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病弱な少女は冷酷な皇太子に溺愛される  作者: 霖月あおい
第一章 急な婚約と結婚式
18/45

診察と初めての女医

「おはようございます、クリスティア様」


「おはよう、リナ」


「体調はいかがですか?」


「まぁまぁね…眠いわ…」


「朝食の後、医師の診察がございます。そこで、今後の行動予定も決まりますので…」


「流石に寝たりしないわ。朝食にしましょう」


「かしこまりました」


部屋に朝食が運ばれてきます。王宮の朝食は、パンとスープに、蒸したお野菜、目玉焼き、フルーツの盛り合わせです。それぞれが少なめに盛られているのは、料理人の配慮でしょう。


「いただきます」


「オースティン家とはだいぶ違うそうですけれど、クリスティア様は嫌ではないのですか?」


「別に、食事に大きなこだわりがあるわけではないもの」


「オースティン家の朝食はどのようなものなのですか?」


「目玉焼きじゃなくてゆで卵。パンとスープではなくてパン粥が出てくるくらいの違いかしら」


「パンとパン粥はかなり違いますよ」


「同じようなものでしょう?スープとパンを一緒にすればパン粥になるもの」


「そうですね」


「それなのに、栄養分を吸収しやすいのはパン粥なのだから不思議よね」


そういうと、2人は小声の話し合いに入りました。すべて聞こえているので、声を小さくする意味は殆ど無いですけれど。


「ならば、パン粥のほうが…」


「早く食べれるのもパン粥よね」


「侍女たちの食事はそちらに変えてもらおうか…」


「ならばわたくしもそちらで食べるわ」


「え、クリスティア様もですか?」


「わたくしが食べ慣れているのはそちらですもの」


「でも…侍女が食べるような場所に…」


「大丈夫よ。気が付かれなければ」


少し本音を出しすぎてしまったのでしょうか。2人の困惑の表情を見て、言ってはいけないことまで言ってしまったと悟ったわたくしは、朝食をいただくことに専念することにいたしました。


「…クリスティア様は、抵抗がないのですか?」


「え?」


「平民と共に居ること、平民と同じテーブルに付くことに」


「ないわ。だって同じ人間でしょう?もちろん、貴族であれ、平民であれ、マナーがなっていない人と同席するのは嫌だけれど」


「身分よりは礼儀ということですか?」


「醜態を晒すような人間とはともに居たいと思わないでしょう?

 さて、ごちそうさまでした。お医者様がいらっしゃるのはいつ頃になるのかしら?」


二人が納得したところでちょうどわたくしの食事も終わりました。


「ごちそうさまでした。それで、お医者様はいついらっしゃるの?」


「クリスティア様のお支度が整ったらです。もう大丈夫ですか?」


「…お医者様って、殿方でしょう?肌を見せないようにしなければならないのではなくて?」


「いえ、女性ですよ。少ないですが、女性の医師もいるのです」


「クリスティア様の侍医となられる方ですが、帝国初の女医だそうですよ」


「まぁ。女性が…大変だったでしょうね…お連れして」


「かしこまりました」


リリーが一礼して、医師を呼びに行きます。その間に私はベッドに移動し、リナは服を緩めても問題のないように天幕を引きました。支度が整った頃、リリーが一人の女性を連れて戻ってきます。


「お初にお目にかかります。エリザベス・ブラックウェルと申します」


「はじめまして、ブラックウェル先生。クリスティア・ベル・オースティンと申します。以後よろしくお願いいたしますね」


「はい。早速なのですが、クリスティア様、いくつか質問をさせてくださいませ」


「何なりとどうぞ」


「では、遠慮なく」


そうおっしゃったブラックウェル先生の質問は本当に遠慮がありませんでした。そして色々と質問に答えたあと、触診されます。同性の医師ならば嫌だなと思う気持ちも浮かばず、今までで一番リラックスした診察でした。


「それでは、本日の診療でわかったことを報告させていただきますね」


「はい」


「まず、血の気が全く足りていません。それから、運動も不足しています。お散歩程度でいいので体を動かしましょう。視力が少し悪いですね。長時間の読書はお控えくださいませ」


「…はい」


「それと…いえ、これは大丈夫ですね。対策をされているようですし」


「血の気?が足らないのはどうすればよいのですか?」


「好き嫌いなくきちんと食事を摂ることがいちばんですが…クリスティア様の場合はそもそもの食事量を増やすことも必要でしょう」


「食事量を増やす…」


「えぇ。少しずつ食事量を増やしましょう。今のままですと、あまり申し上げたくはないのですが、身ごもることはできても、その後がとても危険になってしまいます」


「そうなのね…仕方ないでしょう。少しずつの配分がわからないのでそれは貴女に任せるわ」


「今感じていらっしゃるだるさは、体を酷使しすぎたがために起こっているものですから、ゆっくり休んでくださいね」


「わかりました」


診察が終わったところで、ドアをノックする音が響きました。


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