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第2-4話 ミラの実力

「おめでとうございます! ミラさんはBランク冒険者に認定されました!」


 ミラは俺たちと同じBランク冒険者に認定された。


「やったね、ミラお姉ちゃん!」


「おめでとう、ミラ」


「まあね、私にかかればこんなもんよ!」


 ミラはドヤ顔を披露する。

 俺たちのやり取りが終わったタイミングを見計らって、ライナーさんが話しかけてきた。


「登録し終わったばかりですまないが、依頼を受けてくれないか? ホントだったら俺が出向くところなんだが、先日の件で忙しくてな。だから、お前たちに頼みたい」


 もとより、この後は依頼を受けるつもりだったので特に問題はない。

 一応二人に目配せすると、「問題ないよ~」とアイコンタクトで返された。


「詳しく教えてください」


 そう伝えると、ライナーさんは概要を語ってくれた。

 まとめるとこんな感じだ。


 フラメアの近くにある小さな集落がコカトリスに襲撃されたそう。

 通常のコカトリスではありえない腐食毒を使ってきたので、くだんのコカトリスはおそらくあの魔法陣に関係があると思われる。

 たまたま依頼でその集落に居合わせた冒険者の矢がヒットしたことで、コカトリスは森へ逃げ込んだとのことだ。


「つまり、そのコカトリスを討伐すればいいんですね」


「そういうことだ」


「俺たちに任せてください」


 というわけで、俺たちはコカトリスが出た集落にやって来た。


 【獣化の術】で狼に変身したルカに乗ってきたわけだが、進化したのもあってルカの速度は大幅に増していたぞ。

 ミラの飛翔速度に合わせるために速度を落としていたようだが、それでも進化前より速かったからな。


「それじゃあ、コカトリス討伐といくか」


「よ~し、進化して強くなったところを見せてやりますか~!」


「今夜は焼き鳥だね!」


 コカトリスが逃げていった方向は、ライナーさんから聞いている。

 情報に間違いがないか念のため集落の人に確認をとってから、俺たちはコカトリスを討伐すべく森へ向かった。


 草木の生い茂った森の中を進む。

 ちょくちょく魔物と遭遇したが、討伐する必要はないので適当に追い払う。


「コカトリスっぽい気配と血の臭いがする。すぐ先だよ」


「了解」


 そのまま進むと、開けた場所に出る。

 中心に転がる倒木。

 その上にターゲットはいた。


「ピギャァァ……!」


 尾羽の部分から蛇を生やしたその姿は、間違いなくコカトリスだ。

 左足の付け根部分に矢が刺さっていることから、討伐対象であることは間違いない。


「二人は手を出さないでね。今回は私の獲物だから」


 ミラが一歩前に出る。

 コカトリスはこちらを睨んで──即座に逃げた。


 どうやら、負傷した状態では勝ち目がないと判断したらしい。


「飛べばすぐに追いつけるけど……これはお披露目だからね。これまではサポートしかできなかった私が、攻撃もできるようになったんだと知らしめるための」


 ミラがパチンと指を鳴らす。

 お馴染みの幻影魔法が発動し、初級雷魔法であるサンダーアローの幻が現れた。


「発射」


 雷の矢がコカトリスに迫る。


 だが、所詮は幻に過ぎない。

 命中したところで、倒すどころかダメージを与えることすら不可能だ。





 ──()()()()()()()()





「【虚無反転】」



 ミラがそう呟いた次の瞬間。


 ()()()()()()()()()()()()()()()


「ビギャァアアアアアァァアアアアアアアアッッ!?」


 断末魔の金切り声を上げて墜落するコカトリスを背に、ミラはニヤリと笑った。


「イマドキの後衛職はサポートも攻撃も両方こなせてこそでしょ」


 【虚無反転】。

 その効果は、“幻を現実にする”というもの。

 たったそれだけだが、これこそがミラの目玉スキルだ。


 このスキルは幻影魔法と最強のシナジーを発揮する。


「幻影魔法と【虚無反転】の組み合わせ──名付けて現実魔法は、ほぼすべての攻撃魔法が再現可能だよ。回復魔法やバフ・デバフみたいな対象に直接作用する魔法は無理だけどね」


「魔法って本来は適正がないと使えないんだけどな……。ほぼすべての攻撃魔法がノーリスクで再現可能とかヤバすぎるだろ」


「ん、ミラお姉ちゃん強すぎだよ。超すごい!」


「はっはっは。もっと褒めたまえ」


 調子に乗ったミラを一通り褒めちぎってから、俺たちはコカトリスの死体を回収する。

 一度集落に戻ってコカトリスを討伐したことを伝えてから、俺たちはフラメアに帰還した。


「お疲れ様です。無事に依頼達成ですね」


 ギルドで手続きを済ませた俺たちは、解体してもらったコカトリスの肉を受け取って宿に戻る。

 庭を貸してもらってコカトリスの香草焼きを作っていると、ミラが口を開いた。


ちなみに、ルカはミラの膝の上にちょこんと座っているぞ。


「ねぇねぇ、旅行しない?」


「「旅行?」」


 俺とルカのリアクションが被る。


「そう、旅行。Bランクになったからそのお祝いということで。昨日調べたんだけどさ、アクアマイムとかいいんじゃない? 水の都って呼ばれてるくらいだし」


「アクアマイムか。確かに旅行先としてはピッタリだな」


「クロムお兄ちゃん、アクアマイムってどんなとこ?」


「そうか。ルカは知らないよな」


 俺はアクアマイムについて説明する。


 この国の南に広がるフォーゲルン大湿地の近くにある街で、温泉街として有名なことを。


「温泉街かぁ。ルカ、温泉入ったことないから気になる!」


「ルカは賛成だって。後はクロムだけだよ」


 俺としても、昇格祝いはしたいと思っていた。

 それにゴブリン集落事件が解決したことで、高ランク冒険者向けの依頼がほとんどないフラメアにとどまる必要性がなくなったからな。

 他の街に行って依頼を受けるのは大アリだ。



「行くか、温泉旅行」



「「やった~!!」」


 というわけで、俺たちは旅行することになった。

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