山賊
微妙な雰囲気の中夕食を終え湯も使い、夜着に着替えてロニーと部屋でまったり話していた時、突然階下からがやがやとした声が聞こえてきた。
「なにかしら?」
「なんか騒がしいね」
ベッドに入り、寝る準備万端のロニーも首を捻った。
コンコン、とノックする音が聞こえた。
「リィナ、ロニー、僕だよ。開けてもらっても良いかい?」
シュー様だ。私は飛びつくようにして鍵を開け扉を開けた。こんな時間なのにマントを羽織り、帯剣もしている。物々しい格好だ。
「どうしたんですか?」
「…エリゼの乗っていた馬車が近くの山賊に襲われたらしい。今から救出に行ってくる」
ロニーも飛び起きて近くに来た。
「そんな…貴族の紋章入りの馬車を襲う連中が居るなんて」
顔が青ざめている。ロニーには直接原因がある訳でないにせよ、自分の言葉であの場を飛び出したエリゼさんが心配なのだろう。
「この辺りでは有名な山賊のようだ。根城も既にわかっているし問題ないよ。ただ彼女が拐われているから時間を争うんだ。騎士団の到着を待っていられない。僕たち3人は救出に行ってくるけど、2人は鍵をかけて帰るまで待っていてくれ」
「私も…」
「ダメだ。ここに居て待つんだ。良いね、リィナ。ロニー、リィナを頼んだよ」
そう言って私が扉に鍵をかけるのを確認するとシュー様は去っていった。
「姉ちゃん…大丈夫?」
「大丈夫じゃない…けど、私には何も出来ない」
フラフラとベッドに戻り腰をおろす。さっきはつい私も行きたいって言いそうになったけど、行ったって役立たずなだけだ。
眠れなくて灯りをつけたまままんじりとせずに待つ。もう真夜中の時間だ。ロニーも隣に座り青ざめたまま枕を抱きしめている。
窓の外から馬の鳴き声が聞こえた。
「…シュー様達かも!」
窓の下を覗いた私は絶句した。
山賊だ。かなりの人数が居る。松明を持ち、ギラギラとした目で村を見渡している。
「姉ちゃん、見つかったら面倒だ。伏せて」
ロニーは慌てて灯りを消して私の腕を引っ張った。
「多分、エリゼさんの救出に男手を取られたのを分かって掠奪に来たんだ。…頭良いよ。早く隠れよう」
私は呆然としたままロニーの指示に従った。
どうしよう。




