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もしかしたら空を自由に飛ぶことだってできるかもしれない――





運営A☆「――で、こんな場末のグループチャットになんでこんな有名人がいるのだ?」


ラララ☆「キミも”アプリの支配者”の時点で十分有名人だと思うが。星キューマークも付いていることだし」


運営A☆「なにその中二病全開の二つ名は」


村人B「俺、ここにいてもいいのだろうか?」


アリス☆「いいのじゃ。いいのじゃ。もともと初期に掲示板に書き込んだメンバーを無理やり運営Aが集めたのが始まりなのじゃから」


村人B「あー。書き込みってするもんですね。まぁそのときは転生直後でステータス見まくっていた時代だったし。。。」


運営A☆「いまではすっかり村人Bくんをいじる部屋になっているがな」


村人B「だからお金もあげないし、住所も教えないからな!」


アリス☆「えー。教えてよぉ。分かったらすぐさま突撃するのじゃ~」


村人B「だから、突撃なんてされたくないんだよっ」


アリス☆「えー。経験点欲しくないのじゃ?」


村人B「う。なんかアリスさんの『設定』が本当だとしたら、ここは欲しいというべきなのだろか。経験値が貰えたら、もしかしたら空を自由に飛ぶことだってできるかもしれない――」


ラララ☆「なんだね。村人Bくんは経験値が欲しいのかね? くれてやろうか?」


運営B「こえぇ。本物の魔王がいうと本気でヤバすぎだろう、というか魔王と知り合いなアリスさんってマジめに……すごい魔人なのか? だがなぁ、チャットの知り合いレベルだしなぁ。設定の線は拭えないなぁ」


村人B「魔王なら『じゃぁ代わりに魂でも貰おうか』とかいいそう」


ラララ☆「『じゃぁ代わりに魂でも貰おうか』」


村人B「まじでやめて――」


アリス☆「ならばその魂の代わりに経験点をお金で解決するのじゃ」


村人B「う。経験点欲しい。ちなみにおいくらで?」


アリス☆「うーん。経験点1点あたり298万円くらいじゃな」


運営B「高すぎ! 社会人の俺ですら躊躇う値段だぜ」


村人B「僕は学生で異世界転生したばかりで、学生支援給付金でようやく生活しているところなのでそれはちょっと……」


アリス☆「私だって、美味しいものが食べたいのじゃ。でもダンジョン住まいなのでお金がないのじゃ」


運営B☆「それにしたって298万円は高すぎだろう。ここはどうだろう5000円くらいで手を打たないかね?」


アリス☆「モンスターを倒す設備がそちら持ちだったら考えるかなぁ……」


村人B「298万円の設備っていったい……」


アリス☆「例えばオーク10体をわざわざ近接武器で倒すとか面倒じゃない? 私は錬金術で一発だけど。ならば密室に彼らを入れてぷしゅーって倒すとなるとそれなりの設備が……」


運営B☆「でたよ。モンスター密室殺人事件! 犯人は――俺だ!」


村人B「密室殺人事件が一瞬で解決してしまった。お前はベテラン刑事か!」


運営B☆「シャー〇ック系でお願いします」



アリス☆「――で、調べたら二酸化炭素用の消火設備を倉庫に設置するのに250万円くらい掛かって、それにマージン積んだ298万円くらいが妥当かなって。あ、二酸化炭素はこちらで用意するよ。錬金術で」


村人B「あのぉ。二酸化炭素ごときでモンスターは死なないと思うのですが……。僕はいつも酸素を吸って、二酸化炭素を吐いているので分かります」


アリス☆「たわけ! 二酸化炭素ほど毒性の強い気体はないのじゃ。ヒトですら死ぬぞ。一酸化炭素ならもっと強いのじゃが。それに、さらに強い毒物劇物だと後片付けが大変なのじゃ」


 ちなみに令和3年でも東京都新宿区のマンションの一室で消火設備が作動し、取り残された作業員4名が死亡1名が意識不明の重体となる事故が発生している。そこで使われた事故薬剤が二酸化炭素なのであった。


村人B「だからその、毒ガスでモンスターを倒すという発想はやめませんか? せっかく異世界なのだから」


ラララ☆「ならばこんなのはどうだ? 坊主が屏風(びょうぶ)上手(じょうず)白虎(びゃっこ)の絵を描いたせいで困っているから、代わりに退治してくださいといって、イラストを送りつけてあげるのは? さすがにそんなものを大々的に送りつけられたら、私が魔王ラララだという証明になるであろう」


村人B「――では捕まえますから、トラを屏風絵から出してくださいとかいうわけないでしょ! どうせ異世界なのだからモンスターの白虎が封印されていて、封印が解けたら襲ってくるやつに決まっているじゃん」


ラララ☆「ドロー! モンスターカード! この村人Bやろう!」


村人B「やめてください。〇んでしまいます」


アリス☆「でも村人Bさんて、魔法も剣術もからきしなんじゃろう? レベル0じゃろうから。そしてDT。そうならどうやって経験値を稼ぐのじゃ? 二酸化炭素を使わないのならなおさらじゃ」


村人B「DT関係ないだろ」


ラララ☆「ちなみにこの異世界、DTで30歳になっても魔法使いにはなれないからな? 速く卒業したまえ」


運営A☆「さすがは魔王ラララ。信憑性がありすぎるー」


村人B「そうか。経験点が得られなかったら、異世界転生して大人になっても僕は悲しいMOBとして生きていくんだ……」


運営A☆「んー。ダンジョンだったらトラップとかないのかね? それならモンスター羽目殺すとかできるのじゃないのか? その二酸化炭素消火設備みたいなネタ設備に頼らずに」


アリス☆「ネタ設備とかいわない! えーっと。床を踏むと穴が空いてその下には槍がいっぱい突き立っているとか、そういう系?」


運営A☆「そうそう。それ。異世界のトラップだったら伝統的にそういうのではないのかね?」


アリス☆「いやありますけど、そういうのはジュエルが必要で、しかもランダム性が高いからなぁ……」


運営A☆「ジュエル?」


アリス☆「そうジュエルなのじゃ。ロダンくんが150ジュエルで1回分の設備ガチャを引けるので、それでうまくトラップ設備を引き当てないとダメなのじゃ。出たことあったかなー。そもそもあまり設備ガチャを引いたことがなさそうじゃが。なにかいくら引いても麻婆豆腐ばかり出るといっていたような……」


村人B「ジェル、ガチャ……。う…。なんだか最近のスマホゲーみたいだな」


運営A☆「この異世界の1ジュエルがどのくらいの価値なのかいまいち分からんしな……」


アリス☆「それは私も分からんのじゃ」


村人B「お金集めるくらいなら、そのジュエルとかいうのを集めた方が良いのでは?」


アリス☆「よろしい。しかし集め方が分からんのじゃ」



















運営A☆「まさか、さすがに課金とかじゃないよな?」



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