表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/96

第3-36話 VS上位悪魔

「ようこそ、俺様の世界へ。さあ、ろうぜ。ちょうど血沸き肉躍る戦いがしたかったとこだ」


 上位悪魔アークデーモンの手の平に闇が集まっていく。


「……ルカ……クロム……気をつけて、ください」


 アスタロトが弱弱しい声で告げてくる。


「待ってて、アスお姉ちゃん。すぐにあいつを倒すから」


「それまで耐えててくれ」


 悪いが、アスタロトを治療している暇はない。

 すべての意識を集中させないといつ死んでもおかしくないくらい、目の前の悪魔は強い。


「肩慣らしで死んでくれるなよ」


 無数の闇が飛来する。


 ……直感が警鐘を鳴らしている。

 あの闇は危険だと。


「【フレアウォール】!」


 炎の壁で闇を防ぐ。


 その間に、ルカには上位悪魔アークデーモンの背後に回ってもらう。


 二対一のメリットは挟撃できることだ。

 活かさない手はない。


「多対一の戦いにおいて、雑魚から潰すのは定石だよなぁ!」


 闇の大部分がルカを狙う。


 俺が距離を詰めてくるまでの間にルカを殺しきる算段なのだろう。


「させるか【瞬歩】!」


「うお!? はえぇなオイ!」


 俺は【瞬歩】で一瞬にして間合いを詰める。


 上位悪魔アークデーモンは驚きつつも、ルカを狙っていた闇を即座に戻して防いできた。


 剣が止まる。


 アロンダイトですら斬れないのか……!

 とんでもない硬さだ。


「驚いたか? 闇をダイラタンシー流動状にすることで衝撃に強くしたんだ。どんなにパワーを上げたところで俺様の闇ァ突破できねぇぜ?」


 闇が形状を変えアロンダイトを拘束する。

 直後、急激に膨張し始めた。


 範囲攻撃で周囲もろとも俺を攻撃する気か。

 アロンダイトを拘束して武器破壊まで狙っているようだが、あいにく無駄だ。


 即座に俺はアロンダイトを【アイテムオックス】に仕舞いながら離脱する。


「【フレアウォール】! からの【破魔の一閃】!」


 炎の壁で闇攻撃の威力を落としてから、スキルや魔法を打ち消す【破魔の一閃】を放つ。


 俺は闇を両断して、なんとか攻撃から逃れることができた。


「ルカのこと忘れないでよ!」


 そのタイミングで、サイドから回り込んでいたルカが攻勢に出る。


「もちろん覚えてるぜ! 闇刃斬ダークスライス!」


 上位悪魔アークデーモンは腕にまとった闇を刃に変化させ、横一閃に放った。


けてくるか。面白れぇなお前!」


 ルカは小柄さを活かして躱し、下段からフレアネイル三連撃を放つ。


「やるじゃねぇか! 俺様に傷をつけるとはな!」


 上位悪魔アークデーモンは裂傷を負うも、全く気にすることなく回し蹴りを放つ。


「ゼータちゃんとの戦いで学んだこと、今発揮する時!」


 ルカはしゃがみながら回し蹴りを上に受け流す。


 隙を晒した上位悪魔アークデーモンの胴体に、渾身のパンチを放った。


「いいパンチだ」


 上位悪魔アークデーモンは吹き飛ばされながらも、心の底から楽しんでいるかのように笑う。


「余裕でいられるのも今の内だ」


 上位悪魔アークデーモンを俺のほうへ殴り飛ばしたルカは、【絆の炎(ボンド・プロミネンス)】を発動する。

 アロンダイトが炎に包まれる。


 共有したエクストラスキル【デバフマスター】、【剛力無双】、【炎装】、【炎斬拡張】、【竜殺斬り】。

 武器スキルの【斬撃強化】。

 ルカの【絆の炎(ボンド・プロミネンス)】。


 これが今の俺に出せる最大火力だ。


 俺は黒き炎に包まれたアロンダイトを振るった。


「ヤバそうな攻撃だな! ワクワクさせてくれるじゃねぇか!」


 上位悪魔アークデーモンは闇を爆発させ、その爆風で無理やり軌道を変えた。


 俺の攻撃は、翼を斬り飛ばしただけに終わった。


「感謝するぜ。封印が解けてから最初に戦えたのがお前たちでよかった。おかげで俺様の人生は最高のリスタートを切ることができたぜ!」


 上位悪魔アークデーモンは腕を掲げる。

 その掌の先に闇が集まっていく。

 大技を使う気だ。


 ……やられた。

 上位悪魔アークデーモンはわざとルカの攻撃で吹き飛ばされることによって、有利なポジションに移動したのだ。


 現在の立ち位置は、上位悪魔アークデーモンとアスタロトの中間に俺とルカがいる状況となっている。


 大技を躱せばアスタロトに直撃してしまう……!


「本気の半分程度しか出せねぇのが残念だが、俺様の切り札の一つを見せてやるよ」


 集まった闇が膨れ上がり、巨大な球体となった。

 上位悪魔アークデーモンはそれを放つ。



死国シノクニ



 暗黒球が俺たちめがけて迫ってきた。


「クロムお兄ちゃん! 二人がかりでなら……」


「あれは俺が斬る。ルカは上位悪魔アークデーモンに本気の一撃を叩き込んで来い」


「……うん、わかった」


 ルカは【絆の炎(ボンド・プロミネンス)】を発動。

 それから構えた。


 俺を信頼してくれてありがとな、ルカ。

 だから俺もお前を信頼する。


「とどめは頼んだ」


 俺はスキルを発動する。


 【剛力無双】、【炎装】、【炎斬拡張】は現状維持。

 【竜殺斬り】の枠を【破魔の一閃】に変更する。


「ふぅっ!」


 息を整える。



「そっちが切り札を使うなら、こっちも見せてやるよ。最高の一撃をな」



 俺はアロンダイトを振る。


 暗黒球が真っ二つになる。


 その向こう側に、上位悪魔アークデーモンの驚いた顔が見えた。


「アスお姉ちゃんは助け出す!」


 最高速度で突貫したルカが、右拳に炎を纏う。

 俺は【絆の炎(ボンド・プロミネンス)】でルカの火力を底上げする。



「ルカが守るんだ! ブレイジング──」



 ルカのまとう炎が爆発的に威力を増す。


 闇の世界を光で埋め尽くすほど、赤くあかく燃え上がる。



「──フレアスマッシュ!!!」



「……ぐゥッ……!」


 上位悪魔アークデーモンは腕をクロスさせてルカのパンチを受ける!


 が、ルカの勢いは止まらない。


 止められない!




「ルカはアスお姉ちゃんのことが大事だから! ──だから、死んでも絶対に助けるんだ!!!」




 不撓ふとうの決意を宿した拳が振りぬかれる。


 不屈の炎が上位悪魔アークデーモンを貫いた。



 上位悪魔アークデーモンは、上半身が消し飛んでいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつも読んでくださりありがとうございます!
↑の【☆☆☆☆☆】を押して評価していただけると作者が喜びます!

こちら新作です!

タイトル『社畜、ケモミミ幼女を拾う。~てぇてぇすぎる狐っ娘との癒され生活が始まりました~』

社畜な主人公がひたすらケモミミ幼女に癒される作品となっております!
日常ほのぼの系の作品が好きな方はぜひ読んでみてください!!!

また、peepにて拙作『不知火の炎鳥転生』がリリースされました!!!

html>


作品ページはこちら

超絶面白く仕上げているので、ぜひ読んでみてください! 青文字をタップするとすぐに読めます!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