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第13話 初依頼

「もう朝か」


 目が覚める。

 俺はベッドから起き上がる。

 その音でルカも目を覚ました。


「おはよ、クロムお兄ちゃん」

「おはよう。髪、はねてるぞ。ほれ」

「ん、ありがと」


 身支度を整えたら宿の食堂で朝ご飯を済ませる。

 うん。朝ご飯もおいしい。


 それから俺たちはギルドにやって来た。

 扉をくぐって中に入ったら、真っ先に依頼書が貼られているところへ向かう。


「クロムお兄ちゃん、記念すべき初依頼は何にするの?」

「そうだな……。簡単な魔物退治にしよう。まずは俺が強くならないといけない」


 ……のだけれど、パッと見た感じだとめぼしい依頼はない。

 この辺の魔物は弱くて臆病。言い換えると無害な魔物ばかりなのもあって、討伐系の依頼が驚くほどない。

 薬草採取などの採取系や街で仕事の手伝いをする系の依頼ばかりだ。


 と、そこで。


「クロムお兄ちゃん、あれは?」


 ルカがボードの隅っこにひっそり貼ってあった依頼書を指さした。


「なになに……。ナイトメアノワールの討伐か。ん、ナイトメアノワール……?」


 ……ああ、あれか。

 昨夜、宿の食堂で冒険者たちが話してたやつか。


 内容だけ読んどこう。


「えーっと……ここから北に向かったところにある村にナイトメアノワールが出現した。おそらく村の近くに棲みついたと思われる。人間の被害はケガ人が数人出たくらいだが、家畜を連れ去られたり物を盗まれたりといった被害が多発……」


 報酬を見てみると確かに割が良かったので、昨日の冒険者たちが言っていたのはこれで間違いないだろう。


「クロムお兄ちゃん、ナイトメアノワールってどんな魔物なの?」

「うーん……。一言で言えばでっかいカラスだよ。機動力や攻撃力に優れたC+ランクの魔物で、魔法も使ってくるんだ」


 それなりに賢い魔物だから、弓や魔法があっても狩るのは難しい。

 昨日の冒険者がこの依頼を受けなかったのは、それが理由だろう。


「この依頼のランクはCか」


 依頼にもランクがある。

 冒険者が受けられるのは、自分のランクと同じか一つ上までだ。

 つまり、俺たちのパーティーランクはDだから、Cランクであるこの依頼は受注可能ってことになる。


「よし、決めた。この依頼を受けよう!」

「今聞いた話だと倒せる気がしないから、何か策があるんだね」

「百パーセント安全とは言えないけどな」

「それはどの依頼でも同じだから問題ないよ」


 はたから見ると、俺は無謀なことをしようとしているアホなんだろう。

 だけど、ルカはそんな俺についてきてくれる。

 信頼してくれているのが、たまらなく嬉しかった。


「この依頼を受注します!」

「ナイトメアノワールの討伐依頼ですか……って、はい!?」


 ルカは驚きもしなかったけど、受付嬢さんには驚かれた。

 ちなみに昨日と同じ人だ。


「ルカさんは確かに強かったですけど、クロムさんは……」

「確かに俺は弱いです。ナイトメアノワールと正面から戦ったら、あっという間に殺されるでしょう」

「分かっているならこんな危険な依頼は……」


 受付嬢さんが止めようとする気持ちも分かる。

 だけど、俺は早く強くなりたい。


「安心してください。正面からは戦わないので」

「……勝てる算段があるんですか?」

「なかったらこんな無謀な依頼は受けないよ、クロムお兄ちゃんは」

「……本当に気を付けてくださいね?」


 ルカの言葉が決め手になったらしい。

 受付嬢さんはまだ心配そうではあるものの、受注の手続きをしてくれた。


「行ってくるね、ばいばい!」

「絶対に帰ってきます」


 俺たちはギルドを出る。

 街でちょっと買い物をしてから、馬車に乗ってその村に向かう。


「財布の中がまた寂しくなってきたな……」

「ナイトメアノワールを討伐して稼がないとね!」

「だな。成功したら何かおいしいものでも食べよう」

「いいね、賛成! ルカはお肉食べたい!」


 他愛のない話をして時間を潰しているうちに、とうとう目的地の村が見えてきた。


「気を引き締めていくぞ」

「ん、らじゃー!」


 ルカがビシッと敬礼する。


 村に着いてすぐに、俺たちは村長のもとに向かった。

 まずは情報収集だ。

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