表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/96

第3-26話 魔界一の鍛冶師

 “魔界国宝”とも呼ばれる魔界一の鍛冶師がいる鍛冶屋へ向かう俺たち。

 公営バスに乗ること一時間ほどで、最寄りのバス停についた。


 魔界一の鍛冶師は頑固って聞いてたからもっと街外れにひっそり佇んでるもんだと思ってたから、アクセスのいい街中にあったのは意外だった。

 都庁の真横にあるのは予想できないって。


「鍛冶師はガガンドロンさんっていう名前だよ。呼んでくるね!」


 メルさんは鍛冶屋の扉をノックする。


「ごめんくださーい。仕事を依頼したいって人たちを連れてきましたよー!」



「帰れェっ! ワシはワシの認めた者からしか仕事は受けん!!!」



 鍛冶屋の中からいかにも頑固ですって感じの返事が聞こえてきた。

 これはちょっと厳しいか……?


「でも、依頼人は最強トーナメントで優勝したクロムさんご一行ですよ」



「よくぞ来てくれたッ! 魔界国宝と呼ばれるワシがその依頼を引き受けようッ!!!」



 メルさんが依頼人を告げてからわずか一秒。

 筋骨隆々のおじいさんが鍛冶屋の壁をブチ破って現れた。


「は、初めまして。なんで壁を壊して出てくる必要が……?」


「依頼人が依頼人じゃからな。一秒でも早く接客するため最短ルートで一直線に走ってきたぞい」


「いや、壁の存在意義」


「とにかくッ! 話は中で聞こう!」


 半ば強引に鍛冶屋の中へ連れていかれた俺たちは、出されたお茶を飲みながら依頼内容を伝えた。


「ふむ。剣が欲しいとな」


「はい。市販品の剣じゃ品質が高いものでも今の戦いについてこれないので、腕のいい鍛冶師に上質なものを作っていただこうと思いまして」


「うーむ……」


 ガガンドロンさんは自身のひげを撫でながら考え込む。

 しばらくして、おもむろに顔を持ち上げた。


「……決めた。クロム、お前さんの戦いは観客席から見せてもらった」


 いたんだ、最強トーナメント会場に。


「決勝戦でのあの戦いを見て、ワシの心は久しぶりに輝いた。それはもうオリハルコンの原石のようにピカピカとな。そんなお前さんになら、ワシの最高傑作をプレゼントしてもよかろう。ついてきてくれ」


 驚くほどトントン拍子で話が進み、俺たちは倉庫に案内された。


「これ全部ガガンドロンさんが作ったのか」


 俺は倉庫に並ぶ武器の数々を見て、感嘆の声を上げる。

 どれも市販品とは比べ物にならないパワーを秘めた業物わざものばかりだと、一目見るだけでわかった。


「そうじゃ。だが、驚くな。最高傑作はこれらとは比にならんぞ……ッ!」


「ガガンドロンさんをもってしてもそこまで言わしめるほどの一品……ッ! 最高傑作とはそこまでの代物なのか……ッ!」


「なんで二人ともそんなテンション上がってんの?」


 俺とガガンドロンさんのテンションにミラが疑問を呈す。


「さあ? 理解できませんね」


「ねー。男子っていっつもこうだよね」


 ミラとアスタロトにはわからないだろうな。

 この“浪漫ロマン”が。


 ちなみに、こういう時ルカはだいたいこっち側だ。


「ルカもワクワクするよな?」


「もちろん! ロマンだよロマン!」


 ほらな。


「あれがワシの最高傑作じゃ……!」


 倉庫の最奥部。

 ガガンドロンさんはある武器を指さす。


「な、なんということだ……! あれが……ッ!」


 そこにあったのは、異様なオーラを放っている一振りの剣だった。


 剣身が黒いこと以外は普通の剣と大して変わらない外観だが、放つ気配が明らかに業物のレベルを超えていた。


「そう! あれがワシの作った最高傑作! その名も──」


 ガガンドロンさんは告げた。

 その剣の名を。



「──“魔剣アロンダイト”」



 俺はアロンダイトを手に取る。

 ずっしりと、その重みが伝わってくる。


「どうじゃ? 使いこなせそうか?」


「ええ、初めてとは思えないほど手に馴染みました。問題なく使えます」


「そうか」


 フッと笑ったガガンドロンさんは、魔剣の効果を説明してくれた。


「まずは剣系スキル強化。最強トーナメントでお前さんが使っていた【炎装】や【炎斬拡張】、【剣聖】スキルのような剣にかかるスキルの効果を増強させる」


 シンプルに強力だな。

 メイン攻撃手段を強化できるのはありがたい。


「次に魔力消費削減。アロンダイトの所持者が魔法やスキルを発動する際に消費する魔力量が減るぞ」


 ふむふむ。

 持っているだけで魔力の節約になるのか。


「続いて魔力簒奪(さんだつ)。斬った相手から魔力を奪うことができるぞい」


 魔力回復手段を得られるとなると、前項の魔力消費削減と合わせて継戦能力の大幅向上が見込めるな。

 何気にこの効果が一番強力かもしれない。


「アロンダイトそのものの効果はこれだけじゃが、ワシは【スキル付与】というアイテムにスキルを付与することができるエクストラスキルを所持していての。三つほどスキルを付与しておいたぞ」


 ガガンドロンさんは得意げに語る。

 付与された三つのスキルはこのような効果だった。


 その壱、【斬撃強化】。

 文字通り斬撃の威力を上昇させ切れ味を増すスキル。


 その弐、【硬度上昇】。

 アロンダイトの硬度を上昇させ、耐久力を上昇させるスキル。

 武器破壊を防いだり、アロンダイトで直接殴ったりする際に活躍するはずだ。


 その参、【自己修復】。

 魔力を消費することでアロンダイトを修復することができる。

 武器破壊されたり刃が欠けてもすぐに修復できるのはとてもありがたい。



「魔剣アロンダイトの説明は以上じゃ。ぜひ使いこなしてくれ」


「はい! ありがとうございます!」



 こうして俺は、魔剣アロンダイトを手に入れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつも読んでくださりありがとうございます!
↑の【☆☆☆☆☆】を押して評価していただけると作者が喜びます!

こちら新作です!

タイトル『社畜、ケモミミ幼女を拾う。~てぇてぇすぎる狐っ娘との癒され生活が始まりました~』

社畜な主人公がひたすらケモミミ幼女に癒される作品となっております!
日常ほのぼの系の作品が好きな方はぜひ読んでみてください!!!

また、peepにて拙作『不知火の炎鳥転生』がリリースされました!!!

html>


作品ページはこちら

超絶面白く仕上げているので、ぜひ読んでみてください! 青文字をタップするとすぐに読めます!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