爆誕!ステ極振り魔法少女いっきまーすミ☆ その9
まばゆい光が治まってそこに広がるのはだだっ広い草原と青い空。
澄んだ空気と風にそよぐ葉の擦れる音が超さわやか。
ここはゲーセンに置いたVRゲーム機を使って全国規模で膨大なデータを集めて完成度を高め、これまでのCGやVFX技術を練りに練って作り上げられた仮想現実世界。
すげえええええええええ!!!
うわあああああああああ!!!
思わず絶叫。リアルで発声してないかすごく心配。
わっ 足元から急に何か出てきた!
半透明のそれはiって書かれた球体。
あ、これPFOU2でもよく見かけるインフォメーションジェムだ。
それに触ってみると案の定プレイ解説が始まった。
――ここは惑星ムゥトです。まずは町を目指しましょう――
はーい。インフォメーションに従って色々やっていく。
指示通り腰に付いてる水晶球を触ると色んなメニューが目の前に広がった。
これがアイテムパックにもなるんだって。
マップの出し方、アイテムの取り方、ゲットしたアイテムの選択、使い方を習っていく。
持ち物はゲームらしく全部アイテムパックに吸収されてかさばらない。
アイテムパックをさわれば目の前に所持品の項目がずらっと現れて、それに触れば手元に出てくる。
装備や消耗品などフォルダがいくつにも分かれてて、装備も自由に選んでその場で装備チェンジ可能。
この辺前作と変わらない。
うおー、ゲーム内で当たり前のようにやってたけど、リアルにこれが出来ると超便利。
武器や防具の装備変更まで指示通りにやってみたところで、いよいよ町に向かってみる事にした。
さっそく茂みがガサガサ動いて、何か出てきた!
小さい角が付いたウサギ、表示された名前はラビコーン。やっぱりアンタかー!
可愛いフォルムのこれは、PFOU2でも最初に出てくる敵モンスター。
――攻撃してみましょう――
OKOK! 早速”木の枝”を手に持ってラビコーンを叩く。しょぼいけどコレおなじみの初期装備。
素早く避けられた! ば、ばかな! 振る速度はそんなに遅くなかったはずだぞ! あ、命中力最低値だった!
動揺したところを突かれて、げしっと後ろ足でドロップキックされた。
意外と強敵だ! あたしから距離を取るとラビコーンは一旦動きを止めた。インフォメーションジェムが地面から出てくる。とりあえず触ってみた。
――魔法を使ってみましょう――
キターー!! どうすんの? どうすんの?
――右手を伸ばして念じてください。最初から使える魔法は”ファイヤーボール”です――
キターー!! ファイアーボール!
右手に熱が集まって火の玉が出来た。小さく育ったその火の玉がぼしゅっと音を立てて飛んでいく。
ぼわああああああ!!
さっきあたしの木の枝のフルスイングを華麗に避けたラビコーンに命中すると一気に燃え上がって、炎が治まるとラビコーンは仰向けに倒れて灰になった。
きゃー! 魔法だ、今あたし魔法撃った!
倒したところから黄色い文字でEXP+3、青い文字でBP+1って出た。この辺も前作と同じだね。
――ラビコーンを倒しました。この調子でモンスターを倒してレベルを上げましょう――
仰せのままに!
HPやMPの残量をどうやって確認するんだろうと思ってたら、手首のブレスレッド見たらゲージが出てきた。なるほど、これを見れば良いんだね。
枝で攻撃してもあっさり避けられたから、魔法メインで進もう。
ファイアーボールはあと十回くらい使えそう。MP切れたら枝で殴るしかないか。命中力最低値だけど……
え? 一発もらっただけでHPあと半分?! 相手ラビコーンだよ?!
あ、HPも防御力も体力も最低値だった。うおおおおおお! これは深刻な事態だ!
も、も……
燃える!
これはかなりシビアな戦いが要求されるぜ!
これは設定ミスなんかじゃない。逆境があたしを強くする!
そんなこんなで現れるモンスターと戦いながら町を目指す。
町が見えてきた辺りで七匹目のラビコーンをやっつけたら、レベルが上がった。
――おめでとうございます! HP、MPが全回復しました。ステータスが一定値上昇します。余剰分は自由に割り振ることが出来ます――
?!
レベルアップの成長も弄れるのか!
レベルアップと同時に開かれたメニューで上昇したステータス確認してみる。
LV 1→2
攻撃力5→6
精神力50→51
命中力1→2
防御力2→3
体力 2→2
HP 20→22
余剰ポイント+5
うん、焼け石に水レベル。
どれも上昇してるけどマジ微々たる物。
やっぱり飛び抜けた精神力が目をひきます。
これは余剰ポイントの振り方がキモだなぁ。
うーん……
って、悩んでると思いました?! 残念、全部マインドに!
HPにつっ込んだ方が絶対安全だとは思うけど、なぁにかえって免疫が付く!
BPがあったからスキルツリーシステムもあるんだろう。どうしても詰まった時はこっちで補えば良いさ!
こうして開始早々、あたしのステ極振り生活が始まりました。
……あたしはまだ知らなかった。
この選択が原因で、後に大変な事になるなんて。




