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病弱な少女は冷酷な皇太子に溺愛される  作者: 霖月あおい
第一章 急な婚約と結婚式
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リナ視点 家から出ないひきこもりのお嬢様


「まだ少しお時間があるのですけれど、昨日の続きを読まれますか?」


そう言って私が取り出したのは、昨日、クリスティア様が読み始めた昔の皇后様の日記です。ヴィクトリア・ベル・キャンベル様が参考にと貸してくださった大切な本でした。


「いいえ。時間的にもあまり読めないでしょうから次の機会にするわ。リリー、文章は出来た?」


「はい。今書かれますか?」


「えぇ。」


「かしこまりました」


私が文机を整え、手紙を書けるように準備している間に、リリーがささっとメモを用意します。その間に、クリスティア様は、何かを反芻するように空を見つめながら、席に付きました。


「それでは、リリー」


「はい。こちら下書きです」


内容の書かれた小さなメモを渡されてクリスティア様は少し目を見張りました。いつの間にメモをしたのか、気が付かれなかったご様子です。


「なにかおかしな点がございましたか?」


「いいえ。完璧だわ。ありがとう」


ぱちりと目を瞬いたあと、すぐに笑顔を作り、私達に微笑んでくださるクリスティア様は、普段から引きこもっていた、変わり者のお嬢様などと噂をされている雰囲気は全く無く、相当に賢い方だとわかります。社交界の噂話とは無縁でいらしたのがわかる少し自由で、自分をはっきりと持っている様子がきっと、エドワード様の目にも好ましく映ったのでしょう。


「リナ、わたくしが倒れたら、こちらを殿下にお渡ししてね」


「かしこまりました」


便箋は薄い緑に、シロツメクサの模様が描かれているもの。隣には、青地に白の鳥の羽が描かれているものも用意していたのですが、緑を選ばれたということは私の意図にも気がついているのでしょう。賢い方です。


「ねぇ、リリー、リナ。あなた達、休みがほしいとは思わないの?」


「お休みですか?」


「えぇ。オースティン家では侍女たちに順番にお休みを与えていたの。王宮には休みはないのかしら」


「休みはございます。ですが、クリスティア様のお世話をできるのは現状、私達しかいないので、しばらくは難しいと思います」


「そう…皇…宮に…も足り…んて…」


「クリスティア様?申し訳ございません、聞き取ることが出来ませんでした」


「いいえ。侍女が増えるまでは忙しいでしょうけれどよろしくね」


「「はい」」


リリーには聞き取れなかったようですが、私にはきちんと聞こえました。「皇太子宮に割く人員も足りないなんて。」そう、クリスティア様はおっしゃったのです。つまり、他にも人員が足りていない事がわかっているということです。「家から出ないひきこもりのお嬢様」、そんなあだ名を付けた社交界の方々が真っ青になる未来はもうすぐそこのようでした。


とりあえず更新ですが、たぶん、この夏に沢山更新したあと、やることが大量に詰まった下半期を迎えるので、半年とか、そういう単位で更新が途切れると思います。予定消化したら必ず更新するので、待っていてくださると嬉しいです。

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