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新世界の神に俺はなる!  作者: レイモンド
第三部
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憑依!S系教育男子出陣! その32

 



 人の身でありながら、魔王と並び恐れられた男がいた。

 世界はその男をこう呼んだ。


 邪眼王。


 その男の眼には、魔の者を縛り支配する力があったと言う。

 そしてその男の首には、あらゆるものに死を呼ぶ眼があったと言う。


 かつてその男は人に味方し、魔王を討つべく力を振るった。

 しかし突然人々に牙を剥いた。


 以来人にも魔にも味方せず、ひたすらに死を振りまいた。


 特に神を奉る者に容赦がなかった。

 邪眼王に魅入られた魔の者は不思議と人里を襲わなかったが、神の家があると知ると猛威を振るった。


 そのため神を奉る者達は一所に集まり砦を造り、魔の者からの脅威を退ける為に力を合わせた。


 時に魔の者は人間の武器が集まる所を襲った。

 神の家がある所よりもそれは少なかったが、ひとたび争いが起こればとても大きなものになった。


 邪眼王が現れてから人の世界に争いの火が消える事は無かった。

 何度も邪眼王を討つために征伐隊が組まれた。

 しかし邪眼王は城を構えず、決まったところに居続けなかったので、どこにいるのか分からなかった。


 たまたま邪眼王を見つけた強者つわもの達が成敗しようと挑んだが、邪眼王の魔法の前に皆死んだ。

 幸いすぐに死なずに済んだ者もいたが、苦しみ抜いた末に結局死んだ。

 だがその者の話によれば、煙のような魔法を使った邪眼王は、その後大きく咳き込み血を吐いたそうだ。


 足りない、足りない。


 邪眼王はずっとそれだけを呟いていたと言う。


 またある者は、無数の毒蛇を沼から呼び出した邪眼王が、周りのすべてを腐らせた後に誰かの名を呼び、許しを乞うのを聞いたと言う。


 そしてとうとう、邪眼王に最期の時が訪れた。

 奇しくももう一つの巨大な悪、魔王の手によってだった。


 長年にわたる追跡で人間の軍隊に追い詰められた邪眼王は、手下の魔の者達を使って激しく抵抗した。

 戦わず逃げようとした魔の者は、邪眼王の力によって苦しみのた打ち回って果てるしかなかったので、否が応にも武器を取らないではいられなかった。

 限界を超えて戦い続けた魔の者達は、最後にはぼろ切れのようになって結局倒れていった。


 虫の息となった魔の者達の間から救いを求める祈りが出始めた時、魔王が現れた。


「これ以上、我が眷属を道具として使うことは許さぬ」


 魔王を目にした邪眼王は、その顔に狂気を宿らせ、嬉々として死を呼ぶ魔法を使い続けた。

 血を吐き、体が干乾び崩れようと、構う事無く魔法を使った。

 死を呼べば呼ぶだけ、彼自身もその身に死を宿しているのが誰から見ても明らかだった。

 そして彼自身がそれを喜んでいるようであったのも、誰から見ても明らかだった。


 ついに魔王は邪眼王を打ち倒した。

 時間はかからなかった。

 己にも死を呼ぶ魔法を使ってきた邪眼王が、魔王の強い力に耐え抜く事などできるはずがない。

 

 敗れ、倒れた邪眼王は、放っておけばすぐにも死ぬような状態だった。

 声にならない声でずっと誰かの名を呼び、謝り続けていた。

 首にかけられた眼はすべて崩れ落ちていた。

 それをすぐそばで聞いていた魔王は、悲しそうな面持ちで唇を噛み締めていたと言う。


 ところが人の兵隊達は、魔力も体力も尽き、何もしなくても死ぬような邪眼王を、やたらめったらに長い剣や槍で突き刺し、命を奪った。

 兵隊達は邪眼王の死体を高々と掲げ、歓喜の声をあげた。


 その一部始終を魔王は見ていた。

 そこにさっきの慈悲は欠片も無かった。


「相手がかつての勇者と言えど、牙を剥いて敵となれば理由を問わず斯様かような仕打ちをする。これほど醜き者があろうとは」


 そう言い残した魔王は、それ以上人間に関わる事無く、背中の獣の翼を開いて魔界の方へと飛び去って行った。





第三部「憑依!S系教育男子出陣!」編 ~完~


犠牲者 :崎山さきやま 耕輔こうすけ

享年  :三十七歳(地球)+六年(アミカの肉体に憑依後)

職業  :中学校教諭

性格  :とても独善的で、自分が進んでいる道は正しいと信じて突き進むタイプ。極端で過激な行動だけでなく支配欲も強いため、仕事ぶりの評価は高いものの気の置けない相手と思ってくれる人は誰も居なかった。

その他 :独身。やり手の指導者で、担当した生徒の成績は間違いなく伸びる。

装備  :呪霊王の首飾り

付与能力:魔物使い 冷気系、風系魔法の才能

 支配できるかどうかは対象とコウスケとの距離に依存する。レンズを通しての虚像にも同様の効果がある。ただし接触して念を送り込むのが最強。

 能力で支配した魔物魔族は、基本的に自由意思で活動が可能。

 支配される見返りとして魔物魔族の基本能力はおよそ1.5倍に強化される。

 禁則事項を定めた制約をかける事で魔物魔族の行動をある程度制限でき、その制約を破った魔物魔族は耐えがたい苦痛が体の内部に発生し、コウスケが解除するまで持続する。その強度は一度でもこの苦痛を味わえば二度と反する意思を持てなくなるほど。

 制約は随時変更が可能。

 また制約とは別に命令を下すことができる。命令に従う事は制約の基礎事項に含まれるため、基本的に逆らう事はできない。


 課外授業の登山にて、生徒に崖下に突き飛ばされた後、死亡。原因はアナフィラキシーショック(スズメバチ)

 犯行は単独犯によるものではなく、担当クラス全員の共謀。(全員が共犯であれば目撃者はいない理論)

 アミカの肉体に憑依したが、アミカの”魔力無効”能力は引き継がれなかった。

 神様の奇跡による性別変更に伴い細マッチョのややチャラい系男子として復活。

 本人自体の戦闘力は騎士ほど高いわけではなく、またアミカの魔力無効も失われているため、必然的に策を弄する戦闘タイプとなった。

 愛していたエシャリを奪った世界に反旗を翻したが、復讐心に身を任せ過ぎたためか最終的に発狂。

 呪霊王の首飾りを得て”死霊”系魔法を扱えるようになったが、心身ともに蝕まれて崩壊。

 しかし彼の影響でルファラ教は規模が半分以下となり、人間軍は活動停止を余儀なくされたため、世界規模で彼の復讐は成就する事となった。


 いくら人のためと思っても、伝わらなければ意味がない・・・

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