転生!物理最強勇者誕生! その7
「……行かれるのですか」
「ああ。これ以上魔王軍の勝手を許す事は出来ない」
アースドラゴンの鱗から作られた鎧を身に付け、愛剣フィグムンドを携える。
ベッドの上から先に起きた俺を厳しく叱責するような声が飛んで来た。さっきのすがるような声が嘘のようだ。
「行かないでください! 何故貴方が単身で向かう必要があるのですか!」
「言っただろう? 騎士団が派遣した一個師団が壊滅した。十人の近衛騎士団員とともに、だ。国軍が迫りくる魔王軍を迎え撃っているがそれも劣勢にあるらしい。俺が魔王を討たなければお前だって危ない」
「だからって! 相手は魔王、最上位の魔物と言うではないですか! いくら貴方と言っても……」
「ファルケ…… 俺の身を案じてくれてありがとう」
裸体にシーツを巻きつけた状態でベッドから降り、彼女は俺の背中にしがみついていた。
彼女を抱きしめ、そっと唇を重ねた。
「ヒューイ……」
「大丈夫、君のぬくもりを忘れる前に帰ってくるよ」
「もう…… 必ず、必ず帰ってきてよ! 私のためじゃない、あなたの子のために!」
子供の頃の口調に戻っている。これならファルケも平気だろう。
大丈夫。俺は絶対帰ってくる。みじめな前世とはまるで違う。
そのために俺は力を持ってこの世界に生まれた。
大きな役目を背負い、果たすために転生したのだと自信を持って言える。
「ファルケ。帰ってきたら、式を挙げよう。そして俺を、永遠に君に仕える騎士にさせてくれないか?」
俺の言葉を聞いた彼女は、愛らしい瞳に涙をたっぷり溜め、にっこりと微笑んだ。
彼女の頬を伝う涙の筋が、朝日を受けて何よりも美しく輝いていた。