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病弱な少女は冷酷な皇太子に溺愛される  作者: 霖月あおい
第一章 急な婚約と結婚式
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皇族教育2

とりあえず更新です…また間空いちゃうかもしれませんが、いつも読んでくださってありがとうございます!

今日は、芸能の授業でした。

わたくしは、長時間立っていたり、踊ったりすると体調が悪くなってしまうことも多く、長時間の行事はすべてお断りしてきました。踊りやピアノ、ヴァイオリンは幼い頃から学んでいたためある程度は出来ますが、それまでですし、体力が持たないせいで思うようにいかないことも多いのです。そんな不安を感じ取ったのか、リナとリリーは心配そうに顔を覗きこんできました。


「クリスティア様?」


「どうかされましたか?」


「…体が持つかしらと思って」


「具合が悪くなられたらすぐにおっしゃってくださいね。殿下の侍医も控えておりますので」


「そう…殿下に感謝をお伝えしなければならないわね」


「お手紙を書かれますか?」


「そうするわ。文章を考えておいてくれる?」


「かしこまりました」


正装での踊りの授業のため、二人は髪を結い上げていきます。複雑な編み込みを崩れないように緻密に編んだあとは、残った髪をふわりとまとめ、きれいなシニヨンを作ります。後れ毛を巻き、前髪にも熱を通すことで、崩れにくくすると、オイルを使ってボサボサにならないように髪を抑え、髪飾りをさして髪型が完成しました。次は、お化粧です。わたくしがシンプルな化粧を好むことを察している二人は派手なことはしません。軽く肌を整え、白粉と口紅を使って自然に仕上げてくれます。


「終わりました」


「次はお着替えです」


「ドレスは決まっているの?」


「特に決まりはないのですが、正装ですし、かかとの高い靴に合うよう、軽めのものにいたしましょうか」


「ならば、緑のシフォンのドレスがあるでしょう?あれはどうかしら」


「そうですね。では、エメラルドの首飾りと耳飾りで統一感をだしましょう」


「コルセットを締めますね」


「わかったわ」


リリーの言葉とともにコルセットがギュッと腹部を締め付けてきます。好きになれない圧迫感に耐えつつ、締まるのを待っていると、想像しているよりもゆるい状態で締め付けが止まりました。


「リリー?弱いのではなくて?」


「これ以上締めてしまうと、クリスティア様のお体に良くないですもの。皇后様もきつく締め付けることは禁じておられますわ」


「そうなの。それにしては、社交界の令嬢たちは細く締めているようですけれど…」


「あれはやりすぎなのです。御令嬢はきつく締めている方も多いですけれど、高位の令嬢や御婦人はそれほど締めていないのですよ」


「クリスティア様もあまり締め付けていなかったのではありませんか?」


「わたくしは、そもそもコルセットを好まなかったから、あまりしていなかったわね」


「クリスティア様は元々が細いですから」


「コルセットをする必要がないですもの」


なにかに納得したようにうなずきながら、2人がドレスを着せてくれます。装飾品を身に着けて、支度は整いました。


「それでは参りましょう」


「本日の授業は昨日と同じく百合の間で行われます」


「わかったわ」


二人が今日の予定を伝えてくれるのをどこか遠くで聞きながら。

緊張してやまない、芸能の授業が始まりました。


「おはようございます、ヴィクトリア様」


「おはよう、クリスティア様」


「そちらは…?」


部屋の隅に見知らぬ殿方がいるのを見て、わたくしが質問すると、彼は初対面の挨拶をしてくれました。


「お初にお目にかかります。ヴィクトリア様の護衛騎士を拝命しておりました、トリエステと申します」


「はじめまして。この度、皇太子殿下の婚約者となりました、クリスティア・ベル・オースティンと申します。本日はよろしくお願いいたしますね」


「クリスティア様、騎士に対して態度が堅いですよ」


「申し訳ございません。騎士様に不慣れな故、失礼をいたしました」


「いえ、お気になさらず。トリエステとお呼びください」


「わかりました。トリエステ」


「それでは、早速始めましょう。基礎力を測りたいので、楽器から披露してもらおうかしら」


「はい。ピアノからでよいですか?」


「そうね。では、あなたの一番得意な曲をお願いしようかしら」


「わかりました」


ピアノでわたくしが一番得意な曲は、お母様がわたくしのために作曲してくださった曲です。「鳥の王女の箱庭」というタイトルのこの曲は、鳥籠の中に閉じ込められた小鳥が、成長して外の世界を知っていき、ある日、鳥籠をこじ開けて空に羽ばたく様子が歌われています。

閉じ込められている苦しそうな様子は短調の暗い音階で。鳥籠が空いて外に出たときは、大きな明るい音で。強弱も大切だけれど、スピードを変えるのも曲のイメージを作る上では大切な要素になります。希望に満ちた音で鍵盤を叩き、演奏が終わりました。


「ふぅ…ご清聴ありがとうございました。パトリシア・ベル・オースティン作曲『鳥の王女の箱庭』でした」


「素晴らしいわ。ピアノに関しては問題ないようね」


「ありがとうございます」


「つぎはヴァイオリンね」


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