爆誕!ステ極振り魔法少女いっきまーすミ☆ その11
PFOU NXがリリースされて大体一年半。
VRゲームが普及し始め、このゲームは世界初の体験型MMORPGとして大人気を博し、プレイヤー人口は増え続けていた。
キャップレベルは150のままで、BPばかりが貯まっていく。
スキルツリーのマインドもついに限界まで上げちゃったので、19503でカウンターストップ。
キャラメイクの時点から極振りしたって人は他に聞かないから、あたしのこれが多分最大値。
超満足! ものすごい自己満足だけど、チョー気持ちいい!
ナンバーワンになれなくても、オンリーワンの方が特別?
残念だったな! ナンバーワンはオンリーワンも兼ねてるんだよ!!
うわー、あたしヤなヤツwwwwwwww うひゃひゃひゃひゃ!!
極振りした影響で紙防御、最低HPになっているので、必然的に攻撃タイミングや回避のプレイヤースキルも求められる。ただ力が強いだけじゃ生き残れない。
そんな環境で戦い続けてきたあたしはプレイヤーとしてかなり上手い部類に入ってくる。
仲間のテラドールもあたしと同じようにマインド極振りに挑戦してたらしいけど、中盤越えた辺りで限界を感じて初期化したらしい。
ふっふっふ。相殺システムを活かしきれなかったようだな……。
偉そうな事言ってるけどあたしだって死にまくったんだから。そうしてこの領域に至ったのよ?
まあ…… 認めたくないけど仕事のおかげかなぁ。
仕事で身に付いた技能って事じゃなくて、仕事でのストレスを解消するために夢中になってやったと言う事なんだけど。
あれだけの莫大なストレスが無かったらここまでの情熱を注がなかったかもしれない。
けーど! 鬼気迫る殺伐プレイもここまでよ!
仕事辞めてやったもんねー!
解放感、パネーーー!!!
よぉおーっし! これからは気ままにPFOUと生きていくぞー!
ハロワの就活の日以外は好きなだけやったるぜー!
…… ……
毎日PFOU漬けの生活を始めて早二ヶ月。六月でまだ暑くない季節だ。
エアコンなしでも快適。VRゲーム機のマットレス超優秀。
長時間連続プレイでも疲労しませーん。
貯まりまくるBPの消費を魔法強化に注ぎ込み、魔法少女シルフィーちゃんは究極への階段をもう少しで昇りきってしまうほどになった。
魔法を強化しきったら、今度はHPを上げましょうねー。
強化が残ってる魔法あと六つだからラストスパートで上げきっちゃうよ!
耐久マラソンスタートー!!
いつもの面子と一緒にハムりまくったり、みんなが一度落ちちゃった後はソロで狩りまくったりしてBPを集め続けた。
おはよーと乙カレーを何度交わした事か。
繰り返しすぎて何か時間感覚が無くなってきた。
さらにVRのせいなのか、眠さも疲れも全然感じない。
どれだけ経ったのかな? そんな事考えてたら楽しめないよね!
一心不乱なプレイによってBPも貯まりまくって、とうとう魔法の全強化も終わりました!
ふいー。ギルドフロアに帰ってきたら、いつもの面子が集まってた。
あれ? って事はいま夜か。
シル【やーみなさん。おはよー】
マサ【うお、シル早いな。・・・いやあの後から落ちてないのか?】
シル【魔法全種最大まで強化かんりょー!】
アグ【マジか。すげーな】
シル【うへへへへ もっと褒めて~~】
ミケ【シル、そろそろやめた方が良いニャー】
マサ【お、おう。お前最近寝てるか?】
シル【ねてるよー】
マサ【変換してない。寝転んでるだけだろお前】
シル【ばれたか】
ミケ【い、今一体何時間連続でやってるニャ?】
シル【さー?待ってねー、メニュー開いて時計見るから。・・・四時間だねー。うっそお、全然時間経ってない!あたしクロックアップに目覚めた?】
マサ【ちょ、ちょっと待て。おいシル、今日何日だ?一回でも落ちたか?】
シル【んーん?いつも通り連続だよ。今六月五日っしょ?で、今午後九時】
ミケ【は?何いってるニャ?寝言は寝て言うニャ】
シル【ウソウソごめん。六日っしょ?徹夜しちったぜ~ぇ。・・・あれ?夜からはじめてまた夜になった場合も徹夜?お?徹朝?や、徹日?】
ミケ【ちょっと、ほんと大丈夫?】
アグ【八日だボケ!しかも朝の九時!お前やべーって!】
シル【え?(|| ゜Д゜)アグミケ仕事は?サボり?】
アグ【今日日曜だよ!曜日感覚無くしすぎだろ!】
ミケ【64時間とかシル何考えてるニャ! 危険中央値の倍以上やってるよ!】
シル【あれー?そうだっけ(゜Д゜)<アラヤダ!】
マサ【お前いい加減にしろって。ヤバくなっても知らんぞ。俺は五時間以上やらんようにしてるしな】
シル【そりゃーマサは治療があるし?】
マサ【だめだこりゃ】
ミケ【ね、ねえ。いちお医療関係者じゃなくても言っとくけど、徹夜続けはダメだよ?】
シル【そーいや業者さんも言ってたね】
ミケ【だからさ、今日はもう止めて寝よ?】
シル【ミケ添い寝してー。あはははは!・・・あれ? ニャーって言わないの?】
ミケ【深刻なの!で、真剣なの!】
シル【いた!殴らなくていいじゃん!】
ミケ【VRで痛いわけないでしょ!いいから止めて寝なさい!】
シル【わかったわかった・・・zzz】
アグ【ダメだこいつ、はやくなんとかしないと】
ミケ【脳にも負担かかってるだろうし、シルの調子だと多分食事とかも摂ってないよ・・・】
シル【もー、心配性だなぁ。まだいけるって。あたしの体なんだから分かるよー】
マサ【俺はそうじゃなかったぞ】
アグ【マサが言うと重みが違うな】
シル【う・・・わ、分かったよ。それじゃ最後に一つやってから止める】
ミケ【お願いだよ。何かあったりしないか、すごく心配】
シル【もー、へーきだって。んじゃソロでラスト行ってきまーす】
たくさんのお母さん達から離脱してシップセンターに走る。
さーて最後に大一番。
これまで成し遂げられなかった偉業を果たしに行こう!
ついに魔法も強化しきったってのに……。これでやらなかったらいつやるのさ。
やっぱ今でしょ!?
頭はシャキッと冴えてるから大丈夫さ!