こうして、異世界に掲示板がばらまかれた――
作成された掲示板、通称xちゃんねるは使われることなく1カ月程度は放置されていた。
アクセス数は一カ月でなんと驚きの『3』である。
この異世界のウィンドウシステムでは、突然現れた「ぷれーすとあ」のアイコンをクリックすることがそもそも行われないのだ。ウマや戦艦を擬人化して美少女にするような面白いゲームなどは転がっていないのだから。
習慣化されていなければ見向きもされない。当然だ。
そしてウィンドウシステムを見る層というのも限られる。
ここはアプリがなかった異世界なのだから。
そして、レベル0者に取ってウィンドウシステム自体がもう見たくもないものの一つとして扱われる。
せっかく異世界に来たのに――
異世界でレベルアップできないなんて――
そんな怨嗟の声を誰かが口にしない日など、この異世界に訪れることがあるのだろうか。
レベルを上げられないこの世界では、ただ単にステータスが見れるウィンドウに何の意味もない。
ならば単なる箱といって構わないだろう。
そして箱に価値などない。
レベル0ではアイテムボックスという箱の機能すらないのだ。もはや箱ですらない。
それではもはやソフトも通話機能も入っていないスマホと同じだ。HPなどのステータス管理くらいはできるが。
もちろん、一定数はレベルをもったニンゲンもおり、魔法などを使うことに使われることもあるが、だからといってわざわざ「ぷれーすとあ」のアイコンを触ったりなどしないし、ましてや怪しげなアプリをインストールすることなんてもってのほかだ。
ウィンドウシステムはこの異世界の人々にとっては人体に直結するシステムであるので、よほどの変人か、暇人でなければアプリをインストールをする者などいないのである。
そんな暇人は、異世界転生直後のニンゲンか、魔人とか魔王ラララに限られるのだ。