好きすぎた彼
好きすぎて、別れた人ーーー。
学生時代から付き合っていて、『この人が運命の人』だと本気で思っていた。
お互い就職をして、社会にでた途端に歯車が狂い始めた。
休みが合わず、思ったように会えない日々。
仕事でいっぱいいっぱいで、電話はもちろん、メールすらすぐに返せない。
初めての一人暮らしの大変さ、寂しさ。
会いたい時に会えない。
声が聞きたい時に聞けない。
ひとつひとつは些細なこと。
それがたくさん重なりとても疲れてしまった。
好きな気持ちは変わらないのに…。
だから、離れようと思った。
自分の疲れや苛立ちで章吾を傷つけるのが嫌だった。
自分も傷つきたくなかった。
章吾と一緒のつらい記憶など作りたくなかった。楽しい思い出だけでいたかった。
「今までのようにいられないなら、離れたい。私、このままだと不満ばかりで章吾を傷つけてしまう」
そう言ったのは私。
「わかった。俺も今までのように陽菜に接することができないのがつらい。陽菜よりも仕事を優先してしまっているのも感じてたけど、今はそうしかできない。ごめん」
その言葉で、私達の恋は凍結した。
この時、恋が終わった気もしたし、時が経てばまた凍った恋が溶ける気もしていた…。