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新世界の神に俺はなる!  作者: レイモンド
第二部
18/102

召喚!攻撃無効系女子推参! その8

 エシャリと別れてかなり歩いてきたけど、ホントあと少し。

 こっちに召喚されてからしばらく経つけど、大分体力ついたよね。


 やっぱ心細いけど、一人で来てよかったかも。

 途中めっちゃ魔物が襲ってきたから。過去最高かも?

 アタシから離れたらきっとすぐにやられちゃってただろう。そんなの絶対ヤだ!!

 すごい大群だったけど、強そうなのがやられたら他のはみんなどこかに散っていっちゃった。

 んだよ、金魚のフンかよ。人間と変わんねーじゃん。

 


 お城を目前にして、人影が出てきた。

 多分魔族だと思うけど、光るコケにぼんやり照らされる暗い森の奥の事だから、何なのかよく分からない。この光るコケ、魔界では普通にある植物みたいで、魔界に入ってからあちこちでよく見かける。

 人影もこっちの事に気付いてるはずなのに、引き返さないでどんどん近くに寄ってくる。アタマに角が生えてる。やっぱり魔族だろう。

 けど、今までの魔族と比べるとずっと小さい。


「勇者よ、これ以上の進攻は許さぬ」

「誰? アンタ……」

「我はラファーガ、目の前の城の主である」

「え?! って事は……」

「そう、我が魔族のおさ、魔王である」


 その時森の影が切れて、その人影の顔がはっきり見えた。


 うーわ! めっちゃ美人! めっちゃくちゃ美人!

 ナニコレ! しかもすげー上品!

 エシャリも育ち良さそうだったけど、何か別格!


 え? これが魔王? ウソでしょ?!

 角だけじゃなくておでこにも目があるから人間じゃないって分かるけど、これが世界を滅ぼそうとしてるの?

 ううん、今までの事を思い出せば、魔族が人間を襲ってるのは間違いない。

 地球でもアタマ良さそうな見た目のいい女ほど何考えてるのか分かんねーモンなんだよ!


「世界に迷惑をかけてるアンタを倒して、アタシは元の世界に帰るんだよ! 覚悟しろ!」

「む? もしやまた”異世界”か……。お前はどのようにしてこちらに来たのだ? お前も転生か?」


 転生? お前も? 魔王はアタシみたいなのを見たことがあるのかな?


「アタシは魔法陣? で召喚されたんだよ! ルファラに来たかったワケじゃねーのに!」

「我を倒さねば帰れぬのか? 何故だ?」

「よくわかんねーよ! でもルファラ教の偉い人が言ってたんだ。魔王を倒せば地球へ帰れるゲートが開くって!」


 あれ? 魔王のヤツ、すげー不審そうな顔してる。アタシおかしな事言ったか?


「我を倒す事でゲートが開く? お前、そのような事を本当に信じているのか?」

「そーだよ! どう言う理屈かアタシにはよく分かんないけど! 分かんないなら分かるって言う人の言う事信じなきゃダメっしょ!」

「ふむ…… 我には理解が出来ぬ信念だな。だが説明になっておらん事を簡単に教えてやる」


 アタシも何で魔王倒したら帰れるのか不思議だった。

 ホントならすぐにでもやっつけちゃうのが一番なんだろうけど、聞いてみたい。

 っつーか、聞かなきゃいけないんじゃないかって気がした。


「お前を喚んだのはこちらの人間と言ったな? 彼らが引いた魔法陣がお前を勝手に捕捉して導いた」

「そう! いい迷惑だっつーの!」

「つまり、お前と言う存在に反応して魔法陣が異次元の口を開いたわけだ。今はその口は閉じている」

「開いたまんまなら帰ってるっつーの!」

「そもそもお前を帰すゲートとは何だ? どこにある?」

「それは…… 分かんないよ。来た時と同じ魔法陣じゃね?」

「ならば、今度もう一度それが開いたらどこに通じているのだ?」

「そんなの、アタシがいたゲーセンに決まってんじゃん! 来たところに開かなかったら扉じゃないっしょ!」

「……それが”扉”ならな」


 え……? 違うの?

