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第参話 点と線

連続惨殺事件・・・不可思議は事件は所轄を通り越して本庁に所轄が一任する。明治の所轄署襲撃事件(九尾狐事件)からそうなった。それは表立っては行わないが、所轄も協力する。


「またか?」またもや惨殺事件だ。今度は神田猿楽町だ。「人喰いだと?」頭が半分、猛獣に喰われたようだと云う。「木藤、同じ犯人だと思うか?」「課長、犯行の仕方が全く違う。残忍さがね。人喰いなどとは・・・」

木藤は思った。「異常者?・・・人間の仕業なのか?」しかも同じ天馬組組員だ。

「特別捜査本部を設置するよう頼もう。周囲に警戒態勢。住民が怯えているはずだ」


「木藤さん、何者ですかね?」「白城、暴力団抗争なんてもんじゃないぞ。これは。兎に角、聞き込みだ」

そこにマル暴の東雲しののめがやってきた。「木藤、どういうことだ?天馬組の警戒を解けとは?課長!刑事個人にこんな権限がありますか?!」「東雲、これは抗争なんてもんじゃないぞ」「じゃあ。なんだ?」「わからん」「わからん・・・て・・・お前!」「見張りはつけておいてくれ」「当たり前だ!」「それと組の者を外でウロウロさせるなと」「組に何かあったらどうする?」「無い!お前が思っているようなことは無い。天馬は犯人がわかっているはずだ」「天馬が?」「何か不審な所は無かったか?」「・・・あった・・・何か隠しているようだった」「それを突き止めてくれ。自白などするわけがない。佐藤まで殺されたんだ。どう出るか?見張ってくれ・・・課長、良いですか?」井上課長は頷いた。それだけ木藤を信用している。井上課長は云った。「東雲、何かあったら私が責任を持つ!これでどうだ」「わかりました・・・私も課にそう報告します」

マル暴の佐々木課長と捜査第一課の井上課長は随意で現場上がりの叩き上げだ。東雲もそれ以上は意見しなかった。

「白城、先に現場に行ってくれ。東雲、ちょっと話そう」

木藤は事件の詳細を話した。

「人間業の殺し方ではない。だから直接本庁に来た。話では人喰いの遺体は頭蓋骨まで喰われているそうだ」

「猛獣使いか?プロの殺し屋か?」

「目撃者もいない、音もしない。悲鳴もしない。住宅街の真ん中でな。プロなら遠方狙撃だろ?」

「どういうことだ?」「わからん。が、天馬は犯人を知ってる。頑なに何故?云わないのかわからぬが・・・だからそれを調べるのが手っ取り早い」

「わかった。協力する」


井上課長が横から口を挟んだ「木藤。何か思い当たることもないのか?」

「あるにはありますが・・・・」

「何だ?!それは?」井上と東雲が同時に聞いた。

「須佐族なら・・・いとこ簡単にできるはず・・・」「伝説の須佐か?」井上と木藤は頷いた。

「須佐族?なんです?そりゃ?」東雲が聞いた。

「東雲に話してもなあ」

「おい!目星があるにのに教えないのか?!族って殺人集団か?」

「違う、解せないから頭が痛いんだ。兎に角、現場に行ってきます」


木藤は車に乗り込むと現場に向かった。

「どうも殺人を楽しんでいるように見える・・・須佐がこんなことをやるわけがない」

明治末、木藤の先祖も刑事で厄介な事件を担当した。調書として残されている。「いつか、またこんな事件が起こる」警視庁の一部の幹部が信じている。木藤はその一部から白羽の矢を立てられた。先祖のこともあるし、岩手の事件もある。


須佐妖戦帖 第3章 「妖狐の傀儡」参照

阿夜訶志探偵・百目野尊「鬼が来た!」参照


「白面金毛九尾狐の事件など奴が信じる訳が無い」

現場に着くと白城刑事が待っていた。

「どうなんだ?白城」

「どうもこうも・・・頭からガブリ!ですよ」

木藤は屍体を見た。

「1噛みだな・・・何かわかったことは?」

「何も・・・通りすがりの住民が惨状を見つけて」

「素人にはこの屍体はきついぞ」

「未だに震えていますよ。今は調書も無理です」

一体?何が?・・・誰が?では無い。すでに人間の仕業では無いと判断した。


「木藤さん、これを見てください」白城がコンクリート塀の上部を指差した。

「ん?なんだ?ありゃ」

血で何かが書いてあった。

「2つの点を線で繋いでいる・・・」

「木藤さん、何だと思います?」

「うん・・・・何かのサインか?写真を撮っておけ」

これは何かのヒントかもしれない。何かのお遊びとも取れる。


所轄警官が「木藤刑事、本庁から電話です」

「木藤です。どうしました?え?!新たな殺人?!稲村組本部が?!」


木藤は白城と稲村組に向かった。

「木藤さん、稲村組と云えば・・・」

「天馬組と対抗している組織暴力団だ」

「天馬組の鉄砲玉ですか?」

「違う!組長を含め、数十人が壁に埋め込まれたり、身体に大穴を開けられたり、バラバラ死体だそうだ」

「な!」


東雲が居た。現場はごった返していた。

「東雲、どうだ?」

「木藤・・・」頭を抱えていた。1階入り口の脇には3人、壁に組員が埋め込まれていた。

2階事務所に上がると「うう!」見るに耐えない光景だ。

「東雲!天満組が危ない!」

「だから云っただろう!すでに警護を差し向けたわ!」

「これは、組織暴力団への無差別殺人だ!」

事務所の壁に・・・・「あれは?」

3つの点が線で繋がれていた。

「あのサインだ!」

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