泥JK
その3日後
システム:ここはチャットルーム「秘密結社セヤロカー」です。
システム:秘密結社セヤロカーは非公開チャットです。
システム:村人Bがルームマスターです。
システム:スノーはキャロルを招待しました。
システム:村人Bはキャロルを招待しました。
システム:キャロルは招待を承認しました。
システム:キャロルは今後いつでもチャットに入室可能になりました。
システム:キャロルは入室しました。
キャロル「ごめんなさい! 秘密裏にEXPアッパーを学校のみんなに行き渡るようガンバったんだけど、泥して売ったアホがいて……」
村人B「なん、だと……。僕が! 僕が一体どれだけ苦労してEXPアッパーを作っているか分かっているのだろうな! どんぶらこー、どんぶらこーと、すげー大変だからなっ!」
キャロル「ごめんなさい! 許して!」
村人B「その苦労を労わって、キャロルは俺の家で手料理を作ろうとか思わないかね?」
キャロル「え? それはちょっと……」
村人B「そしてアリスさんに異世界料理を食べさせてあげるのだ。実はアリスさんがもう、美味しいものが食べたい病を発症して爆発寸前で……」
キャロル「あぁ、それはなるほど――」
アリス☆「はいはーぃ! 呼ばれました! ワシじゃよー。世界最強錬金術師、青い稲妻の魔人アリス・ガーゼットなのじゃー。――は、おいといて、もう毎日毎日EXPアッパー制作ばっかりで飽きたのじゃー! ここは異世界人が考案したという美味しいものを食べさせるのじゃー」
村人B「僕だって、毎日経験点回収のためにどぼんどぼんとスライムプールに落とされるのは嫌なんだ――。というか、せめて蹴り落とすのはやめて欲しいのだが」
キャロル「なにか、ごめんなさい……」
運営A☆「お、キミが噂の新人か。こんばんわ」
キャロル「あ。こんばんわ。スノーおねぇさまの恋人キャロルです」
運営A☆「ほぅ。村人Bは振られたのか。可哀そうに」
村人B「振られてねーしぃぃぃ!」
運営A☆「しかし、聖サウスフィールド女学院っていつから共学になったのだ? あそこ典型的な地元のお嬢様高だと思ったのだが」
キャロル「? 聖サウスフィールド女学院は女子高ですわよ?」
運営A☆「??? だって、スノーくんの恋人なのだろう? て、ことはキャロルくんって男だろう?」
キャロル「わたくしは女ですわ!」
運営A☆「お?! うおぉぉぉ! 分かった! いま明確に分かったぞぉぉぉ! つまりそう、めくるめく百合というやつか! 俺初めて見た!」
スノー☆「違います。キャロルは場を荒らすんじゃありません!」
村人B「おぉう! スノーさんカッコいい!」
スノー☆「な、なにを言って……」
村人B「うむ! なにを隠そう。チャットでだんだんスノーさんにほだされて来たので、少しはキザったらしい事を言って口説こうと思ってだな――」
運営A☆「あぁー、そうやってチャットでイキって、実際に面と向かったら赤面して何も言えなくなるやつだろ。俺には分かります」
村人B「あの時の黒服、すごく似合っていた! かわいかったよ! スノーさんはかわいい!(面と向かって絶対言えないセリフその1)」
キャロル「ちょっと! よりにもよって、わたくしの前でスノーおねぇさまを口説こうとしないでよ」
スノー☆「これは口説かれていますの? たんなるネタで、ツッコミ待ちなだけの気が……」
アリス☆「はーいみんな静粛に! 静粛にするのじゃ。話が進まないのじゃ。――で、キャロルとやら。先ほどの経緯をもう一度言うのじゃ、えーっと泥?」
キャロル「えーっと。秘密裏にEXPアッパーを学校のみんなに行き渡るよう頑張ったんだけど、泥した人がいまして――。あ。泥とはドロボーの意味です」
運営A☆「はいダウト! あんなお嬢様学校に泥するような不良がいるものかね」
スノー☆「あー。補足しますと学校には政治家を親に持っていて、そうでない方を見下す方も残念ながらおられまして――」
運営A☆「なるほど了解! 納得したわー。陰湿やねぇ。お嬢様学校も大変だねぇー」
スノー☆「なんだか御免なさい」
村人B「そんな。スノーさんが悪いわけじゃない。悪いのはそのアホどもだよ」
キャロル「彼女らのグループ用にと信頼して10人分もお渡ししましたのに」
運営A☆「うーむ……。一人ひとりちまちま渡すより女の子グループのリーダーに渡して配ってもらう方が楽だって考えたんだね。気持ちは分かる」
キャロル「実は、そのために追加でEXPアッパーをさらに要求されていまして……」
運営A☆「ひっ、ひでーな、そいつ最悪だ。こっちはほぼ無償、善意で配っているというのに……。ん? いちおう悪の秘密結社という体だから悪意で配っているといった方が正しいのか?」
村人B「せやろか」
アリス☆「よし分かった! ならばワシにも考えがあるのじゃ――」