 口を開けたままぽかんとしていたアタシを見て、魔王は一個一個丁寧に説明していった。


「良いか? ”お前”を召喚したのだ。扉が開かれ、そこにお前が入ったのではない。ここが重要だ」


 誰でも、じゃなくてアタシ?


「魔法陣は口のような物だ。狙った物をその中に入れ、出す。一方通行でしかない。ならば帰るためにはその世界に通じている別の”道”が必要だ。この世界にそのような道があるのか定かではない。あったとしても、それがお前の元居た世界に通じているかどうか……」


 道? そんな話、教会の偉いさん達から聞いたことない。でも魔王が言ってる事はすごく分かる。


「もう一つ聞く。お前を召喚したルファラ教の者、特に上層幹部はお前の世界の事に何か心当たりはありそうだったか?」

「……ううん。おおざっぱな国や歴史の事も何も知らないみたいだった。五百年前に来たって言う勇者の世界とアタシの世界とは全然違いそうだって言ってたし」


 そう、五百年も昔なんて地球でも別世界みたいなもんだと思う。江戸時代みたいのがあったなんてなんてアタシだって信じれない。だから前の勇者ももしかしたら地球から来たのかもって思ってた。

 でも五百年前と同じだとしても、どうなってるのか今までずっと何にも分からない星にルファラの人がアタシを帰せるって言っても、ホントに出来るか正直心配だった。


「お前が来た世界がどう言うところなのか、人間達には全く分からなかったのか。おかしいと思わぬか? 道を我ら魔族に知られぬよう隠しているのだとしても、道があるのなら通じる先の世界の情報がわずかにでも在っておかしくないと言うのに」


 そーだよ、やっぱりそうだ。魔王もおかしいって感じたんだ。


「もしこちらからの道が無いのなら、帰るにはお前が元居た世界で魔法陣を引き、それを用いて再びお前を引き戻さなくてはならん。だが、次元を渡るなど想像を絶する高等なわざだ。それをお前の世界で出来る者がいるか? それもお前と言う特定の存在を狙ってだ」


 今のを聞いてすごいめまいがした気がする。

 それって、帰れないって事じゃね……?


「最後の質問だ。確かに勇者は現れ、当時の魔王を屠った。それは事実だ。魔界を出たところまでが我らの記録にある。して、人間界に戻った後その勇者は?」

「……知らないって。倒した後、誰も姿を見ていないって……。だからきっと、魔王を倒したから元の世界に帰る望みが叶ったんだろうって……」


 ウソを言ってるようには見えない。アタマの悪いアタシを馬鹿にしてるようでもない。

 アタシはバカだけど、魔王が言ってるのは分かりやすいし、賛成できる。勘でもヘンって思わなかった。


「むごい事を……。いつの世も人間は変わらんのか」


 そう言って魔王はすごくきれいな顔を曇らせた。


「……つまり、どーゆー事よ……」


 すごく悪い予感がする。こう言う勘って、ヤだけど外れた事ない。だけど、外れてほしい!


 魔王はしばらく黙ってた。やっぱ、そうなの?

 止めて、言わないで。分かってるから……っ


「……気付いている通りだ。罪深いとは思わんか」


 ウソだ…… ウソだ……!

 エシャリは知ってんの? こんなひでー事、あの子も知ってんの?

 一体何なの、この世界って。この魔王って、一体何なの? もう訳わかんねーよ……


「何故、このような事が人間の世界ではいつも生じているのだろうな。我は不思議でならんのだ」


「そんなの…… アタシの知ったこっちゃねーよ!」


 もう限界! 何が正しいとか分かんないよ!!


「アタシは、帰る方法があるかなんてもうどーでもいーんだよ! とりあえずアンタをやっつけて平和にする! 他の事はエシャリに聞いてその後で考えるわ!」


「我には出来ぬ程すがすがしい思考だが、我は倒れる訳にはいかん。人間が口にする平和など、まやかしだ」


 知らない! 知らない! そんな事どうだっていい!


 もしかしたら本当にアンタそのものがゲートかも知れないじゃん!

 だったらアタシはアンタを殺して、アタシをだましてたルファラから地球に帰る!!!




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