放課後の戯れ
夕焼けの赤い光が僅かに照らす、下駄箱の並んだ昇降口。隙間風が冷たく吹き込む閑散としたそこには、制服姿をした2人の学生の姿があった。
壁際で赤い光に照らされた明るい短髪の女子と、その子の肩をぎゅっと掴んだままじーっとその顔を見つめている、長い黒髪をした少し背の低い、小柄な女の子。
就業の刻はとうに過ぎ、運動部の騒がしい声が遠くに聞こえる。
そんな昇降口に、熱を帯びた声が小さく響いた。
「……ね、誰もいないよ?」
そう声を出したのは黒髪の少女。前髪で目が覆われているが、隙間から見えるまあるい二重はとろんと蕩けていた。
「……ほんとに、ここでするの?」
「今さら、だよ。大丈夫、私は見られても恥ずかしくないから」
明るい髪の子の、少し怯えるような疑問の声に対して、当たり前のように肯定を返す。そして肩を掴んでいた手を離し、首から顔へとなぞるように撫でた。
すると身体をビクリと震わせ、短く声にならない声を上げた。
「……ミウって、感じやすいよね」
そう言いながら、白く滑らかな、細い指先で頰を撫でる。
触れた頰に被さる長く伸びたもみあげを横に流すと、明るい色に隠されていた、仄かに朱く色付いた頬が露わになった。
「うぅ……やっぱり恥ずかしいよぉ…………」
「……だめ?」
「だめじゃ、ない、けど…………」
そう言いながら、ミウと呼ばれた明るい髪のその子は目線をズラし、少し俯いた。
黒髪の子はそれを見てふっと柔らかく微笑み、少し背伸びをして口を耳元まで持っていくと。
「ねぇ……ミウ、大好き」
熱を帯びた声でとても小さく囁き、鼓膜を震わせる。
そしてそのまま、濡れた舌を這わせた。
「っ……‼︎」
先ほどよりも大きく、ビクリと身体が跳ねた。
「ミウの弱いところ、私、もっと知りたいな……」
ピチャピチャと艶かしい音を立て、舌はそのままミウの耳を蹂躙する。柔らかなそれがツーっと動くと、それに合わせてピクピクとミウの身体が反応する。
「……もう、やぁ、やめっ……んんっ‼︎」
ミウの顔は既に蕩け、膝も震えていた。
「ダメじゃ、ないんでしょ?」
「家に、帰ってから……」
「だめ。もう少しだけ…………良い、よね?」
「…………少し、だけだからね」
――外では変わらず、運動部の声が響いている。