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新世界の神に俺はなる!  作者: レイモンド
第四部
98/102

爆誕!ステ極振り魔法少女いっきまーすミ☆ その46

 


ヒー【ご機嫌だね、シルフィー】

シル【え?そう?そうかも?いやー、そうだよね!】


 あたし達の目の前にそびえ立つは泣く子も黙る超高級防具店。

 ウキウキスキップしながらやって来た。

 前来た時はその値段にビビりまくってたけど、今日は違う! 意気揚々と扉を開けて、ようこそあたし!


 うきゃーっ! あいかわらず逸品だらけ!

 懐具合を気にしなくて良いとかマジ理想のショッピング!

 でも一つだけって事だから後悔しない様に選ぶぞ!!


 前回は腰が引けて見るだけしか出来なかったけど、目ぇ付けてた品々をしっかり試着だ。吟味のため吟味のため!

 超高級品だから店員さんの手を借りて体に合せていく。まずは”クリャビスクのビスチェ”だ! ボディーラインにぴったりフィットする、すぇくしぃアイテム!

 美少女がこんなカッコしちゃってごめんねえええええ!

 ヒースが見たらどんな顔するかな?

 これで人前に出たら怒るかな? 怒るかな?


 ところが。


 くそぉおおお…… 胸のサイズが合わねぇ…… ぶかぶかに浮いちゃって見えちゃう……

 お店にある三サイズの一番小さな物を着せてもらったんだけど、丈もちょっと長めだ。


エリ【申し訳ございませんお客様・・・こちら、名匠、故クリャビスクの手製ですのでこれ以上他のサイズがございませんで・・・】


 多分分かってたんだろうけど、小柄なあたしに試してくれた店員さんが申し訳なさそうな顔をした。

 大丈夫、大丈夫です。気にしないでください。

 キャラメイクの時点で装備不可品だとは……。作成後の変更ができないからこれは自己責任。

 ステータス超アップの高性能だけじゃなくて、上品でも強さと色気を感じさせる超良品なのに……

 フリルスカートなんかと併せれば女子の憧れプリンセスドレスみたいになるのに……。


 すごく後ろ髪を引かれる思いをしながら脱がせてもらって、次のアイテムにチャレンジする。


 ”マーリーンローブ”は渋くキメ過ぎだなぁ。

 マインド底上げ値もすごいけど、どっちかって言うと特殊効果の属性威力三割アップの方に目が行くな。徹底して攻撃特化って感じ。多分これ着てファイアーボールをチャージで撃てば、レベルキャップになってない今でも耐えきれる敵はいないはずだ。超魅力的!

 あたしのプレイスタイルにあってるけど、防御が完全に疎かになってしまうのが気になる所。


 ”夜紡ぎ蚕の羽衣”、やっぱこれすっごいな。防御力ハンパない。特殊効果で攻撃魔法のダメージを八割カットとかチート過ぎる! マーリーンローブと対極で防御特化だ。

 ルファラじゃ自分の撃った魔法の衝撃波とかのダメージを受ける事があるし、なによりHPがゼロになったら死んでしまうと言う恐怖がつきまとう。

 旦那タイガー戦で自分の魔法で死にかけたし、今後同じような事が起きないとは言い切れない。


 二つの前を行ったり来たりし続けた。


 うーん、こっちにしよ! 

 迷いに迷った挙句、選んだのは防御に秀でる”夜紡ぎ蚕の羽衣”。命を大事に!

 ふんわりとしてるのに滑らかなシルキーな肌触りなだけでなく、とても軽くてまとった体の回りを本当にふわふわと浮かぶように漂って神秘的な美しさを備えている。


 値段も微妙にこっちの方が高いし! 大丈夫、国持ち国持ち!!


 これから向かうのはモンスターの本拠地”魔界”だし、出来る限りあたしの紙防御と低HPをカバーしておくのに越したことはない。


 防具よし。次は武器。

 色々使ってきたけど、あたし自身の高マインドこそが武器。でも魔法を撃つためのMPは有限だ。

 今のあたしの装備で重要なのは消費MP軽減と魔法発動短縮効果の”輝石の錫杖”。これのおかげで少し余裕を持って戦いに臨める。でも乱発してたらMPゲージは底を着く。

 それを補うのが必中効果の”名手の魔法弓”と矢99本×五セット。ルファラの魔法には武器にまとわせる事ができるタイプの物が色々ある。しかも複数の矢にまとめて付与できる。ただ付与した魔法に本来の威力は無いみたいだから、アンティスの時みたいにとりあえず当てるんじゃなくてちゃんと弱点を狙わないといけない。だけどこれからも十分有用だ。


 初めから決めていたけど手に入れる武器はあたしのじゃなくてヒースの物。

 行き先は迷うことなくあのお店。


ホジ【おう、出来てるぞ。こいつは昔スネークに仕立てたフィグムンドに負けず劣らずの逸品だ】


 ついに打ち終わったヒースの剣。あたし達に必要な武器はこれをおいて他に無い。

 この王都で一番繁盛してる鍛冶屋の店長さんが推薦するそのワザマエ、見せていただきましょう!


