爆誕!ステ極振り魔法少女いっきまーすミ☆ その24
馬車に揺られながら目的地を目指す。
西の街道を進んだ先にある岩山に行って、鉱石を取ってくる簡単なお仕事って言ってたけど……。
それなりにモンスターが出るそうな。
岩山に生息するだけあって過酷な環境にも適した丈夫な体をしているらしい。
道中全然モンスターは現れず、一晩馬車で過ごして次の日の朝早めに目的地に到着。
実際着いてみたら思ったよりも岩山だった……。
さすがにロッククライミングするほどじゃないけど、木々がまばらにしか生えてなくて、ゴツゴツした岩肌がメイン。遠くには大きな湖が見えるけど、ここに水場はなさそうだった。
主に昆虫型のモンスターがたくさん出てきた。頑丈な外皮を持ってて、ドカッと岩肌に体当たりしたり殴ったりしても全然痛そうだったり傷ついたりしてない。
それでもまああたしは魔法一発でKOできるんだけど、いかんせん道が難所で、装備でブーストしているとは言え体力の乏しいあたしにとってはこの環境が最大の敵。
すぐに息が切れて、思ったように攻撃できずに手こずるばかりだ。
ヒー【シルフィーさん、前は僕に任せて下さい。後ろからと、上から来るようなのがいたら頼みます!】
ヒースがそう言って剣を抜いて走っていった。
お? 何か剣が光ってるような?
ビッと一発光の筋みたいなのが走ったかと思ったらモンスターは真っ二つになって岩肌を転げ落ちていった。
次、次、次とどんどん切り裂かれては崖下へ。ヒースすごいぞ! しかもなんか足運びが超速い!
こんな足場だと言うのに、ここを生息地にしてるモンスターに負ける様子が全くないスピード。
何この子すごい!
岩山の上の方からヒースに向かって飛びかかったヤツがいた。危ない、ファイアーボール!
命中してボンっと爆ぜた音で接近に気付いたヒースが上を見上げてジャンプ。バシッと目にもとまらぬ一閃で袈裟切りになったモンスターは、岩肌でバウンドして転げ落ちていった。
襲撃を蹴散らした事を確認して、ヒースはほとんど息を切らす様子もなくこっちに戻ってきた。
ヒー【シルフィーさん、ありがとう。そっちは大丈夫でしたか?】
シル【平気平気!ヒースすごいね!あたしの友達よりも速いかも!】
友達ってミケ達ですが。戦士系のみんなも条件クリアしてこっち来たら、今のヒースみたいにできるのかな?
お、なんかヒースちょっと照れてるけど嬉しそう。今なら色々話してくれそう。道中あんまりヒースから話聞けなかったし。
シル【あ、剣が光ってたみたいだけど、アレ何?】
ヒー【あれは、エンチャントスラッシュと言って、騎士が扱う魔法剣の一種です】
シル【そうなんだー。あ、魔法使えるんだね?】
ヒー【一応・・・”閃光系”だけ、ですけど・・・】
シル【へぇー。ヒースって騎士だったの?】
ヒー【実際は騎士だった人に教えてもらっただけなので・・・】
若干トーンが落ちていく。戦闘で上がったテンションが下がって来たか? それともグイグイ来るような感じに気圧されちゃった?
もう少し! 今のうちに会話の糸口、つなぎ目を探し出せ!
シル【へぇー。それってお父さん?】
ヒー【いえ、父は僕が生まれる前に・・・】
シル【あっ ご、ごめん・・・】
アウトー。あたしアウト―。完全に地雷踏んだ。
もー! ヒース色々と繊細過ぎる!!
ヒー【いえ、気にされなくていいです。父は立派な騎士だったと、母は言っていましたから】
ヒースは色々と重い物を背負ってるみたいだ。
根暗って印象はあるけど、目的(教えてくれなかったけど)を持って一人旅をしてるんだから、やっぱりしっかりした人間だと思う。
まー、ヤな感じとかもないし? もうしばらく一緒に仕事してみてもいいかな。
道中ほとんどのモンスターはヒースが倒した。
一応あたしも手付けはしてきたけど全部はできなかったし、エンカウントした量に対する経験値としてはやっぱり少ないかなぁって感じ。
レベルも109から110にやっと上がった程度。キャップまではまだ遠い。
現れるモンスターを全部撃退して山頂までたどり着いてみると、てっぺんはあちらこちらでキラキラと光ってるところがある。
宝石の類いじゃなくて、金属っぽい。この辺一帯が鉱脈なのか。
アイテムパックから店長からもらったツルハシを出してカツカツしてみる。全然歯が立たない!
ヒー【すごいですね、それ。そんなマジックアイテムは見たことがないです。あ、ツルハシ貸してください】
ツルハシ振って痺れた手をぶんぶん振ってたら、近づいてきたヒースがツルハシをひょいと取り上げて、近くの大きめの岩に振り下ろした。
明らかにあたしの時と音が違う。何回か岩を叩いてると、ガキッと音がして運べるサイズ位に岩が割れた。断面にはキラキラした金属がたくさん含まれてる。
シル【よーし、ありがと。それじゃあこれを回収して帰ろっか】
鉱石に触れてアイテムパックに収納する。
”ガルニバウム鉱石”を手に入れた!
この鉱石ひとつに成分としてどれくらい含まれてるんだろう。不足していてもいけないから、上限の十個まで持っていこう。
鉱石もあんまり大きな岩の状態では収納できなかったので、ヒースに頼んでもう少し岩を割ってもらう事にした。
ヒー【それって入ってる物の重さ感じないんですか?】
シル【うん。入れたアイテムがどこに行ってるのかわからないけど、ちゃんと出し入れできるから大丈夫だよ】
ヒー【すごいですね・・・ひ弱なシルフィーさんでも大荷物が運べ・・・あ!す、すみません!】
シル【いーよいーよ、ホントの事だし。これが無かったら行き倒れ確実。魔法以外はなんもできないおなごですよ。はっはっは!】
お互い顔を見合わせて笑ってると、丁度あたしとヒースの間から半透明の水色の球体が飛び出して来た。
わっ インフォメーションジェムだ!
久しぶりだからびっくりした!
ヒー【うん?シルフィーさん、どうしたんですか?】
シル【え、いやコレが急に出てきてね】
ヒー【え?どれ?】
え? 見えてない?
ああ、そうか。プレイヤーのあたしにしか認識できないようになってるのか。
気のせいだった何でもない、とごまかして、こっそりiマークにタッチした。
――緊急ミッション! ”クリスタルドラゴン”発生!――
お! どうやら臨時ボスだぞ!
こう言うのは結構強くてさらに経験値がおいしい! そしてアイテムなんかもがっぽりだ!
わくわくしていたらゴォッと強い風が吹いてきて、大きな影が岩山の上に落とされた。
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