表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

レリムの実力





 翌朝……


 宿屋のベッドで目覚めると、身体に重さを感じた。

 少し息がしにくい、、、布団を捲るとレリムが俺の胸の辺りに、抱きついて眠っていた。

 昨日食事を摂った後すぐに寝たのだが、ベッドが1つしかない部屋しか借りられず、仕方無く一緒に寝る事にした。

 スヤスヤと眠るレリムを揺すって起こす……


「にゃ〜もうお魚食べ切れないにゃ〜……すぴ〜」


 寝惚けている。 夢の中でも魚を食べていたようだ。


「レリム朝だから起きてくれ!」


「にゃ〜あ……あ、おはようニャ」


 やっと起きてくれた。

 今日はレリムを連れていかないと、いけない用事がある。


「レリムの冒険者登録をするから、ギルドに行こう」


「冒険者なりたいニャ! いっぱいモンスター倒すニャ!」


 やる気満々、意気揚々のレリムを連れて、部屋を出て宿の食堂で朝食を済ませた。

 戦闘狂の猫獣人と共に冒険者ギルドへ向かった。






「レリムさんですね。

 私はあなたの担当の受付になるミレイナです。

 先ずは、この水晶に手をかざして下さい」


 受付嬢のミレイナさんの指示に従い、レリムは水晶に手を伸ばすが身長が低いため届かない……


「……届かないニャ 、助けてニャ……」


 必死に手を伸ばすが受付の机が高すぎて、遮られてしまう。

 愛らしい、その姿に俺は笑みが漏れる。

 自分の身長では届かない事に気づいたレリムは、俺を見つめ助けを求めた。


「ほら、 よいしょ!!!」


「ニャわ〜ありがとうニャ」


 レリムを抱っこして机の高さまで上げる。

 手をかざして、光輝く水晶。

 レリムのスキルが載った一枚の紙が現れ、それを手に取り、驚愕の表情を浮かべるミレイナさん。

 俺も覗き込んでみると……



【名前】レリム 【年齢】12


【スキル】 金槌  格闘 身体強度 身体強化


 俊敏強化 嗅覚強化 聴覚強化 超反射


 気配察知 回避強化 剛刄化


【称号】 赤き龍を葬りし者 (ドラゴンハンター)



 何これ!?!?!?


「何ですかこれは……ありえません、、、、・・・」


 ミレイナさんは驚き黙ってしまった。

 俺も勿論驚いている。 なぜなら、称号がドラゴンハンターになっているからだ、、、


 ……ありないだろう!!!

 レリムの両親が命をかけて戦い、相打ちになったドラゴンに勝利しているのだから。

 いったい、どういうことなのかレリムを問いただす……


「ニャニャ……父さんと母さんを殺されて悔しかったニャ……だから仇を取ったのニャ!!!」


「相打ちって言ってなかったけ?」


「ニャ? 相打ちじゃないのかニャ?

親の仇をとったから、相打ちニャ!」


 それは相打ちとは言わないな!!!

 たぶんだが、自分がドラゴンを倒したから、両親はドラゴンに負けてないって言いたいのかな?

