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新世界の神に俺はなる!  作者: レイモンド
第二部
19/102

召喚!攻撃無効系女子推参! その9

 


 アタシに魔力は通じない。

 魔王は魔力の塊だって言うから、アイツの攻撃の一切は効かないはず。

 逆にアタシは魔王を捕まえてしまいさえすれば、それだけで魔王は死んじゃうくらいのダメージになるはず!


 どー考えてもアタシの勝ちじゃん!


 魔王が火の玉撃ってきたり、雷落としてきたり、色んな魔法で攻撃してくるけど全然効かねーもんね!


「ふむ…… これは報告以上だ」


 アタシよりも背が低いくせに超エラそう!

 そりゃあ、ツノとかその髪とか見ればそれだけでも強そうって感じるけど、他の魔族のヤツラの方がよっぽどだったもんね!

 おっしゃ! ここで剣の一振りよ!


「そんな剣速…… 光の騎士ヒューイに比べれば避けるにも値せぬ」


 また余裕ヅラしやがって! 何か光る壁出たけどカンケーねーよ!

 そのまま壁に向かって剣を振り下ろした。

 そりゃー騎士さん達に比べたらトロいなんてもんじゃないけど、アタシのは速さじゃねーし!

 アタシの剣は魔王のバリアーに当たるとそのまま切り裂いて、そのまま魔王に襲いかかった。


 すげー速さで逃げられたけど、剣は魔王の顔をかすめてた。

 顔は女の命? 知るか、そんなもん!

 どっちみちアンタを殺らなきゃ、アタシは地球に帰れるかどうかもわかんねーし、何よりエシャリのとこに帰れねーんだよ!

 ほっぺ斬られた魔王は一回指で血をふいてたけど、何か気になったのかもう一回同じとこぬぐってた。

 肌は青いけど、魔王の血も赤いんだね。


「なるほど。報告よりも詳細な事は直接この身に受けてみねば分からんな。どれ、もう一つ試してみよう」


 うげ! 何だこれ!

 魔王の手が急にゴリラみたいになってアタシに向かって伸びてきた!

 がっしりとアタシを掴んだけど、アタシを”掴む”って事がどう言う事か思い知りな!

 一瞬で掴んだ手のひらからグズグズになって、それが腕を伝って体の方へと向かっていく。

 そうそう、そのままイッちまえ!


 ところが魔王は目を三つとも見開いて、ためらうことなく崩れていく左腕を切断しやがった!

 マジかよ、ハンパねー。怖いよ魔王。


「ふむ…… ダフダとゴーズの死に様から死霊系による腐食かとも思ったが、受けてみると全く違うな。魔法がかき消される理由も同じか。しかも傷の回復が遅い」


 あっ ほっぺの傷治ってる。

 めちゃくちゃ早いと思うけど、これで遅いの?

 魔王倒すには体の中心に直接触れなきゃダメって事か。

 よーし、でも倒せる! どうやって捕まえようか。

 アタシがやる気をみせてると、左手を無くしたクセに魔王は平然としてた。

 治るのかもしれないけど、一応大ダメージなんだからちょっとは焦れよ! イラつくなあ!


「お前は触れる事で魔力を絶つのか。すさまじい能力だな」


 笑った?

 なにコイツ、それを確かめるためだけに腕一本捨てたって言うの?

 

「ならば、手はあると言う事か」


 あン? 魔力だらけのアンタには何もできないと思うけど? つーか、手はいまいま無くなってンじゃん?

 くやしまぎれのハッタリだったら見苦しすぎるから止めてもらえない?


「異世界の勇者よ、お前の名は何という」

「アタシ? アタシはアミカ。萩本 亜弥花。地球の日本って国から来た。もうアンタともこの世界ともお別れだけどね!」

「そうか。勇者アミカよ、お前は非常に稀有な存在だ。意に反しこの世界に招かれた事は不運だとしか言えぬが、お前が在る事は我に限らず魔族全体の存亡に関わる。恨むな」


 そう言って魔王は残った右手で地面を叩いた。

 叩いたなんてもんじゃない。表面ぶち抜いて、肘の辺りまで突き刺さってる!


……何してんの? そのまま動かね―んならトドメ刺しいくよ!

 アタシが走り出した時、急に地面が動き出した。

 え? 地震? 違う、地面の形変わってる!


 アタシを中に入れたまま、周りの土がボールみたいに変形していく。

 最後は上までつながってしまった。閉じ込められた!

 触っても崩れないから浅いトコには魔力が通ってない。

 ぼんやり光るコケが一緒に閉じ込められたから薄暗いけど周りが見える。

 あの魔王の戦い方、見た目によらずすっげー力技だ。

 でもどうしよう。これじゃ脱出できない。


 わっ! 何? 転がってる?

 ……あ、止まった。一体どうなんの?


 うわ! 今度は落ちる?!

 あれ、でもゆっくりになった。


 くっそ! このままじゃどうにもなんない。

 こんな風に土が急に盛り上がるって事は絶対どこかで魔法が働いてるって事だ。

 盾とか使って、魔法が働いてる、魔力が通ってるトコまで掘り進んでやる!

 そこまでたどり着いて魔力を切ってさえしまえばこの土のボールも崩れて脱出できるってすんぽーよ!


 地道に掘っていったけど、深くなるほどに盾じゃ掘り辛くなる。右手の鎧を外して、それでさらに掘り進む。

 大分深くなったけど、かなり固くなっちゃって、小手の部分ではとてもじゃないけどスコップできない。まだ全然魔力の筋に当たらない。

 もう! どんだけすげー魔法使いだよ! 地層一枚剥がしてるくらいじゃねーの?!


 仕方ない。持ってる剣をここに思いっきり突き刺してみよう。かなり深く掘ってるから、そろそろ当たっても良いくらいだよね?


 せーの、えい!


 お! よっしゃ、魔力が途切れた感覚がした! さすが!


…… え?


 うそ、うそうそうそうそうそ!!!


 やばい、これ、魔法切ったらダメ!

 そうだ、この剣を抜けば!


 ダメ、間に合わない!


 魔法で固められた土が剣を中心にどんどん崩れていく。そこからどんどん水がしみ出してくる!

 天井も崩れ始めた。もう間に合わない!


 底が抜けて、アタシはざぶん、と水の中に放り出されてしまった。





 そんな、イヤだ……


 水面があんなに遠い……

 手足に着けてる鎧はただの重りだよ……



 もうアタシ、助からないんだ……

 エシャリ……





 アンタ、魔王の言ってた事、知ってたの?

 教会とグルだったの?


 魔王を倒しても帰る方法が無いから、最後にはアタシを殺す気だったの?

 あんなにかわいく笑ってたアンタが……?



 そんなの、そんなの……






 絶対、ウソだよ……









 ね…… エシャリ……





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