめ、向かってくるオークへと投擲する。
「とりゃあニャ!!!」
かけ声を上げ勢いよく投擲した棍棒がオークの顔に命中し、首から上が消し飛んでしまった。
仲間が殺られたのを見て、後退るオーク共。
だが、こちらもピンチだ、有り余る威力のせいで棍棒は森の奥へと飛んで行ってしまっからだ。
「まずい、、、武器が!」
「大丈夫ニャ! オーク如きに武器いらないニャ」
小鬼のゴブリンと同様に、野蛮な大男のオークが雑魚扱いされてしまう。
さらに、マタタビジュースのせいで興奮し、全ステータスがパワーアップしている事で、剥き出しの闘志を燃やすレリムは、いつも以上に攻撃的で怯んでいるオークに追撃を行う。
「必殺技で一瞬で終わらせるニャ!」
そう言って腕を交差させ十字に構えた、、、
「猫斗、、、」
その構え、、、そしてセリフ、、、まさか!?
「獣王拳!、、、《極星十字斬》ニャ!ニャ!ニャ!」
某アニメ、、、
北斗の○で、、、南○が使用する技だぁぁあああああ
あ、あああ、、、使ってはイケない禁断の技を使いやがった。
「ブフォ、、、ブデブゥゥゥ」
止めなければ、と思ったが時遅し、、、
クロスさせた腕が解き放たれ、オーク4体の胸に十字の傷痕が生まれる。
一瞬で4体のオークは切り裂かれ、汚い悲鳴を上げながら、緑の血液を流し倒れ伏した。
「悪は滅びたニャ!!! 無事に5体討伐したニャ」
違うわい!!! 依頼ではゴブリンを5体だったはずだ、、、
オークを5体討伐してどうする!
「ゴブリンが討伐対象だったのに、、、ミレイナさんに何と言われるか、、、」
「気にしなくていいニャ! ゴブリンもオークも似たような物ニャ!」
分からん、、、そうなのか?
似てるからオークでもいいのだろうか。
強者のレリムと一緒にいると、何が正しいのか分からない、混乱してしう。
でも、、、ゴブリンより強そうなオークを倒したのだから、駄目って事は無いだろう。
むしろオッケーかも、、、
悩むだけ無駄な気がして、考えるのを放棄した。
倒したオークをアイテムボックスにしまい、色々と気疲れした精神を休ませるため、ルーガの町へと戻った。
受付嬢のミレイナに依頼の結果と、採取した薬草系の換金をしてもらうために、冒険者ギルドへとやって来た。
討伐を証明するには、討伐部位を見せなければならないが、俺は生憎アイテムボックス持ちのため、丸々現物を見せる事ができる。
「ここが解体所になります。 ゴブリンを出して下さい!」
「次からはゴブリンの討伐部位である耳だけを持って来て下さいね。
素材にならない価値のないゴブリンを持って来られても困りますので、、、」
矢継ぎ早に説明するミレイナさん。
冒険者ギルドの裏手にある解体所に案内してもらい、アイテムボックスからオーク5体を取り出して並べる、、、
「なっ!? なんでオークが、、、しかも5体も!?」
俺が倒したのなら「えっ? 俺なんかやっちゃいました?」ってドヤ顔で言えるのだが、倒したのはレリムだから、俺は何も偉そうにできない。
「す、凄いです。 レリムさんが倒したんでしょうが、それでもオーク5体を倒してきた初心者冒険者はいません」
ミレイナさんが素直に褒めてくれた。
そしてオークについて語りだす、、、
「オークは野蛮で強く、調子に乗った初心者冒険者が、森の奥に入って運悪く出くわして殺されてしまうんです」
通常なら初級者冒険者が中級に昇格する時に依頼されるみたいで、初級者冒険者4人でオーク1体を倒せれば合格のレベルのようだ。
中級者でそこそこ強い冒険者なら1人でも勝てるが、幼い猫獣人のレリムが1人で5体のオークを討伐したなど、異例中の異例らしい。
「どうしたら、いいんでしょうか、、、」
何かを思案するミレイナさん。
