爆誕!ステ極振り魔法少女いっきまーすミ☆ その7
家庭用ゲーム機製造業からは手を引くと公表されて久しいこの会社。
まさかまさかのゲームハード業界への再参入である。
ただ、これまでの物とは圧倒的に異なっていた。
機能や性能だけじゃない。物理的にもあきらかにおかしかった。
本体がベッドサイズである。
クソでかいリクライニングチェアーにも見える。
これをゲーム機と呼ぶ……だと……?
価格は60万円?!
売る気ねーだろ!
あたしは買うけどな!
このベッド、もといVRゲーム機発売と同時に発表されたのが、”PLANET of FANTASY ONLINE UNIVERSE ‐Next Generation‐”だった。
くぁあああああああああああ!!!!
買わない理由があるかあああああああ!!!!
貯金はいっぱいあるよ。だってあたしお金使わないもん。PFOU2以外の出費なんてまずないし。
ローンで分割支払いもできたけど、結局手数料とかかかって高くなるから一括でお支払いしました。
売り払ったベッドがあったスペースに搬入してもらう。
全部専門業者さんが来てやってくれた。
セットアップしてもらって動作確認をして、いざ試乗!
おお、この座り心地とても快適!
やべえ、このまま寝てしまえるレベルだわ。
ベッド売っちゃって正解だった!
ユーザー登録や個人情報の入力はあたしがやって、使用法チュートリアルを懇切丁寧にやっていく。
全部終わったあとプログラムを終了してゲーム機から降りる(すごい表現だな……)と、その間業者さんが収集してたデータを照合したりして異常がない事を確認。
晴れてこのゲーム機はあたしの物となったのだ!!
うおおおおおおおお!
こんな興奮はこの二十八年の間で感じた事がねえええええええ!!
「使用中の心拍血圧などの生体モニター情報は常にサーバーを経由してメディカルセンターに報告されていきますので、何か異常が認められた場合は樫原さんの所に連絡が行きます。緊急と判断された場合は救急車の手配も同時に行われますのでご安心ください。
ただし脳波のモニタリングはVRシステムの関係上、プレイ終了後一括してセンターに送信されることになります。VR本体にて異常が検出された場合は強制終了され、センターへの報告が行われますが、異常と検出されなくても大きな負荷がかかっているケースもありますので体調を十分に考慮してご使用ください。
今の医療の限界でもありまして、身体的な異常に関してはリアルタイムサポートが可能ですが、精神、神経活動による物はどうしても遅れが出てしまいます。この点は最重要注意事項としてご認識をお願いします」
はーい、わかりましたー。
「なおチュートリアルにもあったと思いますが、連続使用による体への影響は個人差が大きいですので、初めは短時間からお願いします。当社の調査では三十時間の連続使用で体調を崩す被験者が50%を越えました。幸い生命にかかわる重大な有害事象はありませんでしたが、徹夜での使用などは推奨されません。通常の生活リズムに支障をきたさないよう、使用方法を守ってくださいね」
はーい、わかりましたー。
お忙しい中、長い時間ありがとうございましたー。
ぱたん。
……
うひゃひゃひゃひゃ。
ついに、ついに!
ついに念願のVR世界を手に入れたぞ!!
「そう かんけいないね」
→「ころしてでも うばいとる」
「ゆずってくれ たのむ」
この家庭用VRゲーム機、これだけ付いてて60万とか安すぎだろ・・・