第一回企画会議~第二回があるのかは不明~
第5話です。今回は少し短めです。
「それで具体的には何をするつもりなんだ?」
俺は企画の立案者である平良に聞く。
「何って言われてもねぇ。こっちとしても何をするかっていうのはまだ考えてなかったわ」
ここで首をかしげたのは、京太郎である。
「そもそもなんで活動しなくちゃならないんだ? 別にここに集まってたらたら過ごしているだけでも俺からしてみれば構わないんだが」
「確か昔からの伝統でここの演劇部は文化祭のときに発表しなくちゃならないらしいの。現実的に考えると、演劇をこれからするのは不可能だから、こういうことにしたわけ」
なるほどと京太郎が頷いたところでみんな黙って考え始めた。
「機材とかは大丈夫か?」
それに答えたのは今永だった。
「マイクとかはないわ。カメラやパソコンは学校から借りればいいと思う。所詮学生の出し物だから、多少不出来でも気にする人はいないと思うわ」
なるほど、というか、この人、下ネタ以外も喋れたんだな……。
「何か柊くん失礼なこと考えてなかった? 具体的にはこの人、下ネタ以外も喋れたんだな、とか」
俺は思わず黙ってしまった。怖いよ。なんで人の考えていることが分かる訳? 察しがいいとかのレベルじゃない。もはや超能力だそれ。
俺は仕切り直して、平良に聞く。
「校内で済ませられることの方がいいんじゃないか? 予算があるなら別だけど」
「予算なら、大量にあるわ。歴代の先輩方が大量に使わず残してきた分が」
「だいたいいくらくらいだ?」
平良はしばらく考えて言った。
「だいたい50万くらいだと思う」
どんだけ使ってこなかったんだよ。節約志向の極みみたいな部活だな、ここ。
「まぁ、50万もあれば、だいたいのことはできると思う。そんなわけで、俺から提案なんだが、旅行とかはどうだ?」
そう言ったのは京太郎である。
「いいじゃないそれ。私と柊くんのハネムーンの撮影ね」
「うん。俺はまだ結婚してないからね。婚姻届けこそ渡されたけど、結婚するとは一言も言ってないからね」
俺はノータイムで突っ込む。
「早希のハネムーンはともかく、旅行は悪くないかもね。ただ旅行しても見てる側からすれば面白くないから、何かしらの工夫がいると思うけど」
「あーでも、そういうのって、学校からの許可がいるんじゃないか?」
「そこは大丈夫。ここの顧問に話したら、通ったも同然だから」
平良は自信満々に言う。というか、顧問いたのか。
「どこに行くかとかはあとで考えるとして、いつなら都合がいい? 三人とも」
「ゴールデンウィークとかどうかしら?」
そう言ったのは早希だ。この人、まともに話してる分にはケチのつけようのない人なんだよな。スタイルも顔立ちもいいし。本当にもったいなさすぎる。
「俺は大丈夫だよ。柊はどう?」
京太郎が話を振る。俺には遺憾ながらアホたちとの付き合いがある。まあ、適当に予定があるということにしておくか。
「俺も大丈夫だ。で、具体的にどう面白くするんだ? 俺たちは芸人じゃないぞ」
「うーん。ごめん。まったく思い浮かばない。だから、何か考えついたら話すわ」
平良がそう言ったところで、チャイムが鳴り、第一回演劇部企画会議はお開きになった。先に、京太郎と平良が部室から出ていった。俺もそれに続いて部室から出ていこうとすると、今永に呼び止められた。
「柊くん、今日、一緒に帰らない?」
「え、やだよ。何されるか分からないから」
「柊くんは私をどんな奴だと思ってるの!?」
今永はショックが顔から滲み出ている。
「だって、そういうことを言いつつ、ナニをしようと俺をラブホに連れ込むつもりなんでしょ?」
「いや、ちょっとそれも考えたけど、今回は違うわよっ!」
考えたのかよ……。もつかな、俺の童貞。
「まあ、一緒に帰るくらいならいいぜ。で、どこまで帰る? 校門? 校門までだよな?」
「いや、短っ! それ一緒に帰ったとは言わないからね」
そういう訳で俺は今永と一緒に帰ることになった。マジでラブホに連れ込まれないか心配だわ。本当にこの人、顔がいいのに、もったいない。
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