転生!物理最強勇者誕生! その3
どうやら俺はトラックに轢かれて死に、そしてこの家の息子として生まれ変わったようだ。
そしてこの世界は地球じゃない。
この世界は地球で言う、中世ヨーロッパのような、と言うのがぴったりの石造りレンガ造りの文明が隆盛を極めている。
二十一世紀の機械文明のはずなのに走っているのは馬車で、道路は町でもなければ舗装されていない。
明らかに時代が遅れている。
それにこの世界の人は普通に魔法を使う。
こんなことは地球ではありえない。
それから魔法には得手、不得手がある。
母さんは冷気系の魔法が得意だし、幼馴染みの子は火炎系が得意だ。
俺はと言うと。
「ヒューイ凄い! 光系なんて聞いたこと無いよ!」
そう、俺は数万人に一人いれば良いと言われる、閃光系の使い手だった。
そしてそれだけではない。
「わ! すごい!! 光が走ってるのしか見えないよ」
俺の振る剣は誰よりも速く、既に見習い騎士の中で並び立つ奴はいなかった。
すでに飛び級で王家直属近衛騎士団への入隊が確定している。
十五歳で入隊となった奴はいなく、俺が最年少記録を更新した。
普通なら騎士団に入る為には数々の試験だけでなく、剣や鎧、馬具をはじめとした決して安くない装備を自費で購入しなくてはいけなく、また学費の高い騎士学校を卒業した資格が要る。
俺の父は中級騎士で、貴族とは言えないがそれなりに身分があり財のある家柄だ。
それもあって学校にも騎士団にも入るのは苦もなく順風満帆な人生が約束されているにも等しかった。
これがチートって奴なんだな。
前世の俺が喉から手が出るほど欲しかったチート。
はじめっから才能を持っているって、こんなにも人生がイージーモードになるんだな。
だけどそれだけじゃない。
「ヒューイすごい! かっこいい!
わたし、ヒューイ大好きだよ!」
俺が前世で憧れていた峰岸はるかをどこか思わせる、朗らかで花を思わせる可憐な笑顔の美少女。
許嫁のファルケにこんなにも慕われている。
前世で一度も感じたことのない充実感に溢れた日々!
前世で俺を蛇イチゴと見下していた奴等に見せつけてやりたい!
だけどそれは叶わないから、俺はこの新しい世界で新しい人生を謳歌してやるんだ!