ソファドン
「そうか、それは大変だったな!」
ガハハ、と笑うエクレール様、ライオネル様とシュー様とぜんぜん似てない。確かにビックリした。言葉を選んだら、ワイルド系?の筋肉ムキムキだ。シュー様達に受け継がれた遺伝子、どこに行った。
ここはサリュー騎士団本部の騎士団長室だ。立派な応接セットの向かい側にエクレール様は座っていた。
「おお、そうだ、シューマスにちょっと渡しておきたいものがあってな。リィナ嬢、しばしお待たせしてもよろしいかな?」
エクレール様の言葉にはい、もちろん。と私は頷いた。目の前には美味しいお茶と美味しくて見た目も可愛いお菓子。エクレール様はシュー様を伴って退室した。
「姉ちゃん、僕トイレ行きたい」
隣のロニーが立ち上がって私の袖を引いた。
「本部の内部は複雑な作りをしていてな、わかりにくいと思うから俺が連れて行こう。リィナ、1人にして大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。いくつだと思ってるんですか?」
私は苦笑して頷いた。リード様は本当に面倒見が良い。
1人になってどこからどう見ても高そうなお菓子に舌鼓を打つ。美味しい。これ日持ちするかな。どこのお店か聞いてお土産に買って帰ろうかな。
コンコン、とノックの音がした。帰ってきたのかな?随分早いな。
「はい、どうぞ」
カチャっと扉が開くと、深緑の騎士服を着た銀髪青目の美男子が入ってきた。かなり短めの髪でどこかヤンチャそうな印象だ。
ああ、と私は思った。例のリード様の弟さんかな。
とりあえず私はこの部屋の主不在の状況を説明しようとした。
「あの、エクレール様は…」
「ナッシュだ。君には夫や番がいるのか?」
は?
私の言葉を遮りそういうと一気に距離を詰めてくる。夫や番はいないけど、番候補なら居ます、と言おうと口を開いた。
「いませんが…あの」
「それでは俺が番候補として交際を申し込む」
え?
驚いている私の頭の両脇に手をつくと顔の前に顔を持ってくる。近い。近い近い。会って2分の距離じゃない。
私は泣きそうになった。何この人、意味がわからない。美男子だけど残念な人なのかな。
「返事を聞かせてくれ」
はー?
 




