爆誕!ステ極振り魔法少女いっきまーすミ☆ その34
シル【使える剣が見つかって良かったねー。一応、だけど・・・】
何軒もお店の跡地を回って探し、ようやく一本の剣を見つけた。
邪眼王の乱で街がめちゃくちゃにされて十年以上、店の中で誰の手入れも受けられずに放置されていた物だから、決して良いものじゃない。
それでもヒースはこれで構わないと言っていた。
ヒー【王国か比較的無事な大きめの町で新調するまでのつなぎに頑張ってもらえたら十分だよ。・・・これで、またシルフィーを守れるよ】
あぁんっ! もう、赤くなりながら何言ってくれてんのよ!
照れ臭くなりすぎてヒースの二の腕辺りをべしべし叩いてしまった。彼は全然痛そうにもしていない。
チクショウ! 現在攻撃力は300ほどなのでヒースの防御力を抜くことができない!
こんなどうでもいいじゃれ合いをしてる瞬間がすごく幸せ。
のろけちゃってごめんねぇぇええええ!
ヒー【シルフィーにも使えそうなアイテムがあって良かったね】
そう。ちゃっかりヒースと一緒にルファラ教会跡地をもう一度探りに行ったのだ。あたしに不安を与える何かがまだ眠っているかもしれない。でもヒースが居れば平気!
そこで見つかった、なんとか使えそうなアイテムは三つ。
”名手の魔法弓”
攻撃力+145
命中力+∞(必中)
【狙った的は外さない。魔力で引くため簡単に弦を引くことが出来る。威力は低め】
”輝石の錫杖”
攻撃力+64
精神力+466
命中力+99
【先端の宝玉が魔力の集中をサポートする。打撃には向かないが魔法の発動が早くなり、消費MPを抑える。ただし欠けがあるため本来の効果を発揮できない】
”魔法の指南書”
【ルファラの魔法が数々記されている。基本四属性の基礎はこれで完璧!】
ルファラ教会の跡地に残されたアイテムはどれも壊れたりしてて辛うじて使用に耐えれそうなのはこの三つ。
魔法弓が結構いい感じ。必中効果ってすごくない?
魔法の方が圧倒的に強いけど、魔法使えないトラヴィジョン使用中の護身用に使えるし、何よりヒースの手が届かないところのトラップを壊したりすることに活用できる。
現在も命中力は202。この値だと難易度ハードくらいならまあ許容できるけど、ベリーハードになると途端に物理攻撃が当たらなくなる状態。
接近戦はワンパン(※1パンチで伸される事)の可能性があるから、MP切れても物理攻撃なんて危険すぎてできません。これがあるとちょっと安心。
でも矢が全然無い……。ヒースの剣を見つけたところで落ちてた四本だけ。早く仕入れなくちゃ。
錫杖は惜しいなあ。でも少しでもMP節約できるのはいいね。現在のところレベルアップ以外で戦闘中のMP回復の手段がないから、これも長旅の安心に一役買ってくれそう。
けど、本当は防御力を上げておきたかった。この状況じゃ手に入らなくても仕方ないけど、これからさらに過酷さを増す旅を思うと、紙防御への不安は尽きない。
防具欲しいなあ、と口をついて出てしまった。
ヒー【大丈夫だよ。僕が、必ず守ってみせるから】
やーん、もー(照)!! ベシベシ!
次の目的地は王国の王都。ヒースの愛剣を直してもらえそうだから。
途中に町がいくつかあるみたいだけど、トリンダーさんの話だと、ここリッケンベートほどではないにしろ決して無事ではないらしい。
馬車の準備ができたら早速出発する予定。乗ってきた荷車はオフロードでグレートホーンに追いかけられたりしたせいで、色々とガタが出てないか心配だ。こっちの点検は明日か明後日には完了するそうだ。
キメラタイガーの時の経験から、初めにトリンダーさんに聞かれた時は騒ぎになってもいけないと思ってとぼけてみたけれど、改めて森のアグリードワーフとグレートホーンを退治したことを教えたら、街の人達が喜んで点検と修理してくれると申し出てくれた。
特にワツヒの森に棲んでたグレートホーンがこの地域で最も強大なモンスターで、同種のグレートホーンからも一線を画して強かったと言う。
退治する為に結成されたハンターギルドの討伐隊も壊滅。
本来のグレートホーンはややA寄りのランクBだと言う事だったけど、コイツはランクはA以上、ややもするとランクSに片足突っ込んでるかもしれない化け物だったそうだ。
間違いなくブーストモンスターだ。気付けばレベルがさらに一つ上がってたし。現在わたくし、レベル123。
どうしようもなくて王国に騎士団の要請までしたけれど、魔界との戦争が継続しているためにこちらにまで手を回せないと断られ続けていたそうだ。
そのため街を再興しようと大きく活動を始める度に襲われて、遅々として改修工事が進められず、トリンダーさん達の頭痛の種になっていたのだとか。
でも、これでやっと前に進めるね。
あたし達はあたし達で出発の準備を整えていく。
手に入れたアイテムの使い方を覚えて、いざ使う時にトラブルを起こさないように慣れておく。
ヒースは新しい(?)剣の手入れをし、実際に振ってみて感覚を掴む事に余念がない。
あんな荷車で長距離移動して大丈夫かと心配してたけど、これはアグリードワーフが作った物で、かなりしっかりした物だった。グレートホーンから逃げる時にムチャな使用をしたけど、特に問題があるような所は無く、前の馬車から外した幌を付けてちょっと改造するだけで十分使える物と言われた。
実際御者台を付けて幌を備えてもらったら、もう立派な小型馬車だった。
少ない物資の中から捻出してちゃんとした物にしてくれて、感謝してもしきれない。
他にも何か持っていくかと聞かれたけど、今の街には物資に余裕がない。ヒースと相談したうえで水や食料は現在あたしのアイテムパックに入ってる分で賄う事にした。
次の町まで一日二日で着けるって事だから大丈夫さ!
さあ、王国目指していざ出発!
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