プロローグ
主な登場人物
真野原リン こじらせ系の冒険部部長
真野原サツキ 国立理系志望でリンの姉
腰殿キク 酒屋の娘で冒険部部員
越中モモカ ヤンキーギャルで冒険部部員
高井ナナ 底知れぬ力を持つ冒険部顧問
バルス!
今夜もまた全国の良い子たちとバカな大人どもがいつものように破滅の呪文を唱え、天空の城が宇宙の彼方に飛び立っていった。いまはテレビからはおなじみのエンディングが流れている。
さあ出かけよう 一切れのパン ナイフ ランプカバンにつめこんで
「ケッ、やっと終わったか。このエセ冒険アニメめ」
そしてリンもまた、いつものようにエンディングに向かって毒づいていた。
「だいたいさ、パズーってバカじゃないの。これから冒険に出るやつの食糧がパン一切れってどうなのよ?せめて缶詰とかチョコ、それにパスタ一袋くらいもってくべきでしょ。ナイフとランプはいいとしても。なんで水筒がないのよ。サバイバルなんて水が一番の基本じゃない?いやバカなのはパズーじゃなくて、みやざ、、、」
そこまで言いかけて、何かを察したサツキが横やりをいれてきた。(ナイスタイミング!)
「リンってほんとラピュタ好きよだね。あんたコレ見るの何回目なの?」
「いや全然好きじゃないから。姉さんが見てるから私も付き合ってあげてるだけだから」
「へえ、そうなの」
「そうよ」
「リーテ・ラトバリタ・ウルス 」
おもむろにサツキが呪文を唱え始めた。
「アリアロス・バル・ネトリール」
うっかりリンも引き継いでしまう。
「我を助けよ」姉がそらんじる。
「光よ、甦れ」リンがそれに続く。
「やっぱアンタ、ラピュタ好きじゃないの。」
「全然違う。呪文やセリフを覚えていることと、作品が好きということ同義ではないわ。」
「へえ、そうなの。」
「そうよ。」
テレビ画面ではラピュタがおわり、すでにニュースに切り替わっていた。
「ところで、アンタ今度はどこに行くつもりなの?」
サツキが干しブドウのパックを眺めながら尋ねる。
「無人島」姉がもつ干しブドウのパックを取り返しながらリンが答える。
2人がテレビを見ていたリビングルームには日本海無人島合宿に向けた備品が所狭しとならんでいた。