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第16話 作戦再開

「ゲギッ……!」


 ザシュッと。

 俺の剣がハイ・ゴブリンの背中を斬り裂く。


 いける……! これならいける!


 ルカの【身体強化】を借りれば、俺の剣でもハイ・ゴブリンを斬れた。

 ダメージを与えれた!


「ゲェェェェェッ!!」


 ゴブリンが雄たけびを上げながら踏ん張る。

 筋肉がボゴッと膨張したと思ったら、無理やり回転斬りを放ってくる。


 これは……【身体強化】! 二人まとめて斬るつもりか!

 今のハイ・ゴブリンの攻撃を防ぐなんて俺には無理だ!


 俺はとっさに跳躍して躱す。

 ルカは背後に飛んで躱す。


 紙一重で剣が通り抜けていく。


「危な……」


 俺は木の幹に着地する。


「ゲッ……!」


 ハイ・ゴブリンは剣を片手で持ち、投擲の構えをとった。


 ハイ・ゴブリンにとって、強引にルカと距離をとった今が最後のチャンスだ。

 俺だけでも殺す気か!


「ギャァァッ!」


 投擲!

 俺はもう一度、別の木に向かって跳躍する。


 さっきまで俺がいたところに、寸分違わず剣が突き刺さった。


「ゲェ……」


 ハイ・ゴブリンが悔しそうな顔をする。

 刹那、ルカがハイ・ゴブリンの首を折った。


 俺は安堵の息を吐いたところで、跳躍中なのを思い出した。

 けど、もう間に合わない。

 俺は盛大に顔面から木に激突した。


「ああああぐばぁ!?」

「クロムお兄ちゃん!? 何やってるの大丈夫!?」


 ルカが慌ててかけ寄ってくる。

 俺は顔を押さえながら、回復魔法を使った。


「痛た……」

「どこもおかしなところない……?」

「大丈夫だよ、回復魔法使ったから。……ただでさえ昨日の今日で身体能力が上がってるのに、空中機動みたいな慣れない動きはするもんじゃないな……」


 これも今後の課題だな。

 【身体強化】も含めて、今の身体能力でできることに慣れておかないと。


 服についた埃を払っていたら、ルカが話しかけてきた。


「今度こそ終わりなのかな?」

「みたいだな」


 ……にしても、モヤモヤする。


 ただでさえ珍しいゴブリンが群れで行動していた。

 リーダーは上位種で、その仲間はさらに上位種のハイ・ゴブリン。


 もしも他に仲間がいたら? そんな考えが頭をよぎる。

 ギルドに戻ったら、念のため報告しておいたほうがいいだろう。

 そのためにも、まずは依頼を達成しないとな。


「ナイトメアノワール討伐作戦の続きに戻ろう」

「そうだね」


 というわけで、一時間後。

 俺たちは小型の鹿の魔物を狩ることに成功した。


「餌ゲットだね!」

「ああ。これで必要な道具はすべてそろった」


 俺たちは鹿の死体をナイトメアノワールの巣から一目で見渡せる場所に運ぶ。


「ナイトメアノワールは……いないみたいだな」


 遠目から確認したところ、ナイトメアノワールは留守にしている様子。

 俺たちはさっそく作業に取り掛かった。


「まずはこれだ」

「あの時の毒だね」

「これを鹿の死体に染みこませて……」


 鹿は剣で倒したから、当然斬ってできた傷がある。

 そこに毒をまんべんなく垂らし、肉の中に染み渡らせる。

 これで毒餌の完成だ。


「でも、これだけだと賢いナイトメアノワールは食いつかない可能性が高い。だから、習性を利用する」

「出た、金ぴかの石」


 この金ぴか石を毒餌の上に置く。

 メチャメチャあからさますぎるけど、ナイトメアノワールなら絶対に食いつくはずだ。

 最初に遭遇の時、ナイトメアノワールは巣に侵入した俺たちそっちのけで金ぴか石に食いついたほどなのだから。


「これならナイトメアノワールは食いついてくれるだろうけど……毒餌は無視して、金ぴかの石だけ持って帰ると思う」

「俺も非常にそう思う。だからこれを使う!」


 俺は最後の切り札を見せた。


「これは?」

「通称、『なんかめっちゃお腹が空くスプレー』だ」


 ルカは納得したように頷く。


「そういうこと」

「ルカは察しがいいな」

「えへへ。それほどでも」


 ルカは嬉しそうにはにかんだ。


 可愛いというのは置いといて、このスプレーは嗅いだ魔物に強い空腹感を感じさせる効果がある。

 ほとんどの魔物は理性より本能のほうが圧倒的に強い。それはナイトメアノワールも同じ。

 空腹感を感じた時、そこに餌があれば必ず食いつくはずだ。


「念のため多めにスプレーしとこ」


 毒餌や金ぴか石に向かってシューっと吹きかける。

 この辺の空気中にもスプレーの成分が漂っているから、金ぴか石に釣られてやってきたら確実にお腹を空かせてくれるはずだ。

 そして、我慢できずに毒餌を食べてしまう。


 作戦の成功を確信していると、すぐそばから「ぐぅぅ~~」という可愛らしい音が聞こえてきた。

 そちらを見れば、ルカが顔を赤くしていた。


「……お腹空いた」

「……そういえば、ルカって魔物だったな」

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