 ヒースが手渡された剣を鞘から抜いて目の前に掲げた。

 透き通ったクリスタルドラゴンの爪を中心に使った、本当にきれいな剣だった。

 見た感じ片刃の、少し反った刀身。

 爪の根元の辺りが一部丸く削られていて、そこに金属の芯が通されて柄につながり、一本の剣となっている。


ホジ【無類の軽さと切れ味、それに反する硬度を持った剣に仕上げといた。ドラゴンの爪共通の強靭さがあればこそだな。だがクリスタルドラゴンの素材は他のドラゴン種と違って、どうも魔法を拡散させちまう作用が強くてな。加工中も苦労したぜ。そのままじゃエンチャントスラッシュが使えねえ。そこでお前達に取りに行かせたジピリダン鉱石、こいつを刃の部分に纏わせて魔法を散らさねえようにしてある。あれは逆に魔法との親和性が高い。元々考えてた使い方とちょっと変わっちまったが今まで通りに使えるはずだ。どれ、振ってみろ】


 ヒュッヒュッと軽やかに風を切る音が鳴る。

 いつも通り速いだけじゃなくてその変幻自在な軌道は目でも追いきれない。

 えっ ヒースの剣技ってこんなにすごかったの?!


ヒー【根元が重い、ですね。刃渡りの長さに比べて小回りは利くけど、一撃の威力はそこまで・・・】

ホジ【そうさな。物は使いようだ。お前、魔法を防御する時どうしてきた?】

ヒー【それは、エンチャントスラッシュで弾いたり・・・あっ】

ホジ【おう。そう言うこった。これでも十分な攻撃力があるが、本質は守りの剣だ】

シル【なるほど!魔法の効かないクリスタルドラゴンの特性をあえて活かしてるんですね!もしかしたら受けて散らした魔法の一部をそのまま刃の鉱石にまとわせる事ができるんじゃない?】

ホジ【おお、嬢ちゃんも察しが良いな。さらにもしフィグムンドみたいな剣があれば攻守隙なしだな】


 いやいや魔法使いと組んでる時点でこの剣が最強でしょ! これを上回る剣があるの?

 そう言えばフィグムンドを持ってたスネークって”光の勇者”の偽名だっけ? やっぱ勇者はそれ相応の装備も有してるもんだなぁ。ちょっとズルい。


 一通りの説明を受けた後で提示された金額を見てびっくりした。


シル【15,000メルド?!三ヶ月以上かかったのに、こ、こんな低額で良いんですか?!】


 額的には今借りてるアパート三ヶ月半程度。クリスタルドラゴンの討伐報酬(20,000メルド)よりも安い!!

 今の所持金からもフツーにこの場でぽんと出して帰れるくらいだ。


ホジ【久々に良い剣を打てたんでな。気にするな】

シル【でも・・・そ、それじゃこの店で一番高いのも一緒に買います!】

ホジ【いいから気にすんな。その剣以上に高価な物はうちにはねえよ】

シル【そうは言っても・・・あ!それじゃあこれを!】


”王国小切手(証票付き)”を手渡した!


シル【王様が好きなアイテムひとつにつき一枚使えって支給してくれたんです。師匠の希望の額を記入して役所に出せば・・・】

ホジ【王様に打ったんじゃねえからこんなもん受け取れねえよ。しつこいな、しまいにゃ怒るぞ】

シル【だけどさすがに・・・】

ヒー【それでは15,000メルドお支払いします。お気持ち、ありがとうございます】


 ヒースにもそう言われた以上、あたしももう食い下がれない。申し訳ない思いでいっぱいだ。

 小切手を引っ込めて言われた額だけをお支払いして、何度も何度も頭を下げてお店を後にした。


シル【良いの?本当に良いの?いくらなんでも対価になってないと思うんだけど・・・】


 得してるのに素直に喜べずブチブチとぼやき続けるあたしとは対照的に、ヒースはそんな事を気に留める様子もない。ねえ聞いてるの?


ヒー【・・・ねえ、シルフィー】

シル【え、はい。何?】

ヒー【後でお礼の手紙を出そう。ホジキンさんがまた読まずに捨てちゃったって言うなら、それは仕方ないよね】


 え? あ、そうか。あの場では受け取りすらしてもらえなかったけど、手紙に同封しておけば必ず手元に届く。あたし達はあくまで手紙を出しただけ。使うかどうかは師匠に任せてしまおうって事だ。やっぱり二人は似た者同士なのかな?

 胸のつかえが取れた気がして、自分でも分かるくらい声の調子が明るくなった。


シル【すっごい良い剣に仕上げてくれたねー。さすがは師匠!】

ヒー【うん。僕が言わなくても、本当に必要な剣にしてくれたよ。どうお礼を言ったら良いか・・・】

シル【確かにどこそこ偏屈な人だけど、これぞ職人って感じだったね。ああ言う人尊敬するなぁ】

ヒー【偏屈って・・・。ついでに”クリスタルドラゴンの鱗”で鎧の強化パーツ作ってくれたし、さすが一流の鍛冶師だね】

シル【でも前の剣で残ってるの柄だけだねぇ。まあ、直接触れてたのは柄だから、そこが本体と言えば本体なのかもだけど・・・】

ヒー【いや、そんな事ないよ。ほらよく見て。刀身の中にある芯。これ、この剣に元々使われていた鋼だよ。刀身そのものじゃないけど、これが無いとドラゴンの爪を柄に繋ぎとめる事ができない。これまでの旅があったから今があるって言う僕の旅路を象徴してるみたいだ。・・・ホジキンさんは、本当に僕が必要としていた物を見抜いてくれてたんだね。本当の匠って、彼の事を言うんだと思う】


 うん、あたしもそう思う。


 さあ、準備は粗方整った。近々魔界に出発だ。

 これまでもたくさんの人生の匠に助けてもらってきた。

 彼らのためにも一肌脱ぎますか!



 


現在不定期更新中です。大変ご迷惑おかけしております・・・

また各アイテムのステ表記は割愛させていただきます。


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