どうしたいい、とは何の事だろうか。
「ゴブリン5体の討伐を依頼したのに、オークを5体倒してきた冒険者なんて初めてで、、、合格にしていいのか分かりません、、、」
やっぱり駄目だろうか。
ゴブリンよりも強いオークなら大丈夫だという、安易な考えでいた俺も不安になってきた。
その時、不意に後ろから声がかかる、、、
「この私に任せてくれ!」
赤い短髪、赤褐色の肌、ボインでマッチョな女性。
「ギルドマスター!? どうしてここに?」
ギルドマスターと呼ばれた女性は、元は冒険者だったのだろう顔や身体中に傷跡があり、強者の雰囲気を醸しだしている。
歴戦の戦士のような覇気を纏ったギルドマスターは、何か言い難いのか口籠る。
「まぁ、、、その、なっ、、、」
「分かりました! またサボりですね!」
言い当てられたのか、急に申し訳無さそうな態度になるギルドマスター。
「ニャ? サボりはだめニャ!」
「違うのだ! ちょっと休憩をしに、、、解体所まで、、、」
たぶん書類などの作業をしている途中だったのだろう、嫌になって此処に来たのか。
「はぁ〜、全く、、、でも助かりました。 これで判断を任せられます」
「ああ! 任せてくれ! ギルドマスターの私、グラシアが責任を持って解決しよう」
そんな大袈裟な事では無いと思うが、ギルドマスターのグラシアに重要な判断は投げられた。
グラシアに事の全てを話した、、、
ゴブリンを討伐しようとしたが、森の奥に行っても出会えなかった事。
やっと出くわしたと思ったら、オークに追われてゴブリンは逃げ出し、代わりにオークを討伐した事。
「うーん、色々とおかしな点があるが、、、まず結論から言うと特別に合格だ!」
おっしゃああああああ!!!
合格を勝ち取ったぞ。 俺とレリムの力で!!!
全部レリムのお陰だが、俺は保護者だからな仕方無い。
今後は戦闘以外で何かサポートできるように、しようとは思っている。
「やったニャ! 合格ニャ! 嬉しいニャ」
「よくやったなレリム! 今度美味しいお魚料理作ってあげるからな」
「ホントにゃ!? やったニャ! 食べるなニャ! 絶対作ってニャ!!!」
飛び跳ねて喜びを表現するレリム。
単純な事で喜ぶ姿を見ていると、ほっこりしてしまう。
猫獣人であるレリムの保護者になれて俺は幸せだ。
「喜ぶのはいいですが、次からはちゃん依頼したモンスターを倒してきてくださいね! そうじゃないと私が判断しかねますので、、、」
「そうだぞ、今回は仕方無く合格だ! オークに討伐を邪魔された事と、猫獣人のレリム君がドラゴンハンターだということも加味しての裁定だ」
ミレイナさんと、グラシアさんに注意されてしまう。
グラシアさんの話は続き、「今回は特別に合格」と言った理由を話し始めた、、、
受付嬢のミレイナさんから、俺とレリムのパーティーに関しての報告を受けたギルドマスターのグラシアさん。
レリムは実力的には特級の実力があり、いつまでも初心者冒険者に滞在させるには惜しい人材で、こんな逸材を放置していてはギルドの沽券に関わる大問題になりかねない。
将来有望なレリムを早急に初級、できれば中級まで昇格させなければ、そのギルドには人材育成に難があると認定され、最悪ギルドマスターが退任または人事異動、再教育させられる可能性があるらしい。
(話重くないか! 俺みたいな無能にできるのか?)
「別に私の事はそこまで気にしなくてもいいが、仕事である以上は手を抜けないのだ。 分かってくれ!」
「ど〜んと任せるニャ!!! 余裕の子ネコちゃんニャ!」
さすが大物レリムだ。 重要な話だったがお構い無し。
余裕のよっちゃん、と同じ意味だと思うが異世界では、そう言う言い方なのかな?
「ああ、期待しているぞ!」