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新世界の神に俺はなる!  作者: レイモンド
第三部
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憑依!S系教育男子出陣! その25

 メガス大森林から帰還し、再び大陸西南部の最前線へと戻った。

 俺が離れていたおよそ二週間、従えたエイプビートルの軍勢は数を半数ほどに減らしていたが志気は衰えておらず、果敢に魔界からの侵略の波を退け続けていた。

 俺が帰ってきて一番初めに声をかけてきたのはこいつらだった。

 仲間を失い、猛攻にさらされているにも関わらず、それを嘆き訴える事は一切なく、むしろこの状況を喜び俺に感謝してくる始末だ。

 戦闘種族と言うか、戦闘狂と言うか。

 固い外殻と、器用で力の強い腕。人間の兵士が戦いたがらない魔物にその名が挙がるだけはある。


「コウスケ殿! お待ちしておりました! 無事で何よりです」


 帰還してすぐ指揮官の待機しているテントに呼ばれた。

 状況を聞くと、エイプビートルを主力歩兵として活躍させる事で、これまで以上に激しくなっている魔王軍の攻撃を食い止める事に成功しているそうだ。

 だがエイプビートルと言えどさすがにランクSとなる敵将を討つ事は難しく、騎士団が犠牲を払い二体の首を取ったと言う。

 どうしても戦力消耗は避けられず、敵将を討った勢いに乗って前線を上げるに至らない事に強く歯噛みしている状態が続いているとの事だ。


「特に、一度撃退したものの再び戦場に戻ってきたボルグル伯爵が手強く…… 勇猛果敢にして狡猾な戦術により、こちらの消耗がさらに進みまして…… このままですと劣勢に転ずるかもしれません」

「なるほど…… それでまた兵員増強や、敵勢力の切り崩しが必要と言うわけだな。任せてもらおうか」

「はい、よろしくお願いします。して、首尾よく事は進みましたかな?」

「ああ。切り札を手に入れてきた。新たな世界の為に力を貸してくれる」


 ワンダーレグスを紹介するため、指揮官達をテントの外へ案内しようとした丁度その時、息を切らした兵士が一人飛び込んできた。


「て、敵襲です! グラップルボアの大軍です! 敵将はボルグル、先陣を切ってきます!」

「グラップルボアだと! こちらの防御を貫いて一気に中心から叩くつもりだ! しまった、これまでの戦いは中央の守りを薄くするためか!」


 指揮官達がうろたえながらも指示を走らせる中、俺は動ずる事なく外に出てエイプビートル達に声をかけた。


「おお! グラップルボアか! 骨のあるやつらだべ!」

「奮い立つなあ、おい! これまで以上に暴れられるだ!」

「わくわくすんべ! 死ぬには良い日だ!」


 まったく、本当に戦う事に命を懸けている。信頼のできる暴力だ。

 だが今日は勝手が違う。正面からぶつかるだけのこいつらを制御しなくては要らない被害が出てしまう。言って聞けば良いのだが。


「いいか、お前達。今日は俺の命令を絶対に聞け。戦って死にたいならな」

「おお? コウスケどん、何だ早く言ってくれ。オデ達、早く暴れたくてうずうずしてんだ!」

「分かったから聞け。敵の将軍と俺が正面から向かい合ったらすぐに離れろ。戦い続けてもいいが、絶対に俺と将軍の間に入るな。間違いなく死ぬぞ」

「おお? オデ達死ぬのは怖くねえぞ?」

「戦って死にたいんだろ? 無駄死にたいなら勝手にしろ」

「お、おお。分かった。親分はコウスケどんだけに任せりゃ良いだべな? それじゃーおメ達、一暴れすっぞおおお!」


 大きな咆哮が湧きたち、エイプビートル達が迫りくる敵軍に向かって突撃していった。この勇猛さはどんな苦境に置かれたとしても心強い。

 今後も兵力として使っていくためにも、無駄に減らすわけにはいかない。

 興奮しすぎた場合ちゃんと言った通りに動けるかが心配だが、いざワンダーレグスを目にすれば本能的に避けるだろう。


 さあ、ここからが肝心だ。

 皆の前で強大な力を制御してみせよう! 



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