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ユメハマワル
『光ト影ノ中デ生マレシ我等、昼ト夜ヲ歩キ、旅、終ワリテハ始マリニ向ワン』
碑文に書かれしは希望の言葉
行く先の不安を打ち消さん
『君、夢ニ閉ザサレヨウト、死スル事、朽チル事、消エ行クコトナカレ』
本に踊るは希望の文字
伴侶の無事をただ祈らん
町は静まり 虫は鳴くのを止め 大地さえ鼓動を止める
『夢』は静かに忍び寄る
ある者は自らの影に
ある者は清らかな水面に
ある者は愛しき人の腕の中に
ある者は見知らぬ者の眼の中に
夢の片鱗が 牙を剥き 吐息を吐きかけ 触手を伸ばした様を見る
『夢』は人々を襲う
喰われる者
逃げ出した者
友を亡くした者
皆 『夢』に囚われた
体を囚われた者
魂を囚われた者
心を囚われた者
囚われた物は永劫戻ることはない
世界のひとつが『夢』に犯される
『夢』は世界で 新たな世界をつくり 自分を形作る
『夢』の世界は 光と闇と混沌で満ち 異形が巣喰う
世界は次々と襲われ 『夢』はその全てを蹂躙した
世界には『夢』に抗う世界もあった
圧倒的な『夢』の力に 血と涙と悲鳴との渦が起こる
世界は七つのみが残る
残された人々は七つに別けられる
腹を満たした『夢』は眠りにつく
深淵の底 焔の壁の中
その魔眼は開きしまま
その口は紅蓮の寝息を漏らし
その触手はうねりを上げ
幾億の世界を抱いて 世界は 軋み 跳ね 交じり合う
人は無防備な『夢』へと挑みて
『夢』の眷属の前に積み上がる
旅立つ者 止まず
残される者 多く
血を流し
涙を流し
世界は廻る
『光ト影ノ中デ生マレシ我等、昼ト夜ヲ歩キ、旅、終ワリテハ始マリニ向ワン』
碑文に書かれしは希望の言葉
行く先の不安を打ち消さん
『君、夢ニ閉ザサレヨウト、死スル事、朽チル事、消エ行クコトナカレ』
本に踊るは希望の文字
伴侶の無事をただ祈らん
