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第八話 丸、三角、四角

至急警視庁に来て欲しい。木藤から大学宛に百目野に連絡が入った。

「木藤刑事が?」

百目野は警視庁に出向いた。

「百目野君、よく来てくれた。いや、今や准教授か。百目野先生か。探偵稼業は辞めたって?」

「百目野君で善いですよ。探偵稼業は大学が許しませんよ。講師の頃は大目に見てくれてましたが」

「彼は相棒の白城だ」

よろしくと云って紹介された。

「特別捜査本部まで置かれて・・・例の事件ですね」

「ああ、ニュースで知っているだろ?私も一員だ」

「忙しいでしょうに。善いんですか?私とこんな」

「あなたのその経歴で協力して貰いたいんだ」

「そんな重要な事件に協力?」

「アドバイスで善いんだよ」

「僕でよければ」

「ありがとう。早速、事件の詳細を見てもらおう。現場写真はちょっとキツイ」

百目野は特別捜査本部が纏めた詳細を見た。

「な、何ですか?この殺害死体は?原型を留めていない」

「そうなんだ。しかも音も、悲鳴も何も痕跡が無いんだ」

「・・・・・・」

「元探偵としての知識で解明できるかい?」

「科学捜査としては?」

「お手上げだ。だからもう1つのあなたの知識。超自然學科准教授としての意見はどうだい?もしくは共に考えて欲しい」

「・・・・・・」

「気になるのは現場に血で書かれたこのサイン」

「んん?」

「何を意味していると思う?」

百目野はしばらく考えていた。

「百目野君、オフレコだが、これは人間の仕業じゃないと思っている。そしてこの殺人予告とも取れるサイン・・・次は皇居が危ないと睨んでいる」

「このサインは殺人予告ではないかもしれません。いやそうとも云えるけど意味合いが違うのかも?」

「え?」

木藤と白城は目を見合わせた。

「僕には星座に見えます」

「はあ?」

「ほら、オリオン座の三つ星」

「オリオン座の三つ星?星が何の関係があるんだい?」

「オリオン座は和名の星座の中でも凄く命名が多いんです。鼓星つづみぼし)、小三つこみつぼし)柄鋤星からすきぼし)熊手星くまんでぼし)・・・100近く呼び名があるんです。住吉大社では主祭神の三神です。底筒男命そこつつのおのみこと中筒男命なかつつのおのみこと表筒男命うわつつのおのみこと。「つつ」とは古代、星の意味です。航海の神なんです。しかし、戦勝を呼び込む将軍星としても持て囃された。毛利氏や渡辺氏の家紋は三つ星紋です」

「将軍星・・・いや、君は学者だが、天文の講釈など要らない。だからなんでオリオン座の三つ星なんだい?俺たちは皇居を飛び越えて直線上に四谷で犯行に及んでいることに目をつけている。だから皇居中も厳戒態勢を敷いた」

「オリオン座の写真は無いですか?」

白城がパソコンで検索した。

「うむ?」

「ほら、左と真ん中の星の間が右と真ん中より離れていますね」

「確かに犯行のサインと似ているが・・・」

「オリオン座を完成させようとしていたら?」

「皇居ではない。周りの4箇所」

「オリオン座は何かパワーを与えてくれる・・・そういう学説が密かにあります。古代人はそう考えたのかもしれない。例えばピラミッドです。ピラミッドパワーはご存知ですよね?」

「知っている。例えば紙でピラミッドを作ったとしよう。4面を東西南北に合わせて中に果物などを入れておくと日持ちするってやつだ」

「そう、何かのパワーが働く。それは実証済みですが、それが何なのか?わからないんです。ピラミッドは未だ何の目的で作られたか?もわからないんです。ピラミッドの面は?どう構成されていますか?」

三正三角錐せいさんかくすいの4面体だ」

「パワーを与えてくれるものはまだあります。丸です。ストーンサークルは丸、円形。ミステリーサークルは丸と三角で構成されているものが多い。私の仮説ですがこれらもパワー装置だと思っています」

「仮にそうだよしよう。そのパワーって何だい?」

「宇宙エネルギー」

「つまり、形を作っただけで宇宙からエネルギーが得られるのかい?」

「古代人はそう思った。それはオリオン座から得られる。そう思ったのは古代エジプト人です。ギザのピラミッドは3連でしょう?オリオン座の三つ星と同位置に作られている。全て3と4です」


巨大ピラミッドはオリオン座のパワーを取り入れるために作られた。


「飛躍しすぎだな。で、パワーを得られたとは思わないが。未だに何もないじゃないか?」

「そう、古代エジプト人たちは失敗しました。パワーは得られなかった」

「なぜ?」

「オリオン座を完成出来なかったから」

「つまり三つ星を囲む4星か」

「財政難からなのか?わかりません、もしかしたら・・・」

「もしかしたら?」

「作っている最中に何かに気づいた」

「何だい?」

「災いです。だから記録にも残さなかった。パワーは得られるが、災いになると」

「災いって何だい?それにそんな簡単なら犯罪も簡単に起こせるじゃないか?」

「自然のパワーってシンプルなものです。小さければ小さく、大きければ大きく」

「奴はそれをやろうとしているのかい?」

「皇居中心であれば東京の中心です。円を描いて災いが起きるのでは?と」

「3と4、そして丸、円・・・」

やはりこの男は阿夜訶志あやかしだ。混乱させるだけじゃないか!

しかし警察側は何の進展も無い。

「もしかしたら警視正はこういうことを俺に期待して自由に動けと云ったのか?・・・俺と白城でこの説に賭けて見るか」

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