旅立ち part2
緑が多く、木漏れ日が差し込む森の中の小さな小屋。
そこには、未だふくれ顔の理人と、上機嫌な蓮華の姿があった。
「そろそろその顔をやめてはくれないか、理人。」
そんな蓮華の言葉に耳も貸さず、ふくれ顔のまま理人は口を開いた。
「……首都に行くんじゃなかったんですか?」
「ああ、敬語はいい。首都に行く予定なのは、君だけだ。」
「は?」
一瞬沈黙が走ったのは、いうまでもない。
「……それ、どういうことだよ!?」
「どうもこうも、その言葉どうりだ。お前は今の世の中を知る必要がある。」
蓮華は、少し顔を伏せてつぶやくように言った。
それが気に障ったのか、理人は怒気を含ませた声で叫んだ。
「人間の世の中なんて、いつだって同じだろ?!何もかも人任せ。
自分に都合が悪くなれば捨てて、気に入れば助ける。自分勝手で自己中で、見てられないほどひどい。」
「自己中だっていいじゃないか。人間はそのうち死ぬ。少しでも後悔しない道を選ぶのは、当たり前だ。
むしろ、それは人間の性というものだ。傲慢でない人間なんていないんだよ、理人。」
その蓮華の言葉を聞いた時、理人は目を見開いた。そのまま、震える声でもう一度蓮華へ聞いた。
「それでも、今の世の中を知る必要は、俺には見いだせない。
せめて、せめてその理由だけでも、教えてほしい。」
「それを旅で見つけるんだ。お前は、知らなければならない。………まあ、そのためには修行だな。」
蓮華のその言葉を予想していなかったのか、理人はキョトンという顔をした。
「旅の途中襲われるかもしれないし、野宿もしなければいけない。世界の歴史もだいたい知らないと、その土地に行っても何もできないだろう。まあ、覚悟しておくんだな。」
蓮華はそのあとに不気味な笑みを浮かべ、理人から目を背けた。理
人はそのあと、黙ったままだった様だ。