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新世界の神に俺はなる!  作者: レイモンド
第四部
95/102

爆誕!ステ極振り魔法少女いっきまーすミ☆ その43

 

 周りを見れば山の木々の隙間を銀色の毛並みを持つ狼達が徘徊している。

 一頭の片腕を容易く斬り飛ばしたヒースの剣と、多彩な魔法を使うあたしを警戒しているようだ。

 雪の積もる山肌には、何人もの輝いていた鎧をまとう屈強な騎士さん達が倒れている。

 あちらこちらから呻き声が上がったり、その場から離れようと地を蠢いていたりと阿鼻叫喚の地獄絵図だ。

 ぴくりとも動かない人もいた。これは村まで引き返している場合じゃない。


 周囲に警戒意識を張り巡らせながら、痛めた自分の右肩にキュアールをかける。

 ズキンズキンしていた痛みがひいていく。痛みを全く感じなくなったところでグルグルと肩を回した。脱臼してたんだろうけど全然平気。うん、いけるいける。キュアールすげー。

 さて、ここから猛反撃だ。もー手加減なんかしてられない! まずそのためには……。


シル【動ける騎士さん!動けない人を全員あたしの後ろに下げる!】

ラド【な?!シルフィー殿、急に何を!】

シル【絶対あたしの前に出ない事!後ろの敵は全部任せた!】

ラド【何を言っている!我ら騎士団が手玉に取られる相手だ。婦女子が一人で殿しんがりを守ろうなど、無謀にもほどがある!】

シル【しんがりぃ?だーれが逃げるって?さっさと全部倒して、この場で全員の治療しないと助からないかもしれないのよ!】

ラド【倒す?!冷静になれ!相手はランクSの魔族の群れだ!】

ヒー【黙って従ってください!シルフィーは僕よりもずっと強い。下手に援護して巻き込まれるのは僕達です!】


 ヒースが団長さんを説得する。

 さっきあたしを掴んだバルバロファングの腕を瞬時に切り落とした事からも、ヒースの腕前は相当な物だと団長さんも意識しているみたい。

 そんな彼が真顔で忠告するものだから、団長さんも納得していないけれどひとまず団員さん達に号令をかけて指示通りにしてくれた。

 まずは集まってきた騎士さん達全員にまとめてマイティアをかける。動けない人が寒さで体力を奪われるのも防がなくちゃいけないから、存外こまめに重ねがけしないとダメだろう。


 みんなが集まってくる間もバルバロファングは飛びかかってくる。

 一番隙だらけなのは負傷者を運ぶ騎士さんだけど、それを襲ったりはしない。思った以上に誇り高いモンスターだ。

 ロックストライクやファイアーボールみたいに各属性の出の速い魔法で威嚇牽制。あたしの死角はヒースに全部お任せ。早く攻撃に移りたいからみんな早く集まってくれないと!



 ひとまずあたしの目の前に倒れている人が無くなったところで右手にフレアボムを作って撃つ。

 同時に左手を地面に着いて扇状にアースウェイブを放った。

 ゴバーッとアースウェイブの壁の上をフレアボムの閃光と熱風が走る。

 爆風を防ぎきった土の波が崩れた後、目の前に広がった景色は焦土と化していた。そこには何頭かのバルバロファングが倒れていたけどノックバックしていただけのようで、立ち上がってその場から逃げていった。アレを喰らってもまだこれだけ動けるなんて、想像以上に手強いな。

 フレアボムは命中した所を中心に爆風で広範囲に攻撃する魔法。単発の威力はファイアーボールほどじゃないけど、いちいち狙いをつけなくても周囲を一掃するには申し分ない威力はある。

 でもルファラでのこれまでの経験上、使用者のあたしも着弾時の衝撃波でもダメージを受ける。闇雲に使ってこなかったのはそのため。だけどちゃんと対策できる!

 まだカンストの七割くらいのマインドだから最大の威力じゃないけれど、かすっただけでもタダじゃ済まないぞー!

……今のあたし、多分超悪い顔してる。うひゃひゃひゃひゃ!


 あたしの正面に立つと危険と察知したようで、バルバロファングもあたしの後ろに回り込みはじめた。だけど負傷者を守るようにしている騎士さん達が背後からのアタックを阻む。

 個体同士の戦闘力だったら向こうの方が上だけど、攻めてくると分かってて集団で守りに入ってる騎士さんが弱いわけがない。バルバロファングの猛襲を魔法と剣技で跳ね返していく。


シル【肩借ります!】


 一人の騎士さんの肩にピョンと飛び乗り上空から魔法を放つ。


シル【グレイシャルシールド!】


 すでにチャージ済み! 氷柱なんか比べ物にならない巨大な氷塊を防げるとか思うなよ!

