なんでも
「俺が不甲斐なかったばっかりにすまない。リィナ」
リード様が頭を下げた。
「あれは…誰のせいでもないです。私は大丈夫です。リード様」
私は怪我をしたシュー様のベッド脇の椅子に座っていた。怪我は幸い急所は避けられていたものの、運び込むまでに出血多量な状態になっていたため、今も寝たままだ。
「それに」
私はリード様を人差し指で指した。
「ダメですよ。責任感じてこれからずっと1人で居ようなんて許しません。イライザさんはイライザさん。リード様はリード様の人生です」
イライザさんは魔力を封じられて夫である公爵の元に返された。これからどうなるかはわからないけど、それはもう私達には関係ないことだろう。
「リィナ」
「約束ですよ。私の友達とも会ってくださいね」
リード様は苦笑しながらゆっくりと頷いた。
「リィナ」
「シュー様、起きました?」
「リィナ、怪我は?」
「なにも。傷ひとつありません。私の騎士様に守ってもらいました」
ふっと笑い合う。
「怪我しちゃったな」
「そうですね。約束ですよ」
「なんでも良いよ、リィナ。何がしたい?」
「なんにも」
「え?」
「なんにもしなくても良いから私のそばにずっといて下さい。…戦うのはお仕事ですけど、絶対私の元に帰ってきてください」
「リィナ」
「ダメですか?」
「いや、僕のこれからしたいことが全部詰まってるから…約束するよ。ずっとそばに居るって」
「絶対ですよ」
勘違いとクッキーから始まった恋。
でもずっとずっと続いていく。
ずっとそばにいてね。




