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新世界の神に俺はなる!  作者: レイモンド
第三部
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憑依!S系教育男子出陣! その1

 



 課外授業で登山?

 なんでわざわざ遠出してまで登る必要がある?


 豊かな自然に触れ、情操教育に役立てる?

 自然の恩恵を感じ、環境問題への関心を高める?


 そんなことで人間が成長するなら、今世の中で起きているような問題は何一つ起きやしない。

 いいか、人間が問題を起こさないようにするポイントは、子供の頃から徹底して行動を管理することにある。

 深層心理にまで刷り込み、管理されることへの抵抗を徹底して奪うことで、規範に従い法を遵守する模範的な人間が出来上がる。

 これこそがお前らが望む”いい人間”を造るコツだ。


 まあ”いい人間”の前に、都合の、が付くわけだが。

 しかしそう言う人材を求めてるんだろう?

 うわべでは個人の人格と自由な発想を尊重などと聞こえの良い言葉を並べ立てているが、本当に求められているヤツはそう言う自由を優先せず、指示に従い成績を残すヤツだ。


 違うって言うなら成果主義を棄ててから言え。

 手前の成果は自分であげろ。そのために他人の労力をあてにするな。


 俺は成果主義に賛成だ。

 だからこそ、幼少の頃から優秀で従順な人材を育てる教育プログラムに賛同するし、個人的にも受け持ちクラスに実践している。


 おかげで、見ろ!

 俺のクラスの成績はすべての科目でトップを誇り、群を抜いて優秀だ!

 もちろん、不登校やいじめ、暴力沙汰などの犯罪行為の一つも起きてはいない!

 俺は俺の持論が正しいと確信した。


 当然管理は厳しい。

 学校での生徒の自由はないに等しい。

 しかしそれに適合し成果を出せば見あった報酬や評価をあたえている。

 他の教師からやりすぎだと言われる事もある。

 だが十年かけて足固めをしてきた俺は、悩んでいる色を滲ませながら熱意を訴えることで教頭、校長に理解をさせ、教育委員会からの見直しを迫る圧力もはね除けここまで来た。


 それを生徒達がどう感じていようと知ったことか。

 だがな、覚えておけ。結果がすべてのこの社会、俺の教育が広まればお前達の将来は確約され、ひいては国全体が改善する!


 誤解され行き過ぎた自由主義は否定される時代が来る!


 ふう、結構登ってきたな。

 課外授業は教育的には何の意味もないと思うが、リフレッシュのための行事としてはまぁ良いだろう。

 これだけ長距離、高低差のあるところを歩く経験はここ最近なかったから疲労が出始めている。


「おーい、崎山センセー、早く来なよー」

「まだ若いんだからさー! 早くー!」

「あー? 元気有り余ってるお前らとは違うんだよ。体力配分計算しとけよ、帰りキツイぞー」


 ただでさえ滑りやすくて危ない。さすがにデスクワークばかりで体力が落ちている俺は、足元を確認しながら慎重に登っている。

 うちの生徒は妙にテンションが高くなっている。学校におけるストレス解消の貴重な機会だからな。

 にしてもしきりに俺を呼んでる。らしくないな。

 自分の現状しか見えないお前達が、お前達の将来の事まで考えて厳しく指導する俺を嫌ってる事は知ってるぞ。テンション上がりすぎだろう。


「センセー、ほら、あそこ!」


 ん? どれだ?

 生徒達に遅れて登りきった俺を呼びつける。

 立つ尾根から谷底に向かって指差しているが、どれを指しているのかよくわからない。


「一体何だ? どこら辺だ?」

「あれ、鹿じゃない?」

「ん? どこだ?」

「ほらー、下の方。白い花? が咲いてる辺りだよー」


 少しだけ身を乗り出してみるか。


どん



 え? ちょ、待 !


 転げ落ちていく時に見上げた空には、歪んだ笑顔を見せる俺のクラスの生徒がたくさん居た。

 ウソだろ、お前等……


 最後に覚えているのは、背中から頭にかけて受けた強い衝撃だった。



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