 ズドンと大質量が問答無用で眼下の全部を押し潰す。旦那タイガーに使った時よりも大きくなってる。マックスじゃないけど満足いく出来だ。”氷河グレイシャル”って言うくらいならこの位ないとね!

 間一髪回避する事が出来たバルバロファング達はあたし達から離れて再び森の中に身を隠していった。

 その隙に騎士さん達全員にマイティアを重ねがけする。体感でもまだ全然制限時間内だけど、常に最新の状態に更新しておくのに越したことはない。

 キュアールも全体がけしておく。チャージ版で単体使用なら、ドルトン鉱山のボブさんの時のように重傷患者さんでも一気に回復させられるだろうけど、それだと魔法使用の硬直時間が長くて隙だらけになってしまう。

 一人二人分だけならヒースが守ってくれるだろう。でもそれが何人にも渡るとさすがに負担が大きくなりすぎてしまう。だからとりあえず体力が維持される程度の回復で我慢してもらわないと。


 森の中からこっちの様子をじっとうかがう気配が強くなってきた。相当近くに相当数のバルバロファングがいるに違いない。まとめがけのチャンス!

 とりあえず適当に選んだ木に向かってナーダを使った。ナーダのかかった木を中心に広範囲に火の粉が舞う。その火の粉が木の影に向かって吸い込まれていった。よーしよし、相変わらず効果範囲は広いぞ。補助魔法は単体使用なら対象をホーミングするけど、範囲指定だとちゃんと当てないといけない。ただし当てたらその範囲にいる者全部にかかる。

 自分の魔法の衝撃波にすらあたしへの当たり判定があるくらいだから、能力ダウン系魔法も敵味方無差別にかかるだろう。騎士さん達が目の前に居ない今じゃなきゃ範囲指定は使えなかった。しかしまさか樹木にまで当たり判定を持つとは……。


 さあ、攻撃力を少しでも下げて自陣への危険も減らしておいて、引き続き大火力で攻め込みますよ!

 どの属性を弱点にしてるか分からないからお次は雷! ライトニングチェーン!


 突如頭の中にブブーッっとエラー音が響いた。

 え? 何だ?! あ、もしかして!

 左腕のブレスレッドを見る。やっぱり!!

 瞬時にゲージが拡大表示されたけど、MPゲージが空っぽ!

 マジか! 魔法使えなかったらあたしなんてただのかよわい女の子っ

 向う見ずに乱発しすぎた。急いで回復しなくちゃ!


 腰の後ろに装備されてるアイテムパックの水晶に触れて、アイテム使用欄をショートカットで選択。

 戦闘中のこの作業、すっごい久しぶりだな!

 MPチャージ、ダブルMPチャージ、MPチャージ・ネオがそれぞれ四つずつ。

 MP全快じゃないと今は危険! 迷わずネオを選んで手元に出した。

 HPエイドと同じく回復”液”だから、パックに付属してるストロー刺してチューッとする。


シル【ぶっほ!!!】

ヒー【ちょっ!シルフィーどうしたの?!】


 吸った瞬間に噴出。

 にっが!!!!!

 えっ ナニコレ! 超苦い!!!


 思わずむせまくった。HPエイドはすごく美味しかったのに! すっごく裏切られた気分!!!

 でもこんなところで怯んでいられない。MP回復させなかったらあたしなんてただのゴミ!

 涙目になりながら一気に飲み干し、口を拭って立ち上がる。

 不可抗力的に作り出されたあたしの隙を見逃さず、森の奥から一斉にバルバロファングが襲いかかっていた。しかし両手に剣を取ったヒースが八面六臂の大立ち回りをして守ってくれている。だけどあまりに敵が多過ぎる。大変申し訳ありません!


シル【ウォルネード!】


 ヒースに向けて魔法を撃つ。今のは風の防御魔法。かけられた人を中心に風の障壁が生まれて敵を強制的に押し返すのだ。スキルツリーが強化されているほど、その斥力は強くなる。あたしのはもちろん最大効果ですよ!


シル【ヒース戻って!】


 言うや否やヒースが縮地かよ!ってくらいの速さであたしの横に戻ってきていた。フレアボムを撃つのと同時に今度はチャージ版アースウェイブでさっきよりも広く壁を張る。

 うん、間違いない。アースウェイブをチャージしてる最中にフレアボムが使えた。

 さっきのはまぐれじゃなくて、魔法の二つ同時使用ができる。これ画期的! ルファラってすげーな!

 ヒースが剣の二刀流なら、あたしは魔法の二投流!


 壁が崩れた後の景色はやっぱり焼け野原。

 何かヒースがすごくびびってるけど、まあもともとチムメンからは愛炎家だの放火魔だの呼ばれてたし気にしなーい。


 まだまだ敵モンスターはたくさんいる。

 さあさ、まだまだ大魔法使いシルフィーちゃんの猛攻は続きますよ!!



 

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