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新世界の神に俺はなる!  作者: レイモンド
第三部
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憑依!S系教育男子出陣! その14



 それから五日後、ルファラ教会から俺への依頼が入った。

 場所はこの街から北へかなり離れた地区、オルギ山岳に生息するバルバロファングの鎮圧だ。

 バルバロファングはランクAの獣人だ。分類としては魔物ではなく魔族になるらしい。

 魔物と魔族の違いは極めてあいまいで外観では分類できない。

 種族ごとの平均的知性レベル及び魔力量で分けているとの事だ。

 ランク分けは人間文明に与える危険性による物で、これも両者の区別には用いられていない。

 しかし当然知性が高くなるほどに魔法の扱いに長け、さらに人間への敵対性が上昇するため、基本的に魔族のランクは高く位置づけられる事がほとんどだ。


「個体レベルではグレートホーンの方が力も強いし危険なんだけどな。群れ、と言うよりも集落を作るから単体で遭遇する事が少ないんだ。まず間違いなく複数で現れる。人間よりも少し大きいくらいの体格で獣人らしく素早い格闘も得意で、魔法も扱い知能も高いから危険度は相当高いぞ」


 とはマスターの談。

 今回の依頼はグレートホーンをはじめとした俺が仲間にした魔物達の同行は禁止され、難易度はかなり上がっている。

 依頼主のコラン司教は僧兵に守られ、遠見の術で俺の行動を把握するとの事。まったくいいご身分だ。


 雪の残る北の山岳に踏み入り、バルバロファングの生息地に最も近い人里でルファラ教団一行と別れて任務に向かう。

 里の人は神様が危険な隣人の討伐隊を送ってくれたと喜んでいたが、実際は討伐ではなく鎮圧だ。


 一応今のところ、魔物と言われる存在はすべて手懐ける事に成功している。

 ランクA以上の物に出会っていないのでそこはひとつ不安ではある。

 問題はランクA以上に含まれる、中級以上の魔族だ。今回のバルバロファングはまさにこれだ。


 魔族は魔物と異なり、より人間に近い社会システムと知性を持つ存在だ。

 上級魔族となると知性も魔法も武器の扱いもすべて人間を上回ると言われている。

 事実エシャリから聞くに、魔界を統治し戦争を指揮しているのはすべて上級魔族だ。

 あまりに多種に渡り考え方も慣習も全く異なる魔物達を従えるその政治力と武力は脅威でしかない。

 俺の能力がこの魔族に対しても通じるかと言うのは目下最大の懸念事項だ。


 念のため、俺は能力を強化する方法をいろいろ試してきた。

 基本的に魔物に触れるか、目を合せるかのいずれかで相手を俺の能力下に置く事が出来る。

 触れれば問答無用だが、視線は相手と交わさなくてはならず俺が見るだけではダメだった。これは解決するべき問題だ。

 その他に俺は冷と風の魔法を操る事に長ける。

 もともとの能力と得意な魔法。この二つをうまく組み合わせる事で大きな効果を出せる可能性が考えられた。


 しかし如何せんランクA以上、しかも魔族への実践は行えずじまい。

 万が一に備え、エシャリも同行させない事にした。

 そのため単身で挑むことになったが、越えるべきハードルとしよう。


「コウスケ様…… 無理は禁物です。やはりお仕えしましょうか?」

「大丈夫だ。それよりもお前は防御系の支援魔法をもっと修練しろ。せっかく土系が得意なんだ。瞬時に使えるくらいになれ。今の程度だと足手まといだ。ついてくるなって言ったのはそういう意味だ」

「そんな! ……いえ、申し訳ありません。おっしゃる通りです」


 彼女は自分の事よりも俺の事ばかりを心配する。先のアミカの事がトラウマとなっているらしい。

 このくらい厳しく接しなくてはエシャリを制御できないくらいなのだ。


……しかし自分の力不足を悔やみながらも従わざるを得ず、もどかしい表情を浮かべる彼女の姿には、ぞくりとえも言われぬ劣情を駆り立てられる。


 雪の残る深い山道を進んでいくと、強い魔力の感じがした。

 目標は魔族、しかも獣人タイプ。

 これまでの魔物とは異なる相手を感じ取り、全身に緊張が走った。


 しかし悪くない。俺の本当の力を試す良い機会だ。


 







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