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新世界の神に俺はなる!  作者: レイモンド
第三部
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憑依!S系教育男子出陣! その18

 オルギ山岳での依頼を終え、元々世話になっているギルドのある街に戻ってきた。

 本当ならエシャリはこれでまた教会に戻る事になっていたが、俺が引き続き教皇からの依頼を受けたため、このまま一緒にいられることになった。

 教会からの連絡は彼女が受けて俺に教えてくれる。


 俺が戦力として参入する事になるのはもう少し先の話だ。

 それまでの間、俺は変わらずギルドで仕事をこなしていった。

 来たるべき時までに、この能力を最大限に発揮するやり方を編み出そうと言う意図もある。


 俺の能力発動の強度は相手との距離に依存している。

 直接触れる、あるいは目を合わせる事で術をかける事ができるが、一体ずつしかかけられない。


 その弱点を補うために編み出したのが、魔法で作り出したレンズを利用した物だ。

 複数のレンズを使って複数の俺の虚像を相手の目の前に出現させて術をかける。

 牙の民のようなランクの高い魔族に対しても効果を示した。これは大成功だ。

 さらにこの事から推測されたのが、俺の能力の源が魔力とは異なる物では無いかと言う事だ。

 魔力による物だったら、レンズを使おうとも本体の俺からの実測距離によって威力が弱まってしまうはず。

 それが何なのかはっきりと言う事は出来ないが、ひょっとすると神から与えられたのだから、何か奇跡に類する物かもしれない。

 であればもしも魔王軍に魔力を吸収したりするような者がいたとしても有効だろう。


 しかしランクAまでは視線でも通用する事が分かったが、それ以上の魔族に対しては全くの未知数。

 最強で確実なのは直接触れる事なのだが、ランクS、ランクSSの相手に触れる事が出来るかどうか。

 そのリスクを背負う事なく検証できる被験体がぜひとも欲しいところだが、そんな高ランクの魔物魔族を捕える事ができるのだったらこんなに戦争が長引いたりしない。

 リスクの高い手段に出なくてはならないと思うと非常にもどかしい。


 他にも危惧する事はある。

 俺が実行するのは魔物を従えて戦力にすると言う作戦だ。

 従えた魔物は能力が底上げされる。そのため同種同数の戦いだったら負ける事はない。

 敵の力は減少し、こちらは減少させた分以上の力を得る。誰もが圧倒的と思うだろう。

 以前エシャリにも問題が無いと答えたが、不安な点はある。

 俺の能力は洗脳や思考の強奪ではない。

 あくまでその魔物達の自由意思は存在する。

 と言うよりもそうでなければ俺の能力の意味はない。

 しかしその時弊害となり得るのが魔物同士の仲間意識がどれほどの物なのかと言う事だ。

 俺が「人間に味方し、魔王の軍勢と戦う事」と制約をかけたとしよう。もしも仲間意識が高い場合、制約違反による苦痛から逃れるために刃を取るだろうが士気は低くなり、個々の能力が上昇していても攻撃戦力としては成り立たなくなる。

 なので、能力下に置いた魔物は防衛戦力と見なすのが基本となるだろう。

 特に仲間意識が高くなく好戦的な魔物がいれば、それをアタッカーとして派遣する形がよい。

 実際は思ったよりも戦力アップに繋がらないと考えておくべきだ。


 またアタッカーとした魔物が上級魔族を打倒できる力となるか分からない。そもそも上位に君臨する者に対して刃を向けられるだろうか。

 最悪、敵将は人の手で討ち取る、あるいは俺が従わせなくてはいけない。

 軍勢を束ねる上級魔族は、牙の民よりも至近距離で能力をかけなくては通じないだろう。

 あの時は連中が俺を侮っていた事と周囲に雪が残っていたおかげで難なく策に嵌めてしまう事が出来たが、殊戦場では同じ手が通用するとは思えない。リスクが高すぎる。


 そのため、上級魔族を滅するだけの戦力が手札に必要だ。しかし現在人間の騎士の中で魔王軍の将を単騎撃破できる人材は無い。

 育つのを期待し待つよりも、魔界の住人を引き抜く方が現実的だ。


 ランクは最低でS、出来ればSSの超上級魔族。

 しかも魔王に反目しているような存在であれば申し分ない。


「……いや、そんな物があればなんの苦労もない」

「何がですか?」


 ため息とともに思わず口からこぼしてしまった。ちょうど茶を淹れてくれていたエシャリが戻ってきて尋ねた。

 今の人間の軍隊に決定力が欠け、それを補うために強力な魔族の引き抜きをしたいと言うバカげた考えを話した。我ながら荒唐無稽だと思う。


「ひとつ、心当たりがあります」


 口元に手を当てていたエシャリが思いもよらないことを言い出した。


「呪霊王ワンダーレグス。次の魔王と目されている、魔界にとっても超危険分子です」


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