 誇り高い戦闘種族の猫獣人はドラゴンにも負けない。

 両親の仇を打ったから、猫獣人としての誇りは守った事になるのだろう。


「強かったニャ! あと美味しかったニャ!!!」


「食べたんかい!?」


「魚の方が好きニャ♥」


 花より団子……龍より魚(・・・・)を選ぶレリム。

 魚への、惜しみない愛を感じる反面、死んだドラゴンが可哀相に思ってしまう。

 ドラゴンと戦ったのに「強かった」と「美味しかった」の二言で済ませてしまったのも、申し訳無い感じがする。


「っ……ちょっと待ってください……」


 やっと立ち直り現実と向き合うミレイナさん。

 頭を振り冷静を取り戻そうとしている……


「おかしいです! 普通この年齢の獣人がこんなに強いはずない!!!」


 決めつけたように物を言うが、彼女が言うなら、その通りなのだろう。


「ヒラメキさんは何がおかしいか分かってません。 私が説明させてもらいます……」


 怒った様な口調で説明を始める。


 まず12才の獣人がこれだけスキルを持っているのが、ありえない、、、

 大人の獣人でもスキルは3つ、多くて4つか5つ、らしい。

 幼い子供の獣人ならスキルを1つ持っていれば良い方みたいだ。


 ここまで聞くと……レリムのスキルの数は破格だと言う事が分かる。


「幼い子供が11個もスキルがあるなんて話聞いた事がありません!!!」


「そう言われても……俺には何とも……

 レリムは天才だったんでしょ……」


「馬鹿ですか? 天才で済まされる実力じゃ無いんですよ!!!」


 声を荒らげ俺に説明する。

 それだけレリムが凄いって事なのは伝わってくる。


「ニャ〜 魚思い出したら……食べたくなったニャ! じゅるじゅる〜♥」


 当の本人はドラゴンより魚に興味がいってしまい、話を聞いていない、、、


「はぁ〜 頭痛くなってきました……うぅ」


 頭を抱え悩み唸り声を上げる、レリムの強さを俺に伝えようと必死なのだろう。


「いいですか……普通のドラゴンを倒した場合、称号は【ドラゴンハンター】になります……」


 へ〜そうなのか! いい勉強になった。

 レリムが倒したのは普通じゃないドラゴンという事になるのか……うん?


「え?……じゃあレリムが倒したのは?」


「通常のドラゴンよりも強力で特殊な個体のドラゴンになります」


 普通のドラゴンなら上級の冒険者が5人でギリギリ勝てるレベル。

 特殊なドラゴンは倍以上強く、特級冒険者または勇者クラスでないと太刀打ちできないらしい。

 ミレイナさんの説明を受け、俺もレリムの異常にやっと気づく……


「やっと分かって貰えましたか!

 そうレリムさんは間違いなく特級の冒険者です」


「いやいや……違うでしょ……

 ドラゴンを倒した証拠はどこに……」


 今度は俺が問いただし証拠の提示を求める。

 ミレイナさんは1枚の紙に目を向け、【称号】の欄を指差した。


「これが証拠です。 ドラゴンを倒した者だけが得る事ができる称号なんです!!!」


 そうだった……もう言い逃れできない……


 レリムは特級クラスの冒険者で、勇者と互角に張り合えるかもしれない……という事か。


「一応スキルについても説明しますね……」


11個あるスキルを順番に説明し始めた……



 金槌……パワーが上がり、ハンマー等の打撃系武器を持つと威力が上がる。


 格闘……身体能力と身体が頑丈になり、蹴りやパンチの威力が上がる。


 身体強度 ……体感が上がり、身体が頑丈になりダメージをかなり軽減する。


 身体強化……パワー、スピード、スタミナを上げ、腕力や脚力が強化される。


 俊敏強化……スピード、回避、脚力が強化され、動きが俊敏になる。


 嗅覚強化……鼻が効き、匂いで敵や物を判断できる、採取にも役立つ!


 聴覚強化……微かな音でも何かを察知し、敏感に反応する。


 超反射……敵の攻撃に対して、瞬時に反応できる。このスキルがあれば敵の攻撃を喰らう事は、まずあり得ない!


 気配察知……ある程度の距離に入ってきた生き物の気配を察知する。


 回避強化 ……俊敏性、回避力が上がる。

 そうそう攻撃が当たる事はない。


 剛刄化……身体強度の上のスキル。

 身体が鉄をも越える硬さとなり防御力と攻撃力を跳ね上げる。



 天才だった……その一言に尽きる……

持って生まれた天才。

 俺要らなくない、一瞬だけ、そんな考えが頭によぎる程の圧倒的なスキルの強さ……


「保護者としては必要ですよ……気を落とさないで!」


 空気を読んだのか、声をかけてくるミレイナさん。

 全く持ってその通りだ、俺は保護者で魚を買ってあげるぐらいしか、できそうにないがな、、、


「……夕飯はまたお魚だな!」


「やったニャ!!!」


 俺が保護者になり、レリムは無事に冒険者になった。

 レリムは実力的には特級だが、冒険者登録したばかりなので、俺と同じ 1番下のクラス、初心者冒険者としてスタートした。


「いっぱい倒して、いっぱい稼ぐニャ……だから魚買ってほしぃニャ!」


「分かった、分かった、とりあえず仕事するか!」


 ミレイナさんの説明によると……

 初心者冒険者は採取が基本でモンスターとの戦闘は控えさせてるが、下級冒険者になるにはゴブリンを5体連続で倒し、討伐した証明となる討伐部位の耳を持って来なければならない。

 俺達はゴブリンを倒しに行っていいだけの実力があると判断され、今から採取と並行して依頼としてゴブリンを倒しに行く。



 こうして人間の俺と、猫獣人のレリムの冒険者生活が幕を開けた!!